拡がる校務支援システムの導入

地域3市が共同で導入<島田市>

3学期制導入で負担軽減<大和市>

校務支援システムの導入が広がっている。学校に新たな役割が求められている中、各自治体では、学校業務の効率化に本格的に着手し始めているようだ。さらに今後は、義務教育学校の制度化に伴い、校務の情報化の一層の進捗が予想される。

■北海道公立小中学校

北海道内の小中学校を対象とした、新たな「北海道公立学校校務支援サービス」が本年4月1日から道内4市町村28校のモデル実践校で利用開始している。既に道内公立学校で運用しているグループウェアに加え「EDUCOMマネージャーC4th(北海道版)」を運用。モデル実践校での運用を経て本格的な普及を目指す。

■新潟県南魚沼市

南魚沼市は平成26年度より教職員PC端末を配備して新たな校務支援等情報システムの運用に着手した。校務支援システムは「EDUCOMマネージャーC4th」。

■東京都港区

東京都港区教育委員会は、「港区学校情報化アクションプラン」目標の実現のため、センター型校務支援システムの導入に着手した。

プロポーザル提案とし「提案」「要件」「価格」3つの合計点で審査。一次審査を通過した2事業者のプレゼンテーション及びヒアリングを実施して各選考委員による評価を基に、選考委員会で協議の上、最も得点の高い事業者を事業候補者とした。その結果、「現場の負担を軽減する機能に独特の工夫がある」「教育現場に対する理解が深く、それをシステム化する能力に長けている」「個々の指導に生かすための機能が優れている」などの理由から導入を決めた。「システムは事業者1も優れたものと思うが、事業者2の話を聞くとわかりやすく、導入後に学校で起きる混乱や戸惑いに十分答えてくれそう。特に個人カルテの考え方に賛同する」などの声があり、提案プレゼンテーションが好評価につながったようだ。校務支援システムは「デジタル校務」。

■神奈川県大和市

大和市は本年4月から導入された3学期制への移行に伴う教職員の実務負荷改善に向けて、新校務支援システムの導入・運用に着手。大和市の学術情報基盤として運用されている情報ネットワーク上に校務支援システムを構築し、その運用管理を行う。システム運用開始は来年3月1日。校務支援システムは「EDUCOMマネージャーC4th」を指定。

■静岡県島田市

島田市は平成26年度より「志太地域校務支援事務共同化協議会」を立ち上げて志太3市(藤枝市・島田市・焼津市)共同校務支援システムの導入に着手。今年度より本格稼動を開始している。これにより教員の異動が盛んな三市のうち、どの学校に異動しても同じシステムが使用できるようになった。校務支援システムは「デジタル校務」。

■大阪府枚方市

大阪府枚方市は校務支援システムを導入し、本年1月のテスト運用を経て今年度4月から全小中学校で本格稼動を開始した。校務支援システムは「EDUCOMマネージャーC4th」。

■兵庫県神戸市

神戸市は平成27年度よりパイロット30校で校務支援システムの試験導入を開始した。平成29年度までに250校への導入を予定。校務支援システムは「Clarinet校務」。就学情報の活用と学籍情報の電子化、出欠、成績、保健情報等の電子化、帳票の電子化などを図り、学校園の業務の効率化する。

学校徴収金会計システムの構築と学校徴収金の会計処理についても、平成27年度に稼動を開始。事務処理の標準化・ICT化を進め、新たに収納管理システムを構築。学校園の事務を集約する。

■広島県廿日市市

廿日市市は平成26年度2月から、幼稚園、小・中学校において、情報の一元化や成績管理などの効率化を進め業務改善を図るため、校務支援システムの導入を拡大。今年度も継続する。校務支援システムは「Te‐Comp@ss」。なお幼稚園との連携はグループウェアのみ。

■滋賀県草津市

草津市教育委員会では小中学校校務支援システム構築業務に係る公募型プロポーザルを行い、4月に事業者を決定。提出された技術提案書、提案内容に基づくプレゼンテーションとヒアリングによる審査(評価点による比較)を実施。

各学校でのシステムの運用開始は、本年9月1日から。平成28年4月1日からは全ての機能が利用可能な状態にする。校務支援システムは「デジタル校務」。

千葉県船橋市

船橋市は、平成29年度から、事務処理の効率化を図ることにより、子供たちと向き合う時間を確保するために「船橋市校務支援システム」を導入する。導入後は、市内で校務が平準化されるとともにセキュリティを向上し、情報漏えいによる不祥事の発生を防止する必要があることから、セキュリティを最優先に、柔軟性のあるシステムの導入を目的に公募型プロポーザル方式で行う。契約期間は平成28年3月末。人口50万人以上の自治体(市・特別区)における本業務と同種かつ同等以上(80校以上)の規模の校務支援システムの構築及び運用業務の実績を有すること、校務支援システムの構築及び運用に、業務責任者(管理者)として通算7年以上従事した経験を有する者の従事、今度より最低6年間、ネットワーク、システム及びシステム機器等(ソフトウェア含む)の保守・運用業務が可能であることなども含まれている。書類審査通過後行われるプレゼンテーション及び評価委員会は7月19日。

神奈川県逗子市

逗子市は、校務の効率化により校務にかかる時間を削減させ、これにより確保した時間を子供と向き合う時間に充て、質の高くきめ細やかな教育の実現を目指すことを目的に、逗子市内中学校に校務支援システムを導入する。児童生徒における名簿管理、出欠席情報管理、通知表作成、指導要録作成、調査書作成等など。

なおシステム運用予定環境は、小学校5校・中学校3校・教員数約250名、クラウドサーバ方式、光回線ネットワーク(実測値100MB)。本年9月1日から平成32年8月31日までの60か月間(予定)。本年度は中学校3校で運用予定。7月17日までに決定する予定。

神奈川県相模原市

相模原市は、中学校に校務支援システムを導入し、本年9月に試行を開始する。なお導入事業者は7月に改札、決定する。

愛媛県西条市

西条市では平成25年度からモデル校で普通教室などでの電子黒板の活用、校務支援システムやICT支援員の設置などに取り組んでおり、これらの取組が一定の成果を挙げたことから、今年度より市内全ての小・中学校全校に校務支援システムを含むICT環境の整備を予定。詳細は8月以降に公示予定。

高知県

高知県は今年度予算で県立学校の校務支援システム整備事業を公募型プロポーザル方式で行う。配点は、提案800点、価格200点の計1000点。審査委員会は7月に実施予定。運用期間は平成28年4月から平成33年3月末まで。普通科・専門学科・総合学科、全日制・定時制(多部制)・通信制、学年制・単位制に完全対応したシステムとする。特別支援学校13校については当面の間、グループウェア機能のみの利用だが、将来的な全面運用に向けた提案も求めている。

福岡県大野城市

大野城市は今年度、大野城市内小中学校15校において校務支援システムを導入する。運用は11月1日に開始予定。公募型プロポーザル方式による随意契約で、パッケージソフトウェアの5年間分のライセンス料、運用管理・運用保証・サポート・研修(5年間分)などを含めた契約とする。過去5年以内に大野城市の学校規模(学校数15校・利用ユーザ数600名・生徒数9100名)程度以上の自治体において導入実績を有する必要がある。結果公表は7月末を予定。

事例 段階的に校務支援システム整備<笠岡市教育委員会>

平成28年度全校導入へ

平成22年度にICT活用授業日常化のための整備事業と校務支援システム整備事業の2つの事業について予算折衝を行った笠岡市(岡山県)。ICT活用授業日常化については1回目の折衝で採択された。一方、校務支援システムは当初不採択となった。しかし教育長も尽力するなど、校務支援システムの意義などについて各方面へ説明を行うことで、予算を確保。予算規模を縮小して中学校6校に整備した。

予算獲得後、目的の校務支援システムを導入するために、仕様書へのシステムの特徴の記述、製品指定の理由書をまとめた。導入した校務支援システムは「スズキ校務」だ。

その後、平成23年度小学校2校、平成24年度小学校2校、平成25年度小学校3校と段階的に校務支援システムを整備。当初は予算削減のため整備項目から外していた出欠席情報管理機能も追加した。

校務支援システムの活用方法が全教員に理解されるように研修を充実するため、専門インストラクターによる教員研修の実施をセットで契約。県、市、各学校の様式に合わせたカスタマイズにも迅速に対応するメーカーサポートを受けられるようにした。

平成26年度は教育ネットワーク内のセンターサーバを整備。平成28年度の校務支援システムの契約更新時にはセンターサーバ版で小規模校も含め「全校導入」を目指す。

今年度は、指導者用デジタル教科書整備事業により、全小学校に指導者用タブレットPCと国語・社会・算数・理科のデジタル教科書を整備。タブレット対応教務支援システムも活用してタブレットとデジタル教材を使った授業を支援する。

【2015年7月6日】

 

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