生徒の書き込みを提示して説明させた |
専用紙に記入した内容はすぐに反映 一部のみを焦点化して提示できる |
相模原市教育委員会では、グループ学習や教員提示用としてタブレット端末活用の導入を検討しており、今年度よりモデル校4校で検証を始めた。相模原市立緑が丘中学校(永井和利校長)もモデル校の一つだ。同校の3年・数学科の授業では、デジタルテレビによる拡大提示、教員用タブレットPCによる操作、デジタルペン授業支援システム「Open NOTE(オープンノート)」(大日本印刷)による話し合い活動などを展開しており、生き生きと話し合う生徒の姿が見られた。授業者は本杉新之介教諭。
期末テストが返却され、本杉教諭は正解を確認していく。立式が複雑な場合は、予め用意した模範解答をデジタルテレビに拡大提示。「そうやって解くんだ…」「うわー」という感嘆の声やため息が聞こえる。
その後、テストで解答率が低かった問題を3題ピックアップ。「グループごとに解き方を考えよう」と、3〜4人のグループに1セットずつ専用紙とデジタルペンを配付した。
紙にデジタルペンで記入してグループごとに「登録」すると、ノートの書き込み内容がデジタルテレビに即反映する。
早速、課題となった問題の解き方について順番に説明し合いを始めているグループ、デジタルテレビにリアルタイムで提示される他グループの書き込みをチラ見しながら考えをまとめていくグループなど様々だ。
説明している生徒もそれを聞く生徒も真剣で「どうしてここまで理解しているのに間違ったの?」と順を追って説明し直す様子、「どうしてルート5になるの?」と自分の疑問点をすぐに聞いている様子も見られた。
デジタルテレビに提示された画面で各グループの書き込みを見ると、図のみのグループ、色を変えて図を見やすくしているグループ、式も細かく書くグループと様々だ。それにヒントを得て「テストでは解けなかったけど、今わかった!」と説明し始める生徒もいる。本杉教諭は、各グループの書き込みから「解き方のヒント」となるものをいくつかピックアップして提示。解説した後、ある班を指名して説明させた。
友達の説明がわかりやすい
考え方を話し合いデジタルペンで専用紙に記 入。その内容は即デジタルテレビに反映する |
デジタルテレビに提示された各グループの書き込みは、教員用タブレットPC(ノートPCにもタブレットにもなるデタッチャブル型)で操作。本杉教諭は、最初はノートPCとして、授業後半は生徒の活動の様子を確認するためにタブレットPCとして活用していた。
授業後、生徒に聞くと「友達の説明がわかりやすかった。テストでは間違ったけど理解できた」と元気よく答えた。
理解と定着を促す活用法に
相模原市立総合学習センターの竹鼻直樹指導主事はこの日の授業について「グループ学習では『わからないことがわかる』『わかったことが定着する』仕掛けとしてオープンノートを活用していた。期末テストの振り返りは『答えを合わせる』ところで終わりがちだが、今日は『答え合わせ』をきっかけに『主体的な活動』につなげる展開とする新しい視点の活用法であった」と話す。
タブレットPCでオープンノートの 提示内容を操作 |
相模原市のモデル校4校では、平成26年9月から教師用タブレットPC6台、生徒用(グループ学習用)10台、指導者用デジタル教科書、オープンノートを導入して活用を開始している。
「オープンノート」を導入した理由については「小学校高学年から中学生になると、書く量が増え、タブレット端末上の書き込みだけでは表現しきれないものが増えてくる。オープンノートは紙に書いたものが即デジタル化され、紙とデジタルの双方の良さがミックスされたシステムではないかと考え、平成25年にセンターで評価用に導入、希望する教員に貸し出したところ、様々な活用が見られたため導入した」と語る。
ある小学校の教員は、1クラス16人であったことから、1人1本で活用。オープンノートには再生機能があるため、漢字の書き順や小数点の入れ方など計算の順番などの間違いを発見するのに効果的であったという。オープンノートは、単体のみでもタブレット端末と組み合わせた活用もできるので、算数・数学科を主とした、学力の向上やグループ学習の推進の視点から検証を進め、今後の整備計画に活かしていきたいと考えている。
プリンタ印刷もできる専用紙
オープンノートは提示したい部分の焦点化や再生機能を使った説明などもできるので、反転授業などでの活用例もある。
現在政令指定都市を含む全国50以上の自治体、約700校に導入されている。専用紙は対応プリンタで印刷することもできる。
【2015年7月6日】