教育委員会対象セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化

12月9日、東京都内で「第20回教育委員会対象セミナー」が開催され、全国から教育関係者が参集した。この日の講演内容を抄録する。次回の教育委員会セミナーは1月29日福岡で開催される。詳細=http://www.kknews.co.jp/semi/150129.html

タブレットPC活用 学年・教科で違いも 葛飾区立本田小学校・井上龍夫副校長

葛飾区立本田小学校井上龍夫副校長
葛飾区立本田小学校
井上龍夫副校長

タブレット端末の活用に注目が集まっている中、井上龍夫副校長(葛飾区立本田小学校)は平成22年から始まったフューチャースクール推進事業・学びのイノベーション事業の実証校としての実践の成果について、「学習意欲の向上」、「画面共有による学び合い」、「表現力の育成」、「情報活用能力の向上」、「教師間の学び合い」につながったと報告した。

事例のない中一つひとつ課題を解決

■総合・算数・国語は初年度から活用が多

教員経験10年以上及び6年未満の教員が多く、中堅層が薄い中、実証は平成22年10月からスタート。1年目は「習うより慣れろ」、2年目は「普段使い」、3年目は「ICTの良さを活かす」ことを目標として実践。事例のない中、様々なトラブルを1つひとつ乗り越えての毎日が始まった。

タブレットPCの立ち上がりの遅さは、スリープ状態で机の横にかけておくことで解決した。タブレットPCへの教材配信では、何台かが配信できないことも多く、常に紙ベースの教材を用意して対応。当初はタブレットPCを教室でしか使えず、フリーアクセスの工事も追加するなど、一つひとつ課題を解決。「使いたいときにすぐそこにある」という環境が、活用を後押ししていった。

初年度からタブレットPCの活用が多かった教科は、総合、算数、国語。3年間を経て大きく伸びたのが、生活科だ。

アプリケーションの活用も、学年により違いがあった。キーボード入力ができない低学年は、協働教育アプリ「もぞうし」を多く活用。キーボード入力ができる4年生以上は、プレゼン作成ソフトの活用が多く、インターネットを活用した調べ学習も頻繁に実践。

学年でも活用度に違いが見られた。全学年で活用されているものの、3年間平均して顕著に活用が多かったのが、2年、4年、5年生であった。また、5年生は初年度から活用度が高く、2年生は年々活用が伸びたなどの傾向も見られた。

■交流学習は教員の打ち合わせも遠隔で

具体的な活動内容について紹介する。

4年生では、Skypeを活用して交流学習。教員同士の打ち合わせもSkypeで行った。

5年国語・説明文教材「白神山地からの提言」や6年社会・「新しい国づくりへ」では、付箋機能を活用し、賛成意見や反対意見など様々な考えを分類しながら討論や話し合いを行った。

1年生の算数では、画面上で画像を動かす機能を活用することで、数や面積について視覚的に捉えることで理解の向上につながった。

6年国語「句会をしよう」では、児童の作品(俳句)について、匿名の投票機能でどの作品に心が動かされたかについて、相互評価や投票を行った。中にはこの投票機能を保護者会で活用して意見交換を行った教員も。

グループを作ることができる機能は、個人やグループの意見の共有を図りやすい。この機能を活用し、5年総合では地域安全マップを作成。1年生活科「おともだちをしょうかいしよう」や2年生活科「生きものと友だち」では友達や生き物を紹介し合うなど、各教科で活用が進んでいった。

■ICT支援員のサポート時間割

常駐しているICT支援員のサポートに入る時間を予め確定して時間割を作成。常駐により、事前の授業準備についても意見交換しやすいことから、トラブル対応や機器管理にとどまらず、教員と協働して授業を創り上げる存在となった。

ICT機器活用の成果として、プレゼンテーションなどの活動が増え、表現力が向上、画面共有のしやすさから学び合いや意見交換が進んだこと、支援員の協力もあり教師間の学び合いが増えたことなどがある。

検証はできていないが、全国テストではB問題の成績が高く、日常的な学び合いによって活用力が伸びているのではないかと考えている。(講師=[飾区立本田小学校・井上龍夫副校長)

【第20回教育委員会対象セミナー・東京:2014年12月9日】

【2015年1月1日】

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