11月14日に横浜市で開催された「eスクール ステップアップ・キャンプ2014東日本大会」(教育ICT活用研修会)で、和田俊雄教諭(川崎市立宮内中学校)は、川崎市総合教育センターの情報モラル教育長期研究員としての研究成果「SNSやスマホを利用する小中学生向け情報モラル指導」について報告した。
川崎市情報モラル実態調査によると、LINEは、クラスや学年など様々なグループで活用されており、SNSに関わるトラブル発生が小学校113校中24・8%、中学校51校中90・8%で生じている。
一方で、90%以上の教員が情報モラルの研修に出たいと思っているが、忙しくて出られない状況がある、という。
こうした中、和田教諭は「将来的に情報機器が進化・変化しても、状況に応じて自分で判断できる子供を育てる」ことが重要と語る。
『かわいくない』と書き込まれると、『オマエ ウザイ』と送信する子が多いが、『情報モラル判断力』が身につけば、相手に『何かあったのかな』と判断できるようになる」と述べる。
「そのためには、指導方法の転換が必要。これまでの指導方法は『これは危険、あれも危険』と事例を次々に教え感情に訴えるものが多い。
しかし、危険な事例は多く、新しいサービスも登場するので、全てを網羅して教えるのは難しい。そこで、情報技術の「不易」と「流行」を踏まえ、日常のモラルと情報機器の特性の両方をあわせて教えることが大切」
「流行」とは、様々なサービスを指す。「不易」とは、ネットの特性、記録性、公開性、流出性、非対面など。
一度ネットにアップロードすると回収不可能で記録が残る「記録性」、アップロードした情報は世界中から閲覧が可能である「公開性」。
インターネット上で情報は転送され、友達のやりとりと思っていたものの範囲が拡大していく「流出性」。
相手が見えないので、不安になりやすい「非対面性」などだ。
学校全体で取り組むには、「各教科の年間計画に組み込み、教職員全体で取り組むこと、担任が特別活動で指導すること、保護者との連携を図るためには、懇談会で具体的に繰り返し話していく」指導法を提唱した。
【2014年12月8日】
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