校務支援システムの活用<校務情報化支援検討会>

教育活動の質的向上に資する校務の情報化の要件を検証

校務の情報化に関する現状把握や問題解決について産学協同で検討を行っている「校務情報化支援検討会」は、校務支援システムを導入した学校の教員を対象に、運用前(2012年)、1年後(2013年)、2年後(2014年)の3期において「校務支援システムの運用による校務改善に関する意識の変容」の調査を行った。

出欠情報は養護教諭がまとめて記録

校務支援システム運用後、教職員は作業負担の軽減や効率化、共有情報の迅速な把握などの導入効果を感じること、運用面の工夫により、教員同士のコミュニケーションの増加や力量向上などの活用効果が顕著になることなどが明らかになった。

調査は、質問紙調査、聞き取り調査の2種類。質問紙調査では、以下6つの質問項目について、導入1年後で全て大きく改善が見られた。▼出欠情報の把握 ▼個人情報の保護 ▼転記ミス ▼効率的な処理 ▼評価内容の質的向上 ▼情報共有

インタビュー調査は、1学期後、学年末の2回、小学校教員(校長、教務主任、ベテラン教諭、若手教諭、養護教諭)(同一の校務支援システムを導入している別の学校に所属)に実施。

KJ法を用いて前記6項目について分析した。 それによると、業務フローの見直しや学校内のルール・体制づくり、研修などを行うことで、校務支援システムをより有効に活用することができるようだ。

具体的に導入校では運用面でどのような工夫を行っているのか。

「出欠確認」では、養護教諭がまとめて出欠情報を入力することで全校的な状況を迅速に把握するなどの工夫があった。

また、システム導入に伴い、出欠黒板をなくして業務の重複を回避するなど作業を一元化する工夫が見られた。
テストの採点後、紙の補助簿に記入せず、直接システムに入力する、他の情報を活用する場合のコピー&ペーストによるミスを防ぐために確認を徹底する、日常的に少しずつ入力しておく、入力状況やタイミングについて教員間で声を掛け合うことも行っている。

学年ごとにチーム制で研修会を実施することで、コミュニケーションが取りやすくなり、作業に着手しやすい雰囲気が生まれているようだ。

「評価」については、同学年の教員と話し合い、評価項目、評価基準を統一・確認する、通知表の所見の書き方を教員でお互いに見せ合うなどによって評価内容の改善につながった。

校務支援システムを導入すると様々な名簿情報を活用できるようになるが、それらを教員が個別に作成するのではなく、学校として作成して共有することで、情報の一元管理と活用が図られている。

システム活用が進むにつれ、課題が詳細に分析され、それに対する工夫を学校全体で図っていくことが「校務支援システム」導入による教育活動の質的向上を実現するようだ。

なお、災害対応として、停電時にはシステムが稼動しないため、その日の出欠確認状況については日々印刷して保管することが望ましいとしている。

調査対象校からは、校務支援システムにより以下の導入効果が報告されている。

運用面の工夫で活用効果に違い

▼出欠情報の把握

「出欠状況がすぐに把握できる」、教務主任からは「家庭連絡までの時間が迅速になった」、「出席簿を教務主任が毎日チェックできる」、養護教諭からは「手計算の時より迅速に報告できる」など。

▼個人情報の保護

学校外への名簿情報や成績情報の持ち出しがなくなった。

▼転記ミス

出席簿の集計が自動で行われるので、電卓による計算が不要になった、自動的に集計・転記が行われ、転記の作業負担が軽減した。

▼効率的な処理

作業が一元化され、作業負担が軽減。

▼評価内容の質的向上

通知表の所見の書き方を教員でお互いに見せ合うことができるようになり、評価の質が向上した。

▼情報共有

顔写真を見ながら、生徒指導の共通理解を図ることができるようになった。

名簿の種類が多種類あることから、情報活用の幅も広がっている。

■校務情報化支援検討会

=www.koumu‐shien.jp

【2014年12月8日】

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