工学院大学附属高等学校の生徒は首都大学東京日野キャンパスで、無料オンライン講座gaccoの「デジタルアーカイブのつくり方」を使った反転学習を行った。講師は同教材を制作した渡邉英徳准教授(首都大学東京)。授業には同校の生徒10名と一般の講座受講者の6名が参加した。
工学院大学附属高等学校では、学校図書館にPC1台とタブレットPC3台を整備し、10月から希望者は校内でgaccoを受講できる。
生徒は毎週各人の進状況を相互に確認し、自宅でも講座を視聴して4週間の講義「デジタルアーカイブのつくり方」を受講。gaccoを学校図書館で導入した高校は、同校が初。
高校生が社会人と討論する姿も |
生徒は、講座「デジタルアーカイブの作り方」を視聴して学習にのぞむ |
講師の渡邉英徳准教授はこれまで、広島、長崎の被爆体験談、被爆地の写真、当時の地図などをまとめた「ヒロシマ・アーカイブ」「ナガサキ・アーカイブ」や、「東日本大震災アーカイブ」、「アチェ津波アーカイブ」の製作に係わってきた。
gaccoの「デジタルアーカイブのつくり方」では、デジタル地球儀「Google Earth」に、さまざまなデータを重ねあわせる作業「マッシュアップ」を行ってデータを可視化する手法や、デジタルアーカイブス作成の意義について4週にわたって展開。
生徒はこの講義を受講した上で反転学習に参加、3つのグループに分かれ、「2020年までにどんなアーカイブを作るか考える」というテーマに取り組んだ。
最初は一般講座受講者の発言を聞くだけの生徒達であったが、時間が経過するとともに、積極的に意見を述べるようになった。
各グループとも、記録者、発表者を生徒が務め、発言をホワイトボードに整理し、結論をまとめていった。
反転学習について生徒は、「事前の講義視聴はとても役に立った。
講義の内容が話し合う際の共通の前提となっているので、メンバーの発言がよく理解でき、スムーズに話し合いを進めることができた」と評価した。
有山裕美子司書教諭は、「異年齢の方との議論に、生徒は予想以上に積極的で、反転学習のメリットを感じた」と話した。
反転学習により生徒の提案した「修学旅行アーカイブ」は、高い評価を受けた。
これは、修学旅行で東京を訪れる他校の生徒のために、学校周辺を紹介するもの。地元ならではの詳細な情報や伝承などを調べ、東京を訪れる学校に提供する。
この取り組みを東京以外の地域へも広げていくことで、2020年までに日本アーカイブに成長させ、日本を世界に発信できる。
また、各校の修学旅行を毎年記録し、各校の学びを継承していくことができる。
渡邉准教授は講評で、「東京だけでなく日本全体をアーカイブする議論が行われた。
人にどのように接し、ツールをどう使うかを話し合っていた点を高く評価したい」と話した。同校の有山司書教諭は、「学校図書館で受講すると、講義を受けた後すぐに資料を調べることができる。
生徒が話し合うこともでき、スペースとしては最適」と、学校図書館での導入の利点をあげた。
【2014年12月8日】