デジタル教科書と学力向上

ICT活用の最初の一歩は「効果的な一斉学習」にあるとされている。ICT活用が学力向上にどのような影響を与えているのか。全国学力・学習状況調査(以下、学力調査)と「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」から数値を検証する。

この3年間で最も学力調査の結果に飛躍が見られたのが沖縄県だ。平成24年度及び25年度の学力調査の結果は小学校で47位だが、26年度は22位と目覚しい。デジタル教科書整備率も伸びており、小学校では特に高く81・8%(中学校は64・7%)で8割を超えた。また、教員の指導力「授業中にICTを活用して指導できる」は、平成25年度83・1%(小学校)。平成22年度73・2%から比較して伸びた。

デジタル教科書の活用はICTを活用した一斉学習の促進につながる。沖縄県の学力向上の飛躍は教員のデジタル教科書活用が良い影響を与えている可能性がある。なお沖縄県は特別支援学校でのiPad活用も盛んで、沖縄県の特別支援学校における教育用PC整備率は全16校に1482台、1台/1・4人と群を抜く。

静岡県も伸びている。平成25年度は43位だが26年度は16位と飛躍。同様にデジタル教科書の整備率は、23年度34・1%から25年度56・0%(小学校63・7%、中学校64・9%)と、小中学校で6割を超えた

では、学力調査の首位争いを続けている秋田県、福井県はどうか。

「国語A、B」「数学A、B」4科目のうち、小学6年生はすべて秋田県が首位。中学3年生は3科目で福井県が1位、残り1科目が秋田県。秋田県のデジタル教科書整備率は、小学校30・4%、中学校24%と平均以下。対して福井県は、小学校67・5%、中学校73・7%と高い。デジタル教科書がなければ学力は向上しない、というわけではないが、デジタル教科書の活用が学力向上に良い影響を与えている可能性がある。

【2014年10月6日】

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