教育委員会対象セミナー・京都 ICT機器の整備計画/校務の情報化

タブレット端末を全学年各教科で活用ー京都市立藤城小学校 吉岡良平教諭

体験させたい目標 活動計画を策定
京都市立藤城小学校 吉岡良平教諭
京都市立藤城小学校
吉岡良平教諭

京都市立藤城小学校は平成24年度から「21世紀型ICT創造モデル事業〜学校図書館のメディアセンター化を中心とした調査研究事業」に取り組んでおり、それに伴いタブレット端末(iPad)を20台整備した。無線LANアクセスポイント(AP)は、図書室に2台設置。持ち運び用Apやネットワークプリンタ、AppleTVも整備して情報活用能力の育成に取り組んでいる。

情報教育において繰り返し体験させたい目標を4つ「あつめる」「つたえる」「いかす・ふりかえる」「まとめる」に分類し、低学年、中学年、高学年ごとに活動計画を策定した。

まずは学級活動でタブレット端末の簡単な使い方と注意点を書いたプリントを配布して児童に説明、写真撮影やノートアプリを使って「ぜんきをふりかえろう」をテーマに、2人ペアになって写真を撮影し合い、前期にがんばったことをプレゼンテーションにまとめ、発表する活動を行った。

多様なアプリを使い 情報をまとめ伝える

1年国語では読みもの教材で「一番好きな場面」を選んで音声付紙芝居を作成。作品をテレビ画面に提示して発表するとともに、友人の作品を鑑賞し、評価し合った。使用アプリは「ロイロノート」。順番の変更や音声録音のやり直しも手軽にできる。

お気に入りの本の紹介文をタブレット端末で作成する活動では、紹介文をノートにまとめ、それをPDF形式にしてiBookに保存し、児童の端末からすべての紹介文を読むことができるようにした。使用アプリは「GoodNotes」など。

5年国語「理由づけを明確にして説明しよう」では、インターネットや本で調べたことを説明の根拠として使用。図書室での活動は、本とインターネットを一度に活用できる点がメリットだ。6年生「学習討論会をしよう」では、発表素材を紙または電子ポスターで作成し、肯定派、否定派に分かれて討論。ノート型アプリを使ってプレゼンするグループもあった。使用アプリは「Safari」「NoteAnytime」。

4年理科では星や月の動きを学ぶ導入で、アプリ「StarWalk」を使い、星空観察のシミュレーションを行った。時間を設定してタブレット端末を観察したい方角に向けるとその時間・方角に見える星が見えるというもの。星座に興味を持たせることに役立った。

理科の実験ではカメラ機能を使って各グループの実験過程を撮影、ノートアプリで記録しまとめた。各グループの実験の様子はテレビ画面に映して全体で発表、結果を共有した。

5年社会の領土学習では、2人1組で端末を使い、アプリ「Google earth」を使って日本の領土を確認。日本の領海について実際に確認し、その重要性や課題を共有することができた。

5、6年生の水泳では、端末を密封できるビニール袋に入れ、2人1組で泳ぐ姿を撮影し合った。デジタル教材も端末に保存し、手本の動画を見たり、スローで再生して比べたりしながらアドバイスし合う活動を行った。

学習後の成果物 自由に閲覧可能

発表者の吉岡良平教諭は成果と課題について、次のように報告した。

教科書や資料集、図書資料、インターネット検索を組み合わせることで多様な情報を集めることができる。反面、自分に必要な情報を取捨選択していく力が一層重要になる。

ノートアプリやプレゼンテーションアプリを使って、集めた情報を整理、加工してまとめ、意見や考えを伝え合うことが低学年からできる。目的に応じたアプリは数多あり、教員が見極める必要がある。また、データ共有のためには複数のタブレット端末でデータをやりとりできる仕組みも必要だ。

学習後も成果物を自由に閲覧できることから、次の学習への意欲につながる。タブレット端末共有のため、学習成果を保存する仕組みのルール作りも必要である。(講師=京都市立藤城小学校 吉岡良平教諭)

【教育委員会対象セミナー・京都:2014年8月7日】

【2014年9月1日】

関連記事

↑pagetop