教育委員会対象セミナー・京都 ICT機器の整備計画/校務の情報化
京都市教育委員会 関智也氏 |
京都市にはマンモス校からへき地校、施設一体型小中一貫校、教育課程特例による不登校生徒のための中学校など、特色ある学校が多数あり、総学校数は271校園。本年の小中学校の新規採用教員は200名を超えるなど世代交代が急速に進んでいる。
校務支援システムは、平成24年度に予算化、翌年に小学校19校、中学校11校で先行導入。平成26年度からは全校展開している。
校務支援システム導入にあたっては効率化したい業務を明確にして一般競争入札で調達。
主な仕様は「教育情報システムからのシングルサインオン」「センターサーバ方式」「指導要録の電子保存」「市立学校間の転出入及び進学時のデータ引継ぎ」「ヘルプデスクの設置」「全校での研修の実施」「通知票のパターン化」など。
その結果ハード整備とプロジェクト管理はNEC、校務支援システムは「EDUCOMマネージャC4th」となった。
なお外字については、市が導入している外字サーバを共有している。
先行導入の際は、行政区単位で実証校を設置し、その地域の拠点校とした。
京都市では、全校で必ず使用する機能、学校判断により活用を選択できる機能、校務支援システムでは標準化しない機能を明確にした。
児童生徒の基本情報、出欠確認、成績入力・管理、指導要録の作成については、全校共通で標準化。
指導要録の電子保存に伴い、校長・担任の押印を廃止して京都市立小中学校間の転出入や進学の際は指導要録をデータで引き継げるようにした。
通知票の作成やグループウェアの使用は学校判断だ。通知票の詳細は校長権限で決めるものであることから、市内全校の通知票を分析してパターン化。各校でパターンを選択して通知票を設定しており、これを機会に通知票を見直した学校もある。教委としてはどこまで独自形式を認めるかについてが課題だ。
システム化は、通知票について考えるきっかけにもなり、ポートフォリオ形式を新たに採用。6年間の通知票を1冊のファイルに綴じ、卒業時には「通知票ブック」として渡したいと考えている。
システム導入によって通知票や指導要録の作成時間は大幅に短縮し、従来の半分以下の時間で完成したという声が多数。
掲示板機能で情報共有がスムーズになったことから、今後、小中一貫教育を推進する観点で、中学校とその校区の小学校で共有する掲示板運用も考えている。
予算措置にあたっては、学校現場、特に校長会からの強い要望が議会への説得材料になる。また、日々の学校教育に対する信頼もポイント。京都市では市民ぐるみで教育改革を進めており、学校教育に対する深い理解のもと,予算を確保することができた。
導入、運用を進めて改めて重要であると感じていることは、システム担当者と業務担当者が連携してプロジェクトを立ち上げ、行政職と教育職がバランス良く関わること。教育委員会と校長会との連携がとれていること。学校現場や学校教育に関わる現状を熟知している導入業者であることなど。特にヘルプデスクや研修講師の質は、その後の運用に大きく係わってくる。(講師=京都市教育委員会学校指導課課長補佐 関智也氏)
【教育委員会対象セミナー・京都:2014年8月7日】
【2014年9月1日】
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