教育委員会対象セミナー・京都 ICT機器の整備計画/校務の情報化
草津市教育委員会 中村真理子氏 |
草津市教育委員会では平成21〜23年度にかけて市内全小中学校の全普通教室に電子黒板、プロジェクター、書画カメラを配備した。1人1台の校務用PCも配備、校内LANを構築して配信型のデジタル教科書(国語、算数、社会)や教材も導入。デジタル教科書や自作教材の活用、児童によるプレゼン発表など授業が変わるきっかけにつながった。
次の段階として、タブレット端末の導入を構想し学習者用タブレット端末45台を購入。そのうち35台は草津市立渋川小学校を研究校に指定して配備。うち10台はICT支援員により特別支援学級に巡回持ち回りとした。
渋川小学校では、ドリル型の活用や調べ学習での活用、電子黒板と連携した発表活動や児童同士の学び合いなど、コラボノート(JR四国)やまなびあいノート(ジャストスマイル)も活用して新しい学び方について検証。特別支援学級でも一定の指導効果が得ることができ、予算確保のための折衝を開始。導入と活用に向けた年間計画を作成した。
研究校では1日に2時間はタブレット端末を活用していることから「全学級が日に2時間活用できる台数」として「3学級ごとに35台」を算出。加えて特別支援学級用の全小中学校各校10台を加え、平成26年度「草津市学校ICT推進事業」として、市内全小中学校(小学校13校、中学校6校)に計約3200台のタブレット端末の導入を実現した。
端末のほかに導入したものは、端末とUSB接続できるキーボード、充電保管庫、タブレット用カバー、スタイラスペン、iPadの教材ダウンロード用のiOS端末だ。普通学級用としてWindows端末、特別支援学級用としてiPadを導入したが、活用は限定せず、各校に両機種ともが整備され活用できるようにした。無線LANアクセスポイントは、移動用カートとともに動くタイプのものとした。
教員研修は4月から開始しており(年9回を予定)、夏休み中にこれらの環境を構築、2学期から本格的な活用が始まるが、「まずは安心して活用できる定番の活用」から開始。具体的には「タブレット端末に教材を配信、端末に書き込んだ子供の考えを電子黒板に転送して提示、その考えについてクラスで練り上げてまとめる」という一斉学習を2学期からすべての教員が使えるようにする。習熟が進むにつれて多様な授業の展開を進める構想で、全国学力・学習状況調査における「B問題」を意識した学力向上に取り組む。
現場教員の負担軽減のために、情報活用能力育成の専用教材も導入。中学校区を基本単位とする授業研究会を展開、リーダー研修会や夜間講座等ステージ別研修も行う。
ICT支援員の派遣やサポートデスクも運用。窓口を「学校ヘルプデスク」に1本化してネットワークに関する質問、端末に関する問合せなど障害に合わせた対応を行う予定だ。今年度11月には、全校で「公開参観デー」を設定するとともに、指定校で公開授業研究会を行う予定だ。
なお草津市では文部科学省の本年度事業である「ICTを活用した教育の推進に資する実証事業」に採択されている。(講師=草津市教育委員会学校教育課 中村真理子氏)
【教育委員会対象セミナー・京都:2014年8月7日】
【2014年9月1日】
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