教育委員会対象セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化

校務の効率化で新たな取り組みに着手―第二葛西小学校 高橋飛秀校長

教員8割以上"導入効果あり"

教育委員会対象セミナー
第二葛西小学校
高橋飛秀校長

江戸川区(東京都)では、校務支援システムの導入後5年を経過しており、高橋飛秀校長(江戸川区立第二葛西小学校)は学校現場の管理職としてその成果を報告した。

リプレイスでICカードに

小学校73校・児童3万5607人、中学校33校・生徒1万6531人、幼稚園3園・園児367人、全教職員2666人規模の江戸川区。同区では平成20年度から校務支援システムを導入。平成25年にはネットワークを含めてリプレイスを行っている。

校務支援システムについては、グループウェア、学籍・成績処理等校務処理、保健業務、緊急メール配信、学校CMSなどを導入。このうち指導要録・出席簿・学校日誌・保健関連は江戸川区共通の書式で、通知表は学校独自でカスタマイズ。平成25年のリプレイス時にはログイン方式を指紋認証からICカードに変更し、よりスムーズにログインできるようになった。現在同区では校務用PC計2989台(教員・非常勤教員1人1台、栄養士・事務1台/校、講師共用1台/3人)が配備されている。校務支援システム導入にあたって教員からの否定的な意見も多かったが、導入後、業務の形態が大きく変わり、活用が進むにつれ教職員間の情報のやりとりが緊密になり、コミュニケーションを図りやすくなるなどその有用性を認める教員が増えた。ヒアリング調査によると、校務支援システム導入後、10時間以上負担が軽減したのが「成績データの入力」「通知表の作成」「校務関連の会議・打ち合わせ」「職員会議、朝会議」など。特に指導要録の作成については平均6時間の軽減が実現。作業時間の効率化が図られた。ホームページも更新が容易になったことから、導入前年8・7回から205・3回と更新回数が大幅に向上。職員会議の回数も減った。個人連絡や連絡掲示板機能などグループウェアの利用と夕方15分間の情報共有の時間の設定により、職員会議は大きな行事の前など年3〜4回程度になった。

江戸川区の小中学校で使用する各種様式やマニュアルは、区教委・学校間でファイル共有ができる「書庫」に保存。その利用方法について理解が進むにつれ、特に副校長の校務作業が軽減された。

校務支援システムとは別に校内ファイルサーバが設置されており、校内での文書管理は主にこちらで行う。同校では学校だよりの発行の際、約900児童分の印刷・仕分けに時間がかかっていたが、校内ファイルサーバで文書を共有、担任が学級人数分を各自印刷して配布するようになり、仕事分担の一極集中を軽減できた。

校務の効率化が進み、児童と触れ合う時間が生まれたことで、学力向上に向けた新たな取り組みにも着手。同校では補習を年間16回実施している(高学年30分間/回、低学年45分間/回)。6‐7月には子供との個別面談を実施。研修も2回追加した。

校務支援システム導入4年経過後のアンケート結果によると、導入効果を「感じている」教員は全体で8割以上。特に管理職の評価は高く、98%以上が導入効果を感じている。評価できる理由として管理職は、「校内での情報共有が容易になった」「事務の効率化が図られた」が7割以上。教員は「通知表の作成・修正が効率化した」が約7割であった。

導入後1年と4年目の結果も比較。それによると、「校務の情報化を積極的に進め、効率化を図っている」「学校Webによる情報発信を積極的に行っている」「メール配信システム活用で積極的に情報公開を行っている」などいずれの質問項目も大幅に向上した。(講師=江戸川区立第二葛西小学校 高橋飛秀校長)

【教育委員会対象セミナー・東京:2014年7月2日】

【2014年8月4日】

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