【報告書】学びのイノベーション事業/フューチャースクール推進事業/特別支援教員とICT

4月に入り、昨年度行われた様々な実証研究の報告書や審議内容がまとめられ、文部科学省や総務省のWebで公開されている。

一斉・個別・協働学習 指導のポイントを示す

1人1台の学習者用端末や電子黒板などICTを活用して子供たちが主体的に学習する「新たな学び」を創造するための実証研究「学びのイノベーション事業」3年間の最終報告書がまとめられた。

 小中学校や特別支援学校における実証校の取り組みとその成果、ICT活用の留意点、「一斉学習」「個別学習」「協働学習」それぞれの指導方法のポイント、学習者用デジタル教科書・教材の開発の状況など。

 「個別学習」の具体例が増え、各教科の指導事例・展開例も写真とともに豊富に掲載。ICTを活用した教育効果については、学力向上と教員の指導力に分けてまとめ、それぞれ向上が見られることを数値で表現した。教室の明るさやPC等画面の映りこみへの配慮、児童生徒の姿勢等児童生徒の健康への配慮についても言及している。

▼学びのイノベーション事業実証研究報告書=http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/030/toushin/1346504.htm

学びのイノベーション事業
個別学習や協働学習の事例が増えた(文科省・報告書概要より)

 

学校ICT環境構築 運用・ノウハウをまとめ

「フューチャースクール推進事業」4年間の成果の総まとめが公表された。

同事業の実証校からの声を踏まえた「教育分野のICT化の可能性」や各自治体等における「次年度以降のICT環境の活用方針」を整理した。

中学校・特別支援学校それぞれの学校種の特徴を踏まえたICT環境の構築・運用・利活用のノウハウを紹介している。自治体や教育委員会がICTの導入を検討する際に環境構築や運用面で重要となる観点について重きをおいた。

学校現場での円滑な運用にあたり重要となる「無線LAN」に関する記載も充実。

授業で安定した無線LAN環境を利用するための設定方法等の事例やタブレットPCを使った遠隔地との交流等、利活用事例も掲載。

各自治体等における今後の自立的なICT環境の運用を見据えた取り組みを踏まえ、運用コストの効率化のための方策や、ICT支援員に依存しない体制構築に向けた教員間でのノウハウ共有方法等もまとめた。

▼教育分野におけるICT利活用推進のための情報通信技術面に関するガイドライン(手引書)2014(中学校・特別支援学校版)=http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/future_school.html

特別なニーズに対応する教員向けハンドブック

昨年度、文部科学省の委託を受けて兵庫教育大学、宮城教育大学、筑波大学では「ICTの活用による学習に困難を抱える子供たちに対応した指導の充実に関する調査研究」を実施。その成果を教員向けのハンドブックとしてまとめた。

特別支援学級、通級指導教室、通常の学級の3つの指導場面ごとにそれぞれ作成。

障害の困難さの違いによる支援の方法とその効果、タブレットPCを初めて導入した小学校の取り組み例を始めとするICT活用実践とその効果など。

個別での活用や集団での活用方法も記載。イラストも多くストーリー性を持たせた遊び心のある構成。子供の心に寄り添い力を引き出すアイデアや多彩なヒントが掲載されており、特別支援に関わる教員のみならず、あらゆる教員にとって参考になる内容だ。

▼発達障害のある子供たちのためのICT活用ハンドブック=http://jouhouka.mext.go.jp/developmental_disorder_ict_katsuyo.html

【2014年5月5日】

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