2020年、東京オリンピックが開催される。そこでの活躍を夢見る子どもたちが最大限のパフォーマンスを発揮するために、指導者はどうあるべきか。12月19日、講演会「オリンピックアスリートの“マインド”サイエンス」が参議院議員会館で行われ、論理エンジンの開発者である出口汪氏、米国オリンピック代表水泳チーム前監督のマーク・シューベルト氏が講演した。主催は、一般財団法人BWFインターナショナル(旧称・一財BWFジャパン)。
出口汪氏は、「言葉の使い方を変えることで世界の捉え方が変わり、人生が変わる」と話す。新学習指導要領でも「論理的な思考力の育成」が重要視されているが「深く自分の世界を構築するための言語は日本語であり、自分でモノを考える力が論理力。これは最も重要な力。寒い、という言葉があるからこそ、寒さを認識できる。言葉は認識する力。しかし主観的なコミュニケーションでは、正しく理解し合うことが難しい。しっかりと伝えるためには、約束ごとに従って伝える必要があり、すなわち論理が大切。論理的に文章を書くことができ、相手の意図を論理的に理解できると、コミュニケーションは上手くいく」「論理的な思考力は才能ではない。習熟することで身に付く。論理力を鍛えることは、OSを強化することと同じ。新しいアプリケーションは新しいOSでなければスムーズに動かないように、新しい課題に対応するには論理力を鍛える必要がある」と話す。
しかし、論理力が万能であるわけではない。
「深い教養が今、日本人に不足していると感じている。深い理解には、論理力に加え、感性が必要」
例えば「きれい」「汚い」という言葉しか知らないと、世界はそこで終わってしまう。
見習うべきは、枕草子や源氏物語などの古典の言葉であり、今こそ日本人は「名作」を読むことに目を向ける必要があると話した。
【2014年1月1日】