高学年全クラスにICT環境を整備―茨城県・土浦市立乙戸小学校

 土浦市教育委員会では、「小中連携の強化」を目的に、小学校高学年と中学校のICT環境整備を強化している。9月に整備が完了したという土浦市立乙戸小学校(岩田利美校長・茨城県)を取材した。

茨城県・土浦市立乙戸小学校

ICT環境を整備

6年社会では写真を拡大して説明

ICT環境を整備

英語教材「Hl,Frlends」はALTも活用

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6年理科でもデジタル教科書が活躍

  市の小学校には5、6年生の普通教室に短焦点のプロジェクターを天吊で固定設置。書画カメラも導入した。同時に小学校に配備したデジタル教科書は、国語(東京書籍)、算数(大日本図書)、理科(大日本図書)、社会(東京書籍)。英語は、デジタル教材「Hi,Friends」を活用している。中学校にも国語(東京書籍)、数学(大日本図書)、理科(大日本図書)、社会(東京書籍)、英語(東京書籍)のデジタル教科書を配備。

  これらの整備は、全8校区のうち2校区ごとに進め4年で完了する計画で、情報教育サポーターも合わせて配備。現状、各校に週1回ペースで巡回している。

高学年全クラスで デジタル教材活用

  土浦市立乙戸小の高学年4クラス(6年2クラス、5年2クラス)には、プロジェクターが黒板右端に固定で設置されており、高学年全ての教室でデジタル教科書や教材などを提示しながら説明や発表などを行っていた。

  5年1組の国語では、「しっかり聞く」ことをテーマにしたNHKの教育向けコンテンツ「NHKforSchool」を提示。児童は視聴しながら「大切なこと」をメモしている。教師はコンテンツ提示を中途で停止しながら、登場人物が「なぜ話すのを途中でやめてしまったのか」「この聞き方はどのような印象を与えるのか」などと質問。児童は意見を発表し合う。

  授業の終盤、児童のノートを見ると「話の聞き方で相手を勇気づけることができる」「知りたい気持ちを全身で表現する」など、その日の学習で学んだことがまとめられていた。

  5年2組の英語では、デジタル教材「Hi,Friends」を提示しながらALTとのTTで授業が進んでいる。

  バラバラのパズルを組み合わせてアルファベットを見つけるワークでは、答え合わせを電子黒板上でできるので、挙手する様子も元気いっぱいだ。

  6年1組の理科では、デジタル教科書を提示しながら実験の振り返りを行っていた。「二酸化炭素を取り出して水とまぜたもの」に石灰水を入れる、温めるなどの実験結果を各班が発表しながら考察をまとめている。

  重要事項やポイントについてはデジタル教科書の該当部分を拡大しながら説明する様子が見られた。

  6年2組の社会でも、電子黒板上にデジタル教科書を提示。この日の学習内容は「日本が世界の中で再び認められるまでを調べる」というもの。教員は、教科書テキストの一部を拡大して、サンフランシスコ講和条約や安全保障条約など重要事項を説明している。

  5年生の算数でも、デジタル教科書が活躍していた。正方形の数と辺の数の関係を式で表す内容で、デジタル教科書内のアニメーション教材を活用して求め方を説明し、理解を深めている様子が見られた。

ICT支援員は 週1でサポート

  岩田校長は「夏休みに研修後、2学期早々に活用が始まった。短期間ですぐに使えるようになって驚いている。画面提示を上手く活用することで、児童の集中力が途絶えにくくなったと教員も喜んでいる」と話す。

  プロジェクターの固定設置により、これまでとは異なった視点で授業研究や意見交換も進んでいる。

  岡野浩則教務主任は「授業は板書が基本。土浦市の整備は黒板上にプロジェクターを投影するスタイルなので、これまで以上に板書の精選が求められる」と話す。

  また、高学年の全教室整備が完了したことで、PC室や、既に配備済の移動式電子黒板やプロジェクターは主に低〜中学年が活用しており、児童や教員ともに「高学年になれば教室でICT活用ができる」と楽しみにしている様子が見られるという。

  整備に合わせたICT支援員の配備も、迅速な活用を後押ししているようだ。

  ICT支援員については、情報モラル教育にも対応できる教育情報化コーディネータ2級取得者の指導管理の下、活動している。

  「週1回、ICT支援員のサポートがあるということで大きな安心感があり、積極的な活用につながっている」そうで、教材配備がない教科でも書画カメラやデジタル教材などを使った提示機能の活用が進んでいる。音楽では書画カメラなどを使って口の開け方なども指導しているという。

  また、教員の要望に合わせたデジタル教材作りにも対応しており、2年生国語「ビーバーの大工事」では、ビーバーが作る400メートルのダムのイメージを持ちやすいよう、学校周辺の地図を使った教材作成を依頼したという。

【2014年1月1日】

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