H24 学校教育の情報化 実態調査 ソフト面整備に伸び

教員のICT活用力調査で佐賀県が飛躍

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 平成24年度「学校における教育の情報化の実態等調査」結果が公開された。これは全国の全公立学校(小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校)を対象に、平成25年3月時点での学校におけるICT環境の整備状況と教員のICT活用指導力を調査したもの。昨年度と比較して特に大きな進捗が見られたのは、デジタル教科書や校務支援システムなどソフト面の充実だ。佐賀県ではICTを活用した研修を受講する教員が98%と大幅に上昇、その結果「教員のICT活用力」調査において、全校種平均値では5項目中4項目がトップとなった。

ICT環境整備

  教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数は平均6・5人と微増。最高は鹿児島県の4・5人、最低は愛知県と埼玉県の8・2人。なお昨年度比で整備率の伸びが顕著に見られるのが、佐賀県、沖縄県、福井県。

  学習者用端末は30万4119台でそのうち半数以上が小学校に設置。うちタブレット端末は3万6285台と前回比約1万増。

■校内LAN整備率

  普通教室の校内LAN整備率は84・4%と微増。平均を超えているのは26府県で、最高は96・8%の岐阜県、最低は56・8%の青森県。このうち、普通教室における無線LAN整備率は前年23・7%であったが本年は23・2%と微減。
超高速インターネット接続率は平均75・4%と昨年度比4・1そ増。平均を超えているのは21都府県。最高は京都府の98・6%。最低は群馬県の51・9%。昨年度比で大きく整備が進んだ自治体は、栃木県、埼玉県、富山県、石川県、島根県、岡山県、徳島県。

■校務用PC・ソフト

  校務用PCの配備率は37都道県が100%を超えた。平均値は108・1%と昨年度比5・3そ増。最高は島根県の131・3%。最低は奈良県の66・4%。大阪府は約20%以上整備率が伸び、88・6%となった。このほか昨年度比で沖縄県、熊本県、千葉県、京都府の整備が大きく進んだものの、このうち100%を超えたのは熊本県のみ。

 校務支援システムのある学校の割合も増えた。平均76%と前年比7・7ポイント増で平均を超えたのは26府県。最高は100%の大分県、佐賀県、山口県。90%超は、これに加えて広島県、徳島県、長崎県。最低は40・6%の福島県。

  この1年で特に大きく整備が進んだのが、徳島県、熊本県、島根県、奈良県、大阪府、福井県、茨城県、秋田県だ。大阪府は昨年度ワースト3に入っていたが整備が大きく進み、平均値を超えた。

  校務支援システムの運営形態でクラウドコンピューティングを導入している率は3割を超えた。

■電子黒板・実物投影機

  電子黒板は7万2168台と昨年度比7812台増加。74・7%の学校が所持しており、1校につき2台以上が整備されている。最高は佐賀県の95%。9割を超えたのは同県のみ。佐賀県ではこの1年で17・7ポイント整備率が伸びた。最低は宮崎県の52・7%。

  現在全国の小中高等学校に整備されている電子黒板7万2168台のうち、普通教室に設置されているのは2万7412台、特別教室等には2万3480台。なおPC室の電子黒板の設置率は33%で、電子黒板があるPC室は3校のうち1校ということになる。

  平成20年から調査項目に加わった実物投影機は昨年度比1万5470台増で14万1398台。そのうち小学校の普通教室には5万8903台(小学校の普通教室数26万1532)で、23%の小学校の普通教室に実物投影機があることになる。プロジェクターは15万8852台と昨年度比で約5000台増。デジタルTV(またはデジタル対応化済のTV)は47万5029台が設置され、97・1%の学校が整備済。

  デジタルカメラは36万8132台で昨年度比約1万台増。小学校では1校について10台以上、中学校では約10台、高等学校では7台以上のデジタルカメラがある。

指導者用デジタル教科書 小学校37.4%導入
研修の充実でICT活用指導力に伸び

■デジタル教科書

  デジタル教科書(指導者用)の整備率は全国的に上昇傾向だ。

  小学校の整備率は37・4%、中学校は35・5%。高等学校の整備率が4%以下であることから平均値では32・5%になるものの、昨年度比で10%程度伸びた。高等学校向けデジタル教科書の製品増もあり、今年度はさらに伸びが見られそうだ。

  今回整備率50%を超えている自治体は、福井県、石川県、佐賀県、静岡県、熊本県、沖縄県。特に佐賀県と福井県は昨年度比でそれぞれ約30%程度整備率が向上。最高は福井県の59・9%。最低は北海道の7・5%で10%に満たない唯一。平均を超えているのは22都府県。

学校におけるICT環境整備状況(都道府県別・全校種)

電子黒板のある学校の割合 校務支援システムの整備状況
順位 都道府県 順位 都道府県
1 佐賀県 95.0 1 山口県 100.0
2 和歌山県 89.8 2 佐賀県 100.0
3 大阪府 89.4 3 大分県 100.0
4 愛知県 86.4 4 広島県 957
5 富山県 85.8 5 徳島県 93.8
デジタル教科書の整備状況 学校CIOの設置状況
順位 都道府県 順位 都道府県
1 福井県 59.9 1 佐賀県 64.7
2 石川県 57.5 2 埼玉県 49.1
3 佐賀県 56.6 3 京都府 47.8
4 静岡県 53.3 4 山口県 46.1
5 熊本県 51.9 5 沖縄県 45.4

 

ICT活用指導力

  教員のICT活用指導力は5大項目・18小項目についてについて調査。昨年度に比べ全項目について進捗が見られる。
小学校では全項目において、中学校では4項目において佐賀県がトップ。高等学校では5項目とも愛媛県がトップとなっている。

  佐賀県では、「平成24年度中にICT活用指導力の各項目別に関する研修を受けた」と回答した教員の割合が98・2%と群を抜いて高い(全国平均は28・2%)ことから、昨年度の研修の成果が表れた。なお50%を超えているのは、このほか愛媛県と大分県のみ。最低は秋田県の9%。

教員のICT活用指導力(都道府県別・全校種)

教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力 授業中にICTを活用して指導する能力
順位 都道府県 順位 都道府県
1 佐賀県 93.7 1 佐賀県 92.4
2 愛媛県 90.8 2 岡山県 88.0
3 岡山県 90.1 3 愛媛県 84.7
4 三重県 89.1 4 三重県 82.3
5 高知県 88.8 5 徳島県 80.1
児童・生徒のICT活用を指導する能力 情報モラルなどを指導する能力
順位 都道府県 順位 都道府県
1 佐賀県 84.7 1 佐賀県 90.9
2 岡山県 83.5 2 岡山県 89.6
3 愛媛県 80.8 3 愛媛県 87.7
4 三重県 78.4 4 三重県 86.6
5 高知県 77.0 5 徳島県 85.1
校務にICTを活用する能力      
順位 都道府県      
1 岡山県 93.4      
2 佐賀県 91.7      
3 愛媛県 88.6      
4 三重県 87.2      
5 高知県 84.4      

 

▼学校における教育の情報化の実態等調査=「コンピュータ整備の実態等」「インターネットへの接続状況等」「デジタルTV等の整備の実態」「教員のICT活用指導力の状況」を調査。文部科学省では昭和63年からの「学校における情報教育の実態等に関する調査」で、ハード・ソフト整備状況や教員に関する調査を開始している。

ICT教育フォーラム  東京都 11/18・19

  東京都教育委員会は東京都内及び武蔵野市において「ICT教育フォーラム」を開催する。【内容】第一部=「ICTの課題」講演「児童・生徒のスマートフォン等の利用に関する課題」・情報モラル電子教材の実演ほか。第二部=「ICTで授業が変わる」模擬授業・事例発表ほか。11月18日(月)東京都・日本消防会館/19日(火)武蔵野市・市民文化会館 両日とも14時〜17時。

教育の情報化フォーラム 岡山県総社市 11/1

  岡山県小学校教育研究会・情報教育部会県大会が総社市立総社西小学校で開催される。【内容】算数・体育の公開授業(デジタル教科書、電子黒板、実物投影機ほか)/総社市における教育の情報化の取り組み(校内研修、ICT環境整備、校務の情報化ほか)。11月1日(金)13時半〜16時半

 

【2013年10月7日】

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