8月19日、第6回「障害のある児童生徒の教材の充実に関する検討会」が文部科学省で開催され、「障害のある児童生徒の教材の充実について」報告(案)について最終審議がされた。同会議は6月より開始しており、約2か月余りで報告書が作成されたことになる。本報告書は当日の審議を受け、微調整を経、8月末に公表された。
報告書では「障害のある児童生徒の教材の充実の現状と課題」、「今後の方策」についてまとめた。本報告書でいう「教材」とは、「紙や具体物、ICTなど児童生徒の障害の状態や特性に応じて適切に活用される」ものであり、「1人1台のニーズに応じて教材等を活用することが効果的」であるとしている。また、障害のある児童生徒の教材の充実は、障害種を超えて活用できるだけにとどまらず、それ以外の児童生徒にとっても多様な形態での交流や共同学習を実現する可能性があると考えられるとしており、大南委員(全国特別支援教育推進連盟)は「この考え方は重要である」と指摘している。
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教材整備については、教材費用が地方財政措置において講じられていることを踏まえて整備を図ることが重要であり、セキュリティ等に留意しつつ校内LANの整備等の環境整備が重要とされており、様々な面で、タブレット端末を始めとするICT活用の積極的な推進が推奨されている。
なお円滑な指導のためには外部支援員の活用とともに、あらゆる教員が一定程度の知識・技能を有していることが求められているため、大学における教員養成研修、教育委員会における研修、各都道府県等の指導者層養成研修とともに好事例の収集と整理・情報提供が必要であるとしている。
本報告書を受け、早ければ今年度中、あるいは次年度に向けた実証実験等のスタートが予測される。例えば「学校と企業等の情報交換が促進されるような仕組みの構築」「主に高等学校段階の生徒を対象とした将来の自立と社会参加を意識した教育的支援機器について、民間企業等が研究開発を行なうことを促進する仕組みの構築」、「特別支援学校(視覚障害)高等部において、拡大機能を有するタブレット型情報端末により教科書デジタルデータを活用し、拡大教科書と同等に使用しうるための諸条件等に関する調査研究等」などだ。特別支援学校・学級をきっかけとしてICTの整備・活用が広がる可能性がある。
【2013年9月2日】
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