国立教育政策研究所は、グローバル化の進展等を踏まえ、高校生の論理的に思考する力の育成状況を把握・分析するための調査を初めて実施。3月末、調査報告書を作成した。調査実施対象校は160校5575人。それによると、比較的結果が良好な生徒が在籍している学校・教師は「自分の考えや意見を述べるときは、根拠が適切であるかどうか確かめさせる」(数学教師)、「講義中心の授業から問題解決中心の授業に転換を図っている」(学校)などに肯定的に取り組んでいる割合が高い。
本調査において最も通過率が高かったのは「事象の関係性について洞察する」(67・9%)、最も通過率が低かったのは「必要な情報を抽出し、分析する」(30・3%)。
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調査報告書によると、論理的な思考力の育成についての取り組みや改善について、国語・数学教師の7割が「本調査問題を解く力は社会で生きていくのに必要である」と回答しており、8割の学校が「生徒の思考力・判断力・表現力等を育成するための取り組みを行っている」と回答している。
しかし、「論理的な文章を読んで得られる複数の情報から必要な情報を選んで使う」「様々な考え方ができる事柄について幅広い情報を基に自分の考えや意見を発表する」指導を行っていると回答した国語教師はそれぞれ約5割。「論理的に考えることが大切であることを説明する」「1つの問題についていろいろな考え方を出させる」「意見を述べるとき、根拠が適切かどうかを確かめさせる」と回答した数学教師は各5割強。これらの質問事項の実施率が高いほど、生徒の問題通過率も高いことから、各論についての取り組みはまだ改善の余地はありそうだ。
また、上位生徒ほど「本調査問題を解いたとき楽しい」「調査問題を解くような力が必要であると思う」「問題を解くときは他にも解き方がないか考える」「いろいろなアイデアを考えようとする」「文学的な読み物、科学的な読み物を自分からよみたいと思って読む」などに対して、肯定的な回答をしている割合が高い。
http://www.nier.go.jp/kaihatsu/tokutei_ronri/
【2013年5月6日】
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