5年社会科「くらしを支える情報」でインテルとビデオ会議ー札幌市立稲穂小学校

 札幌市立稲穂小学校(上村尚生校長・北海道)の山田秀哉教諭は5学年社会科において21世紀型スキルを育む目的でプロジェクト型学習を実践している。学習内容は「くらしを支える情報」。その一環で2月12日から4日間に渡り、5年1〜3組87名とインテル本社をビデオ会議でつなぎ、同社社員から情報端末やネットワークの未来、健康増進や医療現場におけるICT活用例など最先端の情報提供を受けた。児童はこれら最新の知見をプロジェクト型学習の中で活用する。初日のビデオ会議の様子を取材した。

インテル

インテルの一室から"最先端"の情報を提供

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3クラスと同時にビデオ会議

 インテル本社のモニタには、スカイプを通して3クラスの教室の様子が映っており、稲穂小の各教室にある50インチテレビにはインテル本社の一室が映っている。

  初日の講演テーマは「情報端末やネットワークの未来」だ。同社イノベーション事業部の竹元賢治氏は、キーワード「つながる」を子どもたちに提示し、モノとモノ、モノと人、ビッグデータと呼ばれる膨大な情報などがテクノロジーでつながることで思いもかけぬサービスや製品が生まれ生活を大きく変える可能性があること、そんなサービスのアイデアを今後創出していくのは今ここに座っている皆であるということを、事例を交えながら伝えた。

発想転換のきっかけに “最新情報”学校に提供

  アメリカでは現在「クラウドファンディング」と呼ばれるサービスが注目を集めている。これはクリエイターがアイデアを公開し、賛同者を募ってそれを実現するための資金を世界から集めることを仲介するもので、中でも「キックスターター(Kickstarter)」が有名だ。今後は、世界中の人に協力を募ってアイデアやビジネスを実現していく時代になりつつあり、そのためには英語を使えるようになることも重要であることも伝えた。

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  授業者の山田教諭は、札幌の子どもたちの「21世紀型スキル」力を強化したいと考えており、札幌で実施されたIntel teach MT training研修で、21世紀型スキルを育むためのプロジェクト型学習について学んだことがきっかけで本実践に取り組んだ。

  社会科第5学年の学習指導要領では、「我が国の情報産業や情報化した社会の様子について、『情報化した社会の様子と国民生活とのかかわり』を調べ、情報の有効な活用が大切であることを考えるようにする」「調べる内容は、教育、福祉、医療、防災などの中から選択」(一部抜粋・編集)という記述がある。

  そこで授業では、医療を選択し、「健康増進に役立つ情報端末を設計する」ことを学習のゴールとして設定。端末の設計にはサービスのしくみが含まれており、医療現場における情報やICT活用例の調査、携帯電話やスマートフォンの歴史や未来などを調べることになった。

  子どもたちはインテル社員による4日間の講義の後、プロジェクト型学習で、「健康増進に役立つ情報端末作り」のアイデアをグループごとに考え、発表する。2月末の発表会ではインテル本社の技術者らもビデオ会議で参加、講評、アドバイスが行われた。

  今回使ったビデオ会議システムはタブレットPCとSkypeだ。インテルの竹元氏はこれについて「遠隔授業が日本の学校に馴染むまでは、無料提供されているシステムをどんどん利用して便利な面、不便な面を両面で実感することも大事。そうすることでビデオ会議の有用性も見えてくるし、より便利で確実なビデオ会議の導入の検討が具体化する可能性もある」と考えている。

  本学習における企業参加については、「テクノロジーによって最先端の現場で今まさに何が起きているのか、起ころうしているのか。先生だけでは伝えきれないリアルな世界をインテルが教育現場に提供、フォローできれば。情報の受け手から送り手になるための発想転換のきっかけとして、これら知見やノウハウ、感覚を新しい端末作りのアイデアに活かしてほしい。ビデオ会議ならば、オフィスからでも情報を提供しやすい」と話す。

【2013年3月4日】

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