英語デジタル教科書で "聞く" "話す" 活動に重点ートキワ松学園中学校

トキワ松学園中学校

英文を読み上げている部分がワクで囲まれる

 トキワ松学園中学校(東京都・金谷三枝子校長)では「コミュニケーション能力」「プレゼンテーション能力」の備わった女性を育てることを教育目標としており、カリキュラムや授業の工夫に取り組んでいる。今年度は70インチの電子黒板3台を導入、各教科で活用しており、英語科ではデジタル教科書も導入した。英語科の平山朝子教諭にデジタル教科書の特長や使い方を聞いた。

ハードルを上げながら ”繰り返し”
”英文丸ごと理解する力” 育む

トキワ松学園中学校

内容のやりとりで意味を把握する

  同校の英語科では、英語を使ったコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力育成を目標にしており、それに伴い今年度より、英語の教科書を「COLUMBUS21」に変更した。さらに1学期半ばより、光村「COLUMBUS21」デジタル教科書の活用も始めた。

  平山教諭は、「COLUMBUS21は学年を通してストーリーがつながっており、生徒は英語で読み物を読むように内容に入り込んでいきやすく、さらにアクティビティも多く含まれているので、実践的な英語力を目指す本校に合っていると採択しました。週2時間ある英会話授業とも連携しやすい内容だと教科内で意見が一致しています」と話す。

  各ユニットの終わりには、リスニング教材がある。COLUMBUS21のリスニング教材の、少しずつ難易度が上がっていく点は生徒の力を伸ばすために良いと考えている。

  電子黒板もデジタル教科書も今年度から使い始めたばかりで、当初は操作に戸惑ったものの、今ではスムーズに活用できるようになったという。

逐語訳はしない

トキワ松学園中学校

本文の単語を隠す量を増やしながら
繰り返し読んでいく

  1時間の授業の流れを聞いた。

  最初は歌、次に辞書引きの練習、単語や文法事項の口頭練習。その後は本文に入る。

  まずは前時の復習で、デジタル教科書の「ピクチャーカード」を提示し、本文を聞きながら内容について質問していく。

  新単元に入る際には「フラッシュカード」で、速さを変えたり音声を消したりなどして、単語を様々な方法で練習し、意味と共に音を頭に刷り込ませる。

  次に文法事項の学習だ。解説の後は、前置詞の学習ならば「本文の前置詞にラインを引く」、過去形の学習ならば「本文の過去形にラインを引く」などの活動を教科書本文上で行ったあと、デジタル教科書で答え合わせを行うこともする。

  生徒は電子黒板に線を引くことが楽しいと感じているようで、答え合わせのときの挙手が増えたという。

  次にデジタル教科書の音声を聞きながら本文を繰り返していく。

  「生徒は教室の前にあるデジタル教科書を見ながら読むため、顔が上がっているので、どの箇所が苦手なのか、どの子が十分に読めていないかがすぐに分かり、その後の手立てを判断しやすい」「デジタル教科書では、今どこを読んでいるのか赤枠で表示されるので、音声を聞きながらその箇所の文章を見ることが確実にできる」など、デジタル教科書ならではのメリットを感じている。

 逐語訳はしない。

  文法事項などのポイントと単語の意味を理解して繰り返し内容に触れることで、おおよその意味はわかると考えているからだ。本文内容について生徒とやりとりをしながら、内容理解が十分ではないと感じたら、再度単語のフラッシュカードや文法事項などを復習していくようにしている。

難易度を上げて リーディング

  本文リピートがある程度できるようになったら、デジタル教科書上に提示した本文の単語をいくつかブランクにして隠し、さらにリピートしていく。

  ブランクにする作業は電子黒板上で生徒が行うことが多い。この作業も生徒は楽しんでいるそうだ。

  「英語は週6時間、うち教科書を使う時間は4時間ありますので、本文を繰り返すことに飽きてしまいがち。単語を少しずつ消しながら音読したり、ペアで役割練習の後に1人分の会話を消して練習したりなど、少しずつハードルを上げることで飽きないようにしています。ゲーム感覚で取り組めるようで、多少ハードルの高い課題でも楽しんでいます」
授業をコントロールするのは教員。ICT機器はなくても授業はできるが、あれば生徒のモチベーションを上げ、授業効果を上げることができると話す。

  今後も、デジタル教科書のメリットも活用しながら「聞く・話す」活動を多く取り入れ、「英語で情報をインプットし、自分で価値判断し、英語でアウトプットする力を身につける」授業に取り組んでいく考えだ。

【2013年3月4日】

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