21世紀型スキル育む授業力を身につける―埼玉県教育委員会

 埼玉県教育委員会は、インテルと東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(以下、CoREF)の協力を得、児童生徒の 21世紀型スキル(※1)の育成を目的とした教員研修に取り組んでいる。全3日間の研修には、小中高等学校の教員89名が参加した。12月に行われた研修の最終日では、研修の成果と課題を共有するため、埼玉県立総合教育センターで実践授業報告会が実施された。

教員研修で協調学習

 8月までに実施されている2日間の研修により、教員はすでに「Intel<外字>ュTeach(※2)」で児童生徒が自ら考える思考支援型の授業手法と、CoREFの推進する協調学習の手法「知識構成型ジグソー法(以下、ジグソー法)」を学んでいる。「ジグソー法」とは、全体課題を設定し、3〜4グループに分かれてそれぞれ異なる課題について調べる「エキスパート活動」の後、各グループから1名ずつ選出した班になり、教え合って知識を共有、班にもどり全体課題に対して考えをまとめ、最後に各班の意見を発表し合い(=クロストーク)、相互共有する学習スタイルだ。

 受講教員は9〜12月の期間中に各校で情報共有サイトとIntel<外字>ュTeachのオンライン版を活用し、実践している。研修の3日目にあたるこの日は、その内容を発表し共有し合った。

  秋元和美教諭(和光市立第五小学校)は、4年社会科「台地をひらく〜三富新田の開発〜」の実践を報告した。授業の全体課題は「どのようにして三富新田が開拓され、人々は暮らしてきたのか?」。各エキスパートの課題は「開拓の様子」「農家の方の知恵と努力」「さつまいもと三富新田のつながり」の3つ。三芳町や農家のHP、和光市社会科副読本などの資料を活用し課題に沿って調べ学習を行なった。成果として、課題をしっかり把握することで、ポイントを押さえた調べ学習ができたこと、発表の途中でも分からないことがあると話している人に質問するようになるなど注意深く聞く様子が見られたこと、自分の言葉で説明しようと努力していたことなどを上げた。

  長野真吾教諭(戸田市立笹目中学校)は、1年理科「物質のすがた」の授業を報告。実験で4つの粉末(砂糖、食塩、重曹、小麦粉)の性質を調べ、それらを簡単に見分けるための実験方法を見出すというものだ。クロストーク活動ではそれぞれの実験結果を報告し合い、どの実験法を使えば4種の粉末を区別できるか話し合った。長野教諭は「これまで以上に責任感をもって実験できた」、「粉末を区別するための実験の組み合わせについてよく考え、協調しながら実験を進められた」、「活発に話し合い発表できた」と報告した。

  CoREFの三宅なほみ教授は、「ジグソー法における協調学習は、一斉授業とは全く別の手法。一斉学習と比較すると時間は当然かかる。それを前提に授業をデザインしていく必要がある」と述べた。※1 社会の変化に対応して主体的かつ創造的に生きていくために必要な資質や能力「コミュニケーション能力」、「コラボレーション能力」、「問題解決能力」、「批判的思考力」、「ICT活用能力」等。

※2「授業方略」、「プロジェクト型学習」、「カリキュラム構成質問」、「評価 (ルーブリック)」、「テクノロジー活用」の5つの視点を盛り込んだ、延べ 36時間の教員研修プログラム。

【2013年1月1日】

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