【フューチャースクール推進事業視察報告】学習者端末活用“好事例”が増

“話す” ”聞く” ”学び合う” に活動に成果

 10月18日、フューチャースクール推進会議が総務省で開催され、実証校の視察結果が報告された。構成員からは、「小学校については実証3年目を迎え、良い事例が多数出ている」という意見が多く聞かれた。中学校については実証2年目であるが、授業や校外活動、持ち帰り学習など幅広い活用と共に、地域の避難所としての機能の可能性の検証や、小中連携、中高連携などについての取り組みが目立つ。実証校報告から特徴的な活用についてまとめる。

葛飾区立本田小学校

  2年生生活科「図書館探検をしよう」の単元で、地域の公立図書館に行き、タブレットPCの内蔵カメラを活用して撮影、インタビューなど取材記録をとった。その後数回の授業でタブレットPCを使って4人グループで資料にまとめ、その成果をクラスで共有。図書館のガイドブックを作成した。タブレットの活用によって、より注意深い観察が可能になったと報告された。

内灘町立大根布小学校

  同校の企画により、FS実証校である高松小学校、本田小学校、足代小学校の4年生が各3回程度の交流授業。タブレットPCを使って自己紹介、学校紹介、地域紹介資料を作成する。成果物は協働教育プラットフォームを介して学校間で共有。IWBを使って学校間でWeb会議を実施、対面交流を行う。準備段階でも教員間の打ち合わせでWeb会議を活用。既に1回目は実施済で、大根布小学校の児童からは「IWBで相手の顔が見えると緊張が解けた」、「相手校の自己紹介が詳しくて分かりやすかった」「互いの地域のことをもっと教え合いたい」と肯定的な感想が多数。

寒河江市立高松小学校

  6年生社会科「三人の武将と全国統一」の単元で、週末にタブレットPCを持ち帰り、調べ学習。動画素材を用いた調べ学習の際は3G通信端末も持ち帰って利用。発表資料にまとめる学習では、ファイルをタブレットPCにローカル保存して持ち帰った。

広島市立藤の木小学校

  災害時のICT環境の利活用に関する実証に取り組んだ。SNS等のコミュニケーション手段により、安否確認後の迅速化、関係者間との共有を図ることができるかどうかを運用面から検証。

  さらに同校では、学習履歴のテストの採点結果をデジタル化、データベースとして蓄積するアプリケーションを活用し、学習履歴の記録・活用方策に向けた実証実験を準備中である。

東みよし町立足代小学校

  5、6年生を対象に、夏休み期間中、データ通信カードを用い家庭学習を実施。各児童が家庭からインターネット上の電子模造紙ソフトに接続し、意見交換をした。

  また、同校では、テストや作文等アナログ情報の成果物を含めた学習成果をデジタル情報として一元的・効果的に管理できるよう、スキャナーとバーコードシールによる紙・デジタルの連携方策を検証中である。

横浜国立大学教育人間 科学部附属横浜中学校

  ICT機器の授業での利活用が定着し、ネットワークの利用頻度が増えた。タブレットPCについては、1学期は1クラスあたり1日3回平均で活用。学習者用デジタル教科書の実証のため、初年度よりも活用頻度が増えた。総合学習時(週1回2時間)ではほとんどの生徒が調べ学習や論文作成で活用。小テストや学習課題などの電子ファイルの一斉配布・回収にも活用中。タブレットPCのWebカメラ機能を用いて国語領域「聞くこと・話すこと」で録画・再生。聞き手の立場に立って話す技能を向上する目的で授業を行った。利活用が多様化・高度化するにつれ、事前に教員やICT支援員が行う準備、テストが増えている。

  中高一貫に関しては、協働教育プラットフォームを活用する方策を検討中。【12月号に続く

【2012年11月5日号】

 

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