【特集】特別支援とICT

静岡福祉大学らが実証実験 ヘッドマウントディスプレイで災害時の聴覚障がい者を支援する

 静岡福祉大学、聴覚障がい者の支援を行っている特定非営利活動法人・長野サマライズ・センターは、シースルーモバイルビューアー「MOVERIO」(エプソン)と「字幕表示アプリケーション」(新日鉄ソリューションズ)を活用した聴覚障がい者の聴覚情報を補助できる新システムについて8月26日、4者による共同実証実験を行った。実証実験の監修は、同大社会福祉学部長の太田晴康教授ら。

  実験内容は災害時を想定し、聴覚障がいをサポートする手段としてシースルーモバイルビューアー「MOVERIO」を装着した聴覚障がい者が、眼の前に表示される災害情報や経路表示などを見ながら避難するというもの。目の前に避難経路が表示され、両手も自由にできるため、安全かつ速やかな避難が可能になる。

  実証実験では、「MOVERIO」を装着して避難する場合、避難情報が提示されたiPadを持ちながら避難する場合を比較した。

  実際に体験した参加者は「聴覚障がいの立場としては文字情報が提供されることは重要。MOVERIOならば周囲を確認しながら情報を得られるので、歩くときに安心感がある」、「MOVERIOは重たいが両手が自由になることがメリット」などの意見・感想が出た。

  エプソンの開発者は「一般の眼鏡の形に限りなく近づける方向で開発を進めており、近い将来必ず実現する」と話した。
太田教授は「障がい者など要援護者が参加する避難訓練の場はまだまだ少ない。今後もっと増やしていき、参加者の声を直接行政や開発者に伝えていく必要がある」と述べた。


 

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【2012年9月3日】

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