石井教諭は情報教育担当者として、著作権指導を各教科、総合的な学習の時間、道徳等に取り入れている。
第5学年では、総合的な学習の時間でプレゼンテーションを制作する際、ネット上の資料を利用するときに気を付けるべき事項について学習した。「事例で学ぶNetモラル」(広島教販)に収録されているショート教材「著作権の基本を知ろう」では、出展を明らかにすべき理由やコピー&ペーストが良くない理由などについて10分間程度で学ぶことができる。学習後には児童から「CDをダビングして友だちにあげたことがあった、それはいけないことだと分かった」という感想もあり、著作権への気づきが生まれ、短時間の学習であっても児童の意識に向上が見られたという。
第4学年では道徳の時間に、道徳用読み物教材「思い届けて」(同)から、「クラスのマーク」を活用。内容は、クラスのマークの募集・決定の場面で、友人のアイデアをまねて作品を作った主人公が、その作品を自分のものとして提出したことで起こす心の葛藤を描く話だ。著作権者を身近な友人とすることで、著作権に対するイメージがわきやすく、さらに学習の過程で著作権についての補足学習を自然な流れで行うことができる。
石井教諭は、同僚が自信を持って授業に臨めるよう指導案を企画、提案した。授業者は苦手な分野でも安心して指導することができ、また、児童には、著作者に配慮する意識が向上するなど予想以上の効果があったという。
小学校で著作権教育を行う留意事項として石井教諭は、(1)人がそれぞれの思いを込めて創作した作品を尊重する気持ちを持つこと (2)他人の作品は了解を得て使うことが必要であることに気付かせること (3)他人の作品を自分の作品と同等に考えられるようになること (4)他人の了解を得るということは社会のルールであるということ‐‐を理解させることを挙げた。その際、「事例で学ぶネットモラル」の各種教材を効果的に活用することで、授業経験の少ない教員でも自信をもって臨むことができるという。
■事例で学ぶ Netモラル
「事例で学ぶNetモラル」は、情報モラル教育を支援するソフトウェアだ。
ショート教材、45分教材、10分教材、読み物教材、指導用資料、保護者向け資料、校内研修用教材、DVDなどで構成。カリキュラム表は教材が一覧でき、各学年でどんな学習が展開できるかの目安にできる。ASP配信にも対応(オプション)。5年間無償でバージョンアップ対応。
読み物教材「思い届けて」は道徳の時間に情報モラル教育ができるように作成されたもので、提示用ソフト、DVD、冊子、指導資料集、場面絵(60枚)が同梱されている。小学校から中学校まで、すべての読み物に「ねらい」「あらすじ」「板書例」「展開例」「赤刷り」が用意されている。
詳細=広島教販 http://www.hirokyou.co.jp/netmoral/
【2012年8月6日】
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