外字の共通フォーマットを
行政や学校システムのクラウド化を進めるにあたり、障害の1つに外字の問題がある。
氏名には多様な漢字が使われており、PCに標準搭載されていない文字が多い。情報システムで正しく氏名を表記するためには、外字ソフトの利用や、独自に外字を作成する必要がある。しかしクラウド化を進めるにあたり、外字をバラバラに作成していると、データの互換性の観点から問題が生じる。
そこで、各自治体で独自に作成している外字に共通の文字コードを与え、取り扱えるようにしようという取り組みが進んでいる。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、内閣官房情報通信技術(IT)担当室、経済産業省とともに、各自治体から外字情報を収集、それら人名漢字等を中心に5万8712文字の漢字を収録した文字フォントとおよび文字情報一覧表を「文字情報基盤漢字」として2011年10月26日に公開した。本情報については、外字情報を提供した自治体に無料で提供されている。現状で、1386の自治体が活用している。
独自外字の実態を調査
総務省「自治体クラウドの円滑なデータ移行等に関する研究会」では、外字情報を提供し自治体を対象に外字の実態調査を行った。
1386の市区町村から、116万6536文字の外字情報を収集。それらを文字情報基盤に納められている漢字と比較結果、約24万字にあたる27%は文字情報基盤漢字に収録されており、残り73%は文字情報基盤漢字に存在しない文字であることが分かった。
文字情報基盤漢字にない文字には、新字体、俗字、漢和辞典搭載文字など、既に行政で利用されている文字や、手書きで戸籍に記入していたことによる誤字なども含まれており、これらは現状では外字ソフトを利用するか、独自に作成する必要がある。また文字情報基盤漢字は明朝体(IPAmj明朝フォント)1書体が提供されており、ゴシック体を利用できない点が課題。
<人名外字1500Ver.4>書体の多さが特徴
イーストが提供する「人名外字1500Ver.4」は、同社が自治体や教育機関などに提供してきた人名用外字3万字の中から使用頻度の高い1470文字を厳選して収録した外字フォント集だ。収録外字のほか、Webサイトから無償で200字までダウンロードして追加できる。
4書体(明朝体・ゴシック体・楷書体・行書体)収録バージョン、2書体(明朝体・ゴシック体)収録バージョンがある。毛筆版(楷書体・行書体)もあり。
【2012年7月2日号】
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