修学旅行をはじめとした学校行事に体験学習を組み込む学校が増えている。雪深い山村から米どころの田園地帯、そして日本海までの広いエリアで形成される新潟の、豊かな自然や人々との交流ができる「越後田舎体験」は11年の実績を持ち、リピート校も多く好評だ。同体験の魅力や教育的な意義をより多くの学校関係者に知ってもらうため、首都圏の教職員を対象に3月27日(火)、28日(水)、現地視察の有料モニターツアーを開催。参加希望者の募集を開始した。
民泊など実績豊か
「越後田舎体験」は平成10年から行政と宿泊施設・体験施設と地域住民が協力し、地域の人材・体験を共有し、広域エリアの体験事業として学校団体等の受入を行ってきた。エリアは、新潟県上越市、十日町市で、事務局(コーディネート)は雪だるま財団が行っている。
詳細=http://www.echigo-inakataiken.jp/
「そば打ち」など伝統の食文化 に触れる(視察予定) |
特に注目されている民泊(ホームスティ)は、児童・生徒が3〜4人のグループで農家に滞在し、地域で暮らす高齢者などと家族のように接しながら農作業や伝統行事、郷土料理を体験するもの。人や自然との交流を通して、子ども達は多くのことを学んでいくようだ。
その他、季節によって様々な体験メニューがある中で、人気のメニューは次の通り(越後田舎体験推進協議会資料より)。
○米作り:汗を流して米づくりから、自然と人の関係や思いやる心を育てる。
○漁業体験:地引網・魚のさばき、干ものづくりなど、漁師の普段の作業を体験する。
○雪国体験:四季折々の自然を舞台に、自然に触れ・自然を学び・自然と人との暮らしを考える。山間の豪雪期は3〜4mの雪との暮らしを体験できる。
○地域食づくり体験:昔から人々は自分で育て、手間をかけ食づくりを続けてきた。民泊先では積極的に食事の準備を手伝う。
○自然体験:自然の中で美しいもの、優しいもの、厳しいものなどを興味深く観察する。
現地で視察と交流
○対象:首都圏の小〜高校の教職員、12人(先着順、原則1校1名)
○行き先:新潟県上越市・十日町市
○日時:3月27日(火)〜28日(水)
○費用:1人5、000円(諸費用含む)
○内容:(1)体験学習・教育旅行と安全・災害指導の視点から現地施設等の視察(2)現地関係者との意見交換(3)アンケートなどへの協力
○スケジュール:表を参照
○主催:越後田舎体験推進協議会、新潟県上越市・十日町市
○申込み先:教育家庭新聞社へFAX又はEメールに、名前・学校名・役職・自宅連絡先を記入、標題に「越後田舎体験ツアー希望」と明記して下さい。
FAX=03・3864・8245
メール=kks@kknews.co.jp
越後田舎体験モニター日程(予定) |
「春山ハイキング」には説明と安全のため 10~15人に1人のインストラクターが同行する |
「わらぞうり作り」では自然の恵みを 無駄にしない先人の生活を体験できる |
「田植え」は昔ながらの手植え。 田んぼには素足で入り、 地域の米作りのプロが指導してくれる。 |
土地の人がインストラクター、リピーターが七割
越後田舎体験推進協議会によると、「越後田舎体験」の学校団体受け入れは平成11年度から、小学校1校、中学校5校、高・大学1校という実績で始まった。利用校は順調に増え、15年度には小7、中35、高・大45000人を超えた。
最新データの22年度は小11、中33、高・大6、約5500人。リピート率も16年度以降は7割台で安定、22年度は83%に達している。
同体験の特徴は何と言ってもメニューの多彩さ。日本海の長い海岸線、米どころ新潟の広い平野、そして棚田やブナ林がある日本の原風景が残る中山間部など、越後田舎体験のエリアは自然・環境・歴史民俗学習の適地。そして各体験プログラムは、土地の人がインストラクターとしてかかわるので、心の交流になっていると言える。
【楽しく受入れ】
受入れる地域は高齢化が進み、子どもの声が聞こえない地域も多く、ご協力いただく多くは高齢者世帯です。「孫が帰ってきたようだ」、「たまに来る子どもを受入れると元気をもらう」、「今度来る子どもたちに何をさせてあげようか」、「春にきた子どもが夏休みに逢いに来てくれた」など受入れていただく方からのうれしい言葉が聞こえてきます。各地域では受入れのための研修会や反省会、あるいは視察旅行や学校訪問なども実施し、地域の連携を持ちながら、自分たちも楽しんでこの事業に取組む姿がうかがえます。これからも「楽しかった。また来てほしいね」といった気持ちを大切にしながら受入れていきます。ぜひ、田舎のおじいちゃん、おばあちゃんに会いに来てください。〈推進協より〉
【2012年2月6日号】