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【特集】教員のICT活用力を育む

電子黒板7種類を研修【東京都教育委員会】

一斉学習に加え、協働学習も意識した機能も
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書画カメラで取り込んだ
ワークシートを説明
(サイバーボード)
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豊富な素材で教材を作成(eB-P)
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フラッシュ教材を自作(スマートボード)
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顕微鏡と接続(Mimio)
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スクリーンで隠して注目させる
(スターボード)
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書画カメラの画像を拡大して書き込み
(電子黒板ユニット)
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素材に書き込み問題を作成
(アクティブボード)

 東京都教育委員会は8月4〜5日、中学校の視聴覚担当教員を対象に都中視研夏季研修会「視聴覚教育の基礎と課題」を開催し、東京都内の視聴覚担当者が参集した。初日の研修は、電子黒板の種類とそれぞれの特性、電子黒板を利用した教材提示方法などで、電子黒板7種類と関連機器、デジタル教科書・教材について研修した。二日目は情報モラルと著作権、情報セキュリティについて。初日の研修の様子を紹介する。

 研修で取り上げられた電子黒板7種類は、プラズマ型電子黒板「サイバーボード」(パイオニア)、プラズマ一体型電子黒板「スターボード」(日立ソリューションズ)、ボード型電子黒板「スマートボード」(日本スマートテクノロジーズ)、ボード型電子黒板「アクティブボード」(ナリカ)、ユニット型電子黒板「eB‐P」(内田洋行)、ユニット型電子黒板「Mimio」(ニューウェルラバーメイドジャパン)、プロジェクター取付型電子黒板ユニット(エプソン販売)。それぞれの特長や授業活用例をICT支援員や各社の担当者が説明した。新機能として、分割画面による表示など協働学習を意識した機能なども。

  各電子黒板の特長をまとめる。

プラズマ一体型電子黒板「サイバーボード」(パイオニア)=授業で利用できる学校素材集を4400点以上装備。デジタル教科書時代に対応し、あらかじめ登録したデジタル教科書やコンテンツを呼びだすことができる。グループ学習用に、指とペンで2色の色違いで書き分けできる。Webカメラ(オプション)で子どもの解答用紙を撮影し、4人分のプリントを4分割で投影できる。

プラズマ型電子黒板「スターボード」(日立ソリューションズ)=小中学校に5000台プラズマ型を導入済。全世界で販売実績あり。ユニット型、プラズマ型、タブレット型、ワイヤレスタブレット型、ボード型を展開。全て同じソフトウェアで動く。Macにも対応。電子ペンだけではなく指や指示棒でも書き込み・操作できる。3人による同時操作にも対応。手書き文字や数字、図形はすべて整形して表示することもできる。

 2月に発売した書画カメラ「美写トル」は、4枚のワークシートを取り込んで4分割画面で表示、比較できる。

ボード型電子黒板「スマートボード」(日本スマートテクノロジーズ)=全教室数の10%に導入済。大画面表示が特長。感圧式なので基本的に専用ペンは不要、ツールバーなどで色設定を変えることができ、よく使うペンのパターンを登録できる。使いやすいよう4色のペンを持ち替えると色を認識するようにした。ペンはプラスチック製で壊れにくい。

ボード型電子黒板「アクティブボード」(ナリカ)=教室常設を想定した頑丈さが特徴。水ぶきOK。電子ペンの反応も早く黒板と同じ感覚で書き込める。専用ペンならば2本同時に使用可。電子ペンは電池不要、ペン先は交換可。
機能やテンプレートが豊富で教材作成に便利。

ユニット型電子黒板「eB‐P」(内田洋行)=既存の黒板やデジタルテレビを電子黒板として活用できる。

 スクリーン全面を自由な書き込みボードとして使えるホワイトボードを10枚用意。豊富な素材(グラフやコート図、人体ほか)で教材作成も簡単。

  ムービー機能で、書き込みや画面上の操作など全て動画として記録・再生することができるので、簡単な動画教材の作成ができる。

ユニット型電子黒板「Mimio」(ニューウェルラバーメイドジャパン)=既存の黒板を電子黒板として活用できる。携帯型電子黒板で世界シェアNO1。超軽量でワイヤレス接続。専用書画カメラと連動。ペンは充電式で、スムーズな書き心地が特長。手書き文字の変換もできる。保証期間5年で壊れたら交換可能。

プロジェクター取付型電子黒板ユニット(エプソン販売)=黒板だけでなくOHPスクリーン上も電子黒板化できる電子黒板ユニットは、ユニット型電子黒板のメリットを生かし、欠点を解決した。USB接続してアイコンをダブルクリックするだけでキャリブレーションを自動で行うことができる。左右に多少ぶれても再キャリブレーションは不要。

  ペンツールソフトは同社の壁掛け専用プロジェクターEBシリーズ(12Wスピーカー内蔵・3000lm)と同様。同社の書画カメラもワンタッチで呼び出しできる。なお8月発売の同社プロジェクター5種は「スライド式横台形補正」を標準搭載。オプションで天井設置もできる。

 

 

 

 

 

 

協働学習とデジタル教材 テーマに情報教育セミナー

協働学習は“協同学習”の蓄積に倣う
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「節電」テーマにグループでポスタ
ーを作成・発表

  「協働学習とデジタル教材」をテーマに「情報教育セミナー2011」が7月27日、東京都内で開催され、講演やワークショップが実施された。ワークショップは、「協働学習において、デジタル教材はどのように活用できるのか」をテーマに、情報端末iPadのグループでの活用、電子黒板使い倒し術、模擬授業で指導者用デジタル教科書習得、新聞制作授業の各テーマに分かれて行われた。主催は公益財団法人学習ソフトウェア情報研究センター。

  特別講演では、黒上晴夫教授(関西大学)が「協働的環境で学びを深める視点」をテーマに講演した。

  黒上教授は、「新学習指導要領では、『総合的な学習の時間』の項目に『協同』という文言が加わった。今、他の人とのやりとりの中で、相手への尊敬や尊重しながら協同して意見を交換し考えを深めていくことが求められている。これはOECDの掲げるキーコンピテンシーとも一致する。何をすれば児童生徒が『意見』を持つことになるのか、深まったことになるのかについて、教師がイメージを持たなくてはならない。総合的な学習の時間では、協同学習や交流学習、遠隔学習というキーワードで協力しながら学び合い高め合う授業の手法について実践が積み上げられている」と述べ、協同学習のポイントとして「自分たちの土地の『常識』をぶつけ合い、高め合うという授業デザインを意識したテーマ設定と、どこまで協同が進んでいるのかを教師がチェックし、次の一手を考える打ち合わせが重要」と話し、以下5点を挙げた。

(1)1人ひとりが意見を持っていること
(2)実生活を基にして情報を集めること
(3)地域独自の学習を盛り込むこと
(4)相手の条件が異なり、違う立場や違うことを知っていること。
(5)メディアをうまく使うこと

  フューチャースクールにおける協働学習プラットフォームについては「より安全でスムーズであることに加え、Eポートフォリオとして、学習成果の蓄積を有効に使える点に期待したい。テストによる評価では、テストで測れることしか測れず、思考している過程は、思考している様子からしか評価できない。Eポートフォリオが日本の子どもたちの学習の姿を変えていく可能性を生むのではないかと期待している」と述べた。

ワークショップ 情報端末 iPad グループで活用

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5教科のデジタル教科書を体験
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iPadのアプリを活用

  本岡朋教諭(和歌山市立藤戸台小学校)と鳥越和貴教諭(横浜市立北方小学校)が担当。本岡教諭はiPadのメリットとして、「とにかく反応が早く、指一本で操作できる。コンパクトで持ち帰りも簡単。バッテリーも約10時間もつ」と述べる。

  これまでの活用事例として、算数「図形の拡大と縮小」単元や、図工「顔の向きを意識して描こう」、総合「世界を知ろう」の中でのストリートビューの活用ほかの事例を紹介。朝の会でのニュース発表では、TBSニュースのアプリを活用し、取り上げたいニュース動画を選んでプレゼン資料を作成したうえで発表する。

  ワークショップでは参加者が実際にiPadを活用して「節電」をテーマにしたポスター作成を行った。ポスター作成はiPadのアプリ「Keynote」を活用。ネット上の素材を活用して個人でポスターを作成後、グループで伝えたい相手を意識しながら改善策を話し合う。最後にグループで1つのポスターを作り上げ、グループ毎に発表、意見交換を行う。

  参加者は何度も議論を重ね「建設的な妥協点」を探る学びのプロセスを体験した。

  本岡教諭は「提案する子どもには作文を書かせるなどして言語化させ、自分の意見を明確にさせる。提案を受ける子どもには提案内容から自分がどう考えたのか根拠を示して発表させる。自分の伝えたいものが何なのか意識させることが大切」と述べた。

電子黒板は 使い方次第

  佐和伸明指導主事(柏市立教育研究所)が担当。

  佐和氏は「電子黒板は使い方次第。配慮すべきは、何をどう映して何を考えさせ、気付かせるかという授業の目的の据え方。手元を大きく映すことができる、教科書の○ページを開かせるなどの指示を徹底させるなど、ICT機器を使うメリットは多い。

  多くのデジタル教材があるので、うまく利用していけば良い。デジタル教材は、子どもたちを『わかった気にさせる』ことができる。本当に分からせるかどうかは、教師の仕事。最も良い使い方というのは、授業目的によって変わる」と述べる。

  今後期待したい使い方として、各教科において新学習指導要領に明記されている「表現力の育成」について言及。「表現力の育成を目的に、子どもたちに如何に使わせるかを今後の課題に見据えたい」と述べた。

  その後、各グループでは国語(光村図書)、算数(東京書籍)、理科(大日本図書)、社会(東京書籍)、英語(英語ノート)のデジタル教科書を電子黒板上で実際に動かしながらその活用を考え、発表し合った。

指導者用 デジタル教科書で児童の発言が増えた【広島市立藤の木小学校】

「比較・考察」する力がついた
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教科書の一部を拡大して説明する
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白地図モードに書き込みながら
発表する
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宮古市と酒田市の日照時間を
比較する

  広島市立藤の木小学校(堀達司校長)は、昨年度より総務省フューチャースクール推進校として指定を受け、電子黒板を全教室に、タブレットPC(以下、TPC)は全児童及び全教職員分配備された。今年度からは国語、算数、理科、社会の指導者用デジタル教科書も導入、授業で毎日のように活用されている。小学校5年生の社会科の授業を取材した。授業者は同校研究主任の小島史子教諭。

  この日の授業は「なぜ庄内平野で米作りが盛んになったのか」についての考察だ。小島教諭は児童にその理由を予想させてから、デジタル教科書上の「土地利用図」を電子黒板に提示した。デジタル教科書「新しい社会」(東京書籍)ならば教科書と同じ図を電子黒板に大きく提示でき、さらにそれを「白地図化」して必要な部分のみ提示することができる。

  次に児童用TPC上に庄内平野の白地図を提示。児童は最上川、赤川(あかがわ)、日向川(にっこうがわ)、鳥海山などを各自書き込み、そこから考察したことを次々とTPC上にペンで書き込んでいった。

「はい、時間です」

  時間を区切り、TPCをロックすると、児童はTPCにそれ以上書き込むことができなくなり、作業は強制的に中止された。

  児童たちは、「田」に注目することで気づいたことについて「下流に田が多い」「田は全体として海側にあるが、海沿いにはない」など、電子黒板を使って発表する。

  「それでは海沿いには何があるのかな?確認してみよう」と小島教諭はデジタル教科書上の写真の一部を拡大し、森や砂浜、畑や果樹園、住宅などがあることを全員で確認していく。児童から「海沿いには人工林や果樹園など、人が造ったものがある」という意見が出た。

  海沿いに人工林等があるのは、季節風と言われる海風を避けるためでもある。小島教諭は「季節風について復習しよう」と、デジタル教科書の別のページをクリックし、既習事項である「季節風」についての映像を確認した。

  米作りに適した自然条件についてさらに考察を深めるために、小島教諭は酒田市と宮古市(岩手県)の月別日照時間をデジタル教科書から電子黒板に提示。まず、「宮古市」の日照時間だけを提示し、「酒田市のほうが日照時間が長い」と児童に予想させてから、1〜4月の日照時間を表示する。すると、児童の予想に反して酒田市の日照時間は宮古市よりも短い。

  「では5月以降はどうなっていくのかな?」と、さらにグラフを表示していく。クラス全員がグラフの行方に注目。「酒田市は稲が育つ時期の日照時間が長い」ことが児童の記憶に焼きついた。教科書上のグラフの一部のみを部分的に提示したり、いったん止めたりすることができるのもデジタル教科書の特長だ。

電子黒板の活用 頻度もアップ

  小島教諭は、今年度同校に赴任してから電子黒板やTPC、デジタル教科書の活用を開始したという。「デジタル教科書を使えるようになり、電子黒板の活用頻度が一層アップし、使いやすい教材の重要性を改めて感じました」と述べる。特に、振り返りの場面や全員で確認したいポイントについて全員でひとつの画面を共有して確認できるため、子どもたちの集中力が続きやすくなった。

  「一番大きな変化は、子どもたちの発言量が増えたこと。電子黒板やデジタル教科書を使うと説明しやすくなり、自分の意見を伝えたいと感じるようになったようです」

FS環境が いい刺激に

  FS推進校として整備された環境は学校や授業、子どもたちにどんな変化をもたらしたのか。

  堀校長は「各教室では毎朝電子黒板の電源が入れられており、一日中稼働しています。Webカメラを使って大きく映したり、デジタル教材を使ったり、チューナー付属なのでテレビとして使うなど、非常によく使っています」と述べる。

  TPCについては「個人の考えを整理したり、グループ学習で1つの作品を作り上げたり、考えの道筋を確認する」ことに活用しており、引き続き「話し合い活動」に資する活用法を検証する。

  デジタル教科書については、「まだ1か月程度ですが、導入前後で子どもたちの変化は明らか。デジタル教科書と電子黒板の導入で集中力の維持時間が長くなり、授業の進行に良い影響を与えています。視覚的に今取り組んでいることを示せる点は発達障害のある児童にとって認識が容易になるだけでなく、低学年でも有効。書写のデジタル教科書では、全体映像や筆先の映像を何度も見せることにより、子どもたちの筆さばきが見違えるようになりました」と話す。
また、デジタル教科書は各社出ているが、「制作スタッフや技術力などによってその内容や質が異なっていると感じます。将来的には、デジタル教科書の内容によって教科書採択に影響が出てくるのでは」と述べた。

11月と1月に 授業公開を実施

  今年度、同校の授業公開は、11月25日及び1月27日に実施する予定。学習者用デジタル教科書や電子黒板を活用し、情報モラル、体育、図工ほか各教科の授業公開を予定している。

児童・生徒・教職員用PC8000台 シンクライアント化で一括管理【千葉市教育委員会】

政令指定都市では初

 千葉市教育委員会教育センターは、市内小中特別支援学校176校の全教職員用と児童生徒学習用に8000台のPCを導入し、シンクライアントシステム「Cabinet(キャビネット)統合システム」を構築した。政令指定都市では初。

  仮想デスクトップ環境でPC本体にはデータを保存せず学校の学習用サーバおよび集中管理システムに保存することで、児童生徒の個人情報をUSBメモリなどで持ち帰ることなく、自宅PCから学校と同じ環境で仕事ができるようになる。

  ID入力とカード認証により、授業用PCと校務用PC、教員用PCと児童生徒用PCも安全に共有できる。

  また、各PCのリモート保守を可能にし、管理業務の簡素化も実現。これまで各校に出向き実施していたPCの保守作業も、センターから一括で実施できる。さらに、PC教室には、ネットブート型シンクライアント端末約5000台を導入し、児童生徒の個別学習にも対応する。

USB認証で自宅でも校内環境を安全に実現【東京都葛飾区教育委員会】

  東京都[飾区教育委員会は、区内の小中学校教職員1800人を対象に、学校現場での情報漏洩事故のリスクを低減するシステム「SASTIK 3 Thin‐Client Layer アカデミック版(以下=SASTIK)」((株)サスライト・東京都)を導入した。

  SASTIKは校外や自宅でも安全な環境で仕事ができるシステム。ユーザは専用のUSBキーをPCに挿すだけで、すぐに校内データ環境を利用できる。

  USBキーとパスワードで本人認証を行うことで成りすましを防ぐことができ、USB接続したPCにはダウンロードやコピー&ペースト、画面キャプチャリング、印刷等が禁止されるため、校外や自宅でも安全に重要データを扱える。

  USB本体は記録媒体を持たないため、万が一紛失してもデータ漏えいの危険は少ない。
詳細= http://www.saslite.com

ITで地理をもっと楽しく 自作デジタル地図帳の世界<上>

学習効果の高さを実感
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<図1>レリーフマップで世界の山脈や断層
を学習する
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<図2>ケッペンの気候区分地図で
将来の気候変動を予測する

  この1学期、「ほぼ毎時間デジタル地図教材を使う」というノルマを自身に課した。Google Earthをベースに、色々なデータを重ねた地図をオフラインで投影して生徒が白地図に写すパターンが定着した。提示がデジタルで、作業がアナログという折衷パターンだ。「電子黒板」も「教室にインターネット」も何もない環境だが、学習効果は高かった。何より、自分で説明図を描く時間を省くことができ、その分生徒の作業を見ることができた点が最大のメリットだった。2学期からも続けようと「仕込み」を続けている。その中からいくつか事例を紹介する。

  図1は、アメリカの海洋大気圏局(NOVA)が提供しているレリーフマップである。世界の山脈や断層を覚える際に重宝する。

  図2は、オーストリアの大学が公開しているケッペンの気候区分の地図である。特定の気候区の表示はもちろん、将来の気候変動の予測を知る事が出来る。「温帯」のエリアが拡がって行く北海道の様子などは、環境問題を考える上でインパクトがある。

  拡大や向きを変えるといったGoogle Earthならではの操作を再現するため、画面を動画で記録して投影している。近い将来、生徒が端末から地図や動画にアクセスする「デジタル地図帳」が実現するかもしれない。各サイトのURLは、拙職のWebサイト「いとちり」上にリンクがあるのでご利用いただきたい。

  次回は、地形図等を携帯情報端末に載せて野外調査に活用する「モバイルデジタル地図帳」を提案する。

伊藤 智章 静岡県立吉原高等学校教諭

▼プロフィール「高校地理・必修」の復活をめざし、超低予算、時間限定(50分で完結)、教科書準拠で実現可能な「パソコン地理実習」を広めるべく、失敗談を踏まえて「本音」で語る講習会を全国で実施。http://www.itochiri.jp/

【2011年9月5日号】


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