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人はいかなる過程を経て学んでいくのか、その過程を明らかにする認知科学が注目を浴びている。認知科学の手法を生かし、全米及び世界で「成功を実現させる能力開発メソッド」として実績を積んでいるプログラム「PX2」が、日本の学校に完全無償提供することを決定した。「PX2」とは具体的にどのようなプログラムで、何を実現するのか。開発者であるルー・タイス氏と日本版をアレンジしたBWFジャパン代表の苫米地氏が講演した。
「PX2」は、40年前にその前身となるプログラムが開発されて以来、認知科学者のアドバイスによってバージョンアップを続けたプログラムだ。本プログラムは2008年の北京オリンピックUSA代表チームも導入したもので、マイケル・フェルブスが8冠を獲得したことは記憶に新しい。ロサンゼルス全地区2番目に低レベルの高校において本プログラムを導入したところ、学業成績の平均指標は3年後100ポイント向上した。メキシコやラテン・アメリカ諸国の教育改革でも活用され、教員の質向上に貢献しており、イギリスでの大学で導入が決定するなど、全世界で導入が進み、実績を上げている。
本プログラム後の顕著な変化として、コミュニケーション能力や大学進学率、学習継続率が向上し、自信を持って主体的に目標を達成するための行動をとることができるようになるという。
「頑張れ」は 不適切な助言
開発者であるルー・タイス氏は本プログラムについて、「人に勉強しなさいと言われたとしてもモチベーションは向上しない。できることから始めよう、というアドバイスや、頑張れという言葉も不適切。では、ダメージを受けずにモチベーションを向上させるためには具体的にどんな思考回路を身につける必要があるのか。本プログラムでは、段階を追ったエクササイズを通して自分の強みについて自覚し、その可能性について前向きに捉え、潜在能力を高めていくことができる。まずは夢を抱くことが第一歩。望まないことは決して叶わない。夢を達成するための方法を考える力は自尊心から生まれる」と述べる。
無償提供は日本の学校だけ
今回本プログラムを無償提供するのは日本の学校のみだという。無償提供をするに至った経緯について、苫米地氏は「未来に必要な知識について判断し、新しい仕事に結びつけていく力が望まれている今、日本の子どもたちに大変向いたプログラムであると感じ、ルー・タイス氏に無償提供をお願いしたところ、快諾を得た。震災前に既にOKを得ていたが、震災後の今、一層必要性が高まっていると感じる。中国ではオリンピック委員会が次期大会に向け全面的に導入を決めている」と述べる。本プログラムは12単元構成。担当ファシリテータが派遣され、各校事情によって実施する。2時間程度の体験プログラムあり。問合せ=一般財団法人BWFジャパン(info@bwfjapan.or.jp @03・5785・4288) 詳細 http://www.bwfjapan.or.jp/
【2011年8月1日号】