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東日本大震災では、学校施設に多くの被害が生じたり、応急避難場所としての施設機能に支障が生じたりするなど、従来想定していなかった新たな課題が生じた。そこで文部科学省では、耐震化・津波対策など学校施設の安全性と防災機能、学校施設の省エネ対策や、応急避難場所として学校を活用する際に必要な施設機能などについて、6月より「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備に関する検討会」を開催。6月中に3回の検討会を実施、学校施設の今後の整備計画の参考とするために、7月中旬までに指針をまとめ、全国の学校や教育委員会に周知する方針だ。6月20日時点での方向性をまとめる。
検討会では、「生命確保期」、「生活確保期」、「学校機能再開期」に分類、それぞれの時期で必要とされる施設等について検討。それによると、備えることが重要とされたのは、水、食糧、毛布のほか、可搬式発電機、石油ストーブや燃料等備蓄物資、簡易トイレ及びそれらを確保するための倉庫、校内LANや無線通信設備等情報通信機器の整備と維持管理機能、ガス設備など。備えることが有効とされたのは、太陽光パネルや自家発電装置、耐震性貯水槽、保健室、和室ほか。
太陽光パネルについては、周囲の停電によりシステムが停止する事態もあったため、防災対応機能付きの太陽光パネルが望ましいとしている。また、今回の震災で予想以上に避難者の健康管理に役立ったのが畳やじゅうたん敷きのスペースであったことから、学校において畳等のスペース確保が望ましいとしている。
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なお文科省では平成22年3月に「地震による落下物や転倒物から子どもたちを守るために〜学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック」を出しており、振れ止め設置や落下防止ネット設置、外壁材の補強についての具体事例を示している。
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省エネ対策については、照明や空調など設備の高効率化に伴う断熱化や自然光・通風などの活用、スマートメーター導入による消費電力の「見える化」が有効であり、老朽化した既存学校施設はこれらを取り入れることでエコスクール化を図ることが考えられるとしている。
スマートメーターとは、通信機能付きの電力量計。電力会社とデータをやり取りして電気製品を制御したり、消費者に現在の電力料金や使用量を伝えることもできる。スマートメーター設置が拡がることで、例えば震災が起こった場合も「信号機と学校だけに電力を供給」するなどの制御が簡単になる。欧州、米国で普及が積極的に進んでおり、中国でも導入が開始している。
【2011年7月4日号】