TOP>教育マルチメディア>記事 |
最新IT教育―実践、成果を報告― |
平成22年度総務省予算による「地域雇用創造ICT絆プロジェクト」(以下、絆プロジェクト)では、24件46校が採択されている。埼玉県毛呂山町立川角小学校もそのうちの1校で、無線LAN環境と児童1人1台計209台のiPad、インタラクティブホワイトボード(以下、電子黒板)7台が整備された。絆プロジェクトによる整備は授業をどう変えたのか。6月1日の3年算数の授業を取材した。授業者は鈴木和也教諭。TT1名、ICT支援員2名が授業をサポートした。
教材サーバにアクセスしてコンテンツを提示する |
授業は、1人1台のiPadを使った九九の練習から始まった。九九ソフトはアプリと呼ばれるiPad専用のもので、初級、中級、上級から問題を選択する。中級モードで45題出題され、早さや正答率により、級を獲得できる。子ども達は5分間、集中して九九の練習に取り組んだ。iPadを操作する際、子ども達は九九を読み上げながら解いていく。手軽な操作で楽しく練習問題に取り組むことができるのがiPadの特長といえる。
今日の学習のねらいは、商が1になる割り算や、割られる数がゼロの場合の割り算の意味の理解だ。鈴木教諭は今日の学習の問題を板書した。「□個のクッキーを4人で同じ数ずつ分けます。1人分は何個になりますか」。子ども達は今日の課題をノートに写し、□に入る数を変え、これまで学んだことを使って式と答えを書く。その後自分の考えを発表していく。
次に鈴木教諭は、学習の定着を図る目的で教材コンテンツを電子黒板に表示した。教材は、割り算について視覚的な理解を深めるもので、無線LANによって学校の教材サーバにアクセスして表示する仕組み。「□個のかき氷を忍者○人で分ける」という内容で、□や○に様々な数字を入れ、予想し、割られる数が1の場合や、商が1になる場面について再度確認した。
まとめの段階で、iPadは個人での練習問題に使われた。ICT支援員はiPadが使われていない合間、一人ひとりのiPadに次に使う教材コンテンツを表示し、子ども達がすぐに使えるように準備していた。この教材も、学校の教材サーバにアクセスして提示したもの。「仮想デスクトップ接続ソフト」により可能になる。
ICT支援員のサポートにより、授業で安心してICT機器の活用を進めることができる。
iPadでも一般教材を表示できる仕組みを構築 |
川角小学校のICT環境
同校では絆プロジェクトによる予算で、児童1人1台、計209台のiPadと電子黒板7台を整備。50インチのデジタルテレビを後付けで電子黒板化している。教室用PCは既に導入済。教育コンテンツは、百科事典ソフトや検索ツール、一斉指導にも使えるデジタル教材(算数1〜6年)、デジタル掛図「理科実験」(5、6年)、都道府県・世界の国セット(社会)、@発見島Movie(生活、図工)、小学校英語デジタルピクチャーカードなど。これらの教材は、「仮想デスクトップ接続ソフト」によりiPadでも表示、活用できる。このほか、iPad専用ソフト「アプリ」も活用している。無償有償含め、漢字練習ソフト数種、らくらく九九、都道府県や首都あてクイズ、GoogleEarth、録音・再生ソフト、簡易ピアノソフト、お絵かきソフトなどを利用できるようにしている。
【2011年7月4日号】