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新学習指導要領対応・教科書準拠
― デジタル教科書 特集 ―

 平成23年度学習指導要領に対応した「デジタル教科書」の準備が各社で進んでいる。クラス全員でひとつの教科書を見ることができ、教員の指導のしやすさや子どもたちの確実な理解の促進、集中力や持続力の向上が可能になるというものだ。教科書内容をそのままデジタルテレビ画面やプロジェクターなどで大きく投影することはもちろん、書き込みや挿絵・本文などの拡大、資料動画の提示、図形のシミュレーションなどの機能が搭載されている。
 デジタル教科書のどこにどのようなコンテンツを追加するのか、投影画面の見え方や資料の多寡、写真の解像度、ツールの使い勝手、追加機能の有無など、教科書以上に各社の特徴が際立つ内容になっている。
 国語は、光村図書、教育出版、三省堂、東京書籍、学校図書から、各教科書に準拠したデジタル教科書が準備中だ。算数は、東京書籍、教育出版、啓林館、大日本図書、学校図書。理科は、大日本図書、啓林館、学校図書。社会科は、東京書籍、教育出版。家庭科は東京書籍から。各社ごとに特徴を紹介する。

1)書き込みが記録に残るので授業前の作り込みができる 【光村図書】

2)デジタル教科書を編集できる「My教科書エディタ」を搭載 【東京書籍】

3)「教科書を見せる」にこだわり どこまで大きくしても美しい 【大日本図書】

4)シンプルな操作性と低価格 指導書には簡易版を同梱 【三省堂】

5)全ての教科で「言語力」育む 見やすい「色」「大きさ」を提案 【教育出版】


 

書き込みが記録に残るので授業前の作り込みができる 【光村図書】

導入校の声をもとにブラッシュアップ
 光村図書出版では、平成23年度版の小学校国語教科書に準拠した提示型ソフト「光村国語デジタル教科書」を発売する。
 同社では平成17年度よりデジタル教科書を発売しており、既に3000校近い学校の導入実績がある。平成23年度版では、それら導入地区でのアンケート調査から学校現場の具体的な要望を丁寧に拾い、改善を加えた。新しい機能の追加、あるいは割愛など、総合的な使いやすさを目指し、授業においてより使いやすいツールとして磨きあげた。

 光村図書 デジタル教科書
マーカーで隠して、文章の関係を考える
光村図書 デジタル教科書
挿絵に吹き出しを付け、ワークシートを作る

「話す・聞く」「古典」手厚くフォロー

「使いやすさ」にこだわった機能
デジタル教科書の画面は、教科書紙面の見やすさが最も大切なポイントとなる。そこで、周囲の操作ボタン類を目立たなくし、児童の視線をより紙面に集中させることができるように配慮した。
教科書紙面全体が提示される「教科書ビュー」では、従来の見開き表示に加え、教科書紙面をスクロールすることで連続して表示できる機能を新たに追加。巻物のように移動して表示できるので、ページにまたがった重要な文章も一度に表示して学習できるようになった。
拡大機能については、挿絵や本文をダブルクリックするだけで、別々に拡大表示できる点はすでに高く評価されている。それに加えて、自由に教科書紙面そのものを部分的に拡大できる機能を追加した。
操作面でも、「画面をクリックしたかったのにペンで書き込んでしまった」といった誤操作が授業の流れの妨げにならないよう、自動的に切り替わる。
書き込みの機能も、よりシンプルに使いやすく改善した。ツールバーには、書き込み機能のボタンが3つ用意されているが、すべてマーカーにする、すべてペンにするなど、授業内容や好みに応じて変更することができる。例えば「赤いマーカー」と「青いマーカー」を常に表示しておくことが可能になった。
また、マーカーなどの太さや色をワンクリックで変更できるとともに、授業中に選択した設定はデジタル教科書を終了してもそのまま記憶されるので、授業のたびに設定し直す必要がない。
挿絵によく使われる「吹き出し」機能は、大きさを変えられるタイプと固定タイプが用意され、使いやすいほうを選択できる。こちらも、よく使うものが記憶され最初に表示される。
特別支援教育からの要望で追加したのは、喜怒哀楽表現を示すスタンプ機能だ。これにより、「読んで面白かったところ」や、「登場人物の気持ち」をスタンプで分類できる。

 光村図書 デジタル教科書
発表や話し合いの場面を動画で学習する
光村図書 デジタル教科書
筆順アニメーションでくり返し学習
光村図書 デジタル教科書
短歌の情景を示す映像と合わせて音読

デジタル教科書上で事前に教材作成も
 デジタル教科書を終了しても、書き込んだ記録がそのまま残る点も今回の大きな改善点だ。これにより、事前に本文中の「接続詞」だけを隠しておく、挿絵に吹き出しを追加しておく、音読記号を追加しておくなど、授業前の作り込みがデジタル教科書上で可能になった。授業で子どもたちに課題として提示できるばかりでなく、学習の流れを切らさぬように前時の書き込みを生かして授業を始めることができる。

既習漢字を繰り返し学習
 本文の新出漢字をクリックすると、漢字ウィンドウが開き、筆順アニメーションなどを表示できる。新出漢字だけでなく、既習漢字も常に筆順アニメーションが表示できるようになったので、いつでも繰り返し学習が可能だ。筆順アニメーションのスピードは、学齢や学習段階に応じてきめ細かく設定できるようにするなど、現場の要望を反映した。
 デジタル教科書ならではの参考資料は、従来からの動画資料、国語辞典や漢字字典の引き方を示したアニメーション、段落カードなどに加え、「古典作品」を味わう教材、「話し合いのしかた」「スピーチの模範例」などの「話す・聞く」に関する動画などを追加し、新学習指導要領に対応した。古典教材では、描かれた情景の映像を見ながら俳句や短歌に親しむ教材や古典作品に関する資料映像などが収録されており、古典学習に馴染みがない先生の授業展開をフォローする。

インターネットで 最新の資料や指導案を提供
 インターネットにつながっていれば、デジタル教科書からワンクリックで専用Webサイトにとぶことができ、インターネット上の情報も活用が容易になった。
 授業での活用を想定し、各教材に対応した厳選したリンク集を用意しているが、随時更新されるため、最新の資料を入手できる。また、専用Webには、教師用のサービスとして、過去の実践に基づいたデジタル教科書のモデル指導案もあり、書き込みの例やマーカーや線の使い分けの方法など、具体的な活用法を知ることができる。
毎年の教科書本体の訂正等に伴う細かいバージョンアップも可能になった。
 現在、体験版を配布中。光村図書ホームページより入手可能。予価(税込)=各学年6万8250円

 

 

 

 

 

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デジタル教科書を編集できる「My教科書エディタ」を搭載 【東京書籍】

  東京書籍 デジタル教科書
算数の画面。 消すことも できるツールパネル(左)は、
電子黒板の使用を想定して左右どちらにでも置ける。
消すこともできる。
東京書籍 デジタル教科書
取り組む問題だけを拡大できる(算数)
東京書籍 デジタル教科書
コンパスの使い方も動画でわかりやすく(算数)
東京書籍 デジタル教科書
フラッシュカードで国名や県名、地図記号などを
覚えることができる(社会)

教員のあらゆるニーズを反映

 東京書籍では、平成23年度発行の「新しい国語」1〜6年、「新しい書写」、「新しい社会」3〜6年、「新しい算数」1〜6年、「新しい理科」3〜6年、「新しい家庭」5、6年に完全準拠したデジタル教科書を発売する。
わかる授業のために必要な機能や資料を網羅、初任者からベテランの先生まで、授業の多様なニーズに応えられるよう、工夫を加えた。
大きな特徴のひとつである「My教科書エディタ」は、教科書にある写真や図を自由に置き換えたり組み合わせたりなどして、教科書をカスタマイズできる機能だ。教科書の図版や問題を使い、数字は変えるなど確認問題やオリジナル教材を手軽に作ることができる。ツールは、投影画面の左右どちらにでも置くことができる。
全学年で導入すると、例えば5年生で、3年生のときに学んだ教科書の内容を振り返ることができるよう、学年間リンクもできる。
教科書の例題の答えなどを隠すことができる「マスキング機能」や、豊富な高画質動画、標準的な指導案に沿った授業を展開できる授業支援機能(理科・社会のみ)も搭載。特別支援教育にも配慮、「分かち書き」や「総ルビ」付きのデータ(PDF)が用意されている。

東京書籍 デジタル教科書
最大4倍まで拡大できる(理科)
東京書籍 デジタル教科書
実験結果を記入するとグラフに表現される(理科)
教科書本文の「分かち書き」データ(国語)
東京書籍 デジタル教科書

調理方法の動画。関連動画もすぐに呼び出せる
よう画面上にサムネイル・メニューを配置(家庭)

【新しい国語】 「新しい書写」を同梱 手本映像も

  教科書の挿絵や本文を拡大表示できるほか、著者インタビューや「てびき」を深めるコンテンツ、児童による古典の朗読など単元に沿った音声や画像、映像資料を多数収録。全学年の漢字の書き順アニメーション、ひらがな、かたかな、ローマ字の一覧表も収録。
本文は絵巻物のようにスクロールして改ページを意識せずに表示することもできる。「新しい書写」のデジタル教科書を同梱し、硬筆や毛筆における手元から見た手本映像や筆圧を意識した淡墨の解説映像も収録されている。

 

【新しい算数】 問題解決学習を バックアップ

  問題解決学習のバックアップを目的に、教科書の行間を埋める様々なコンテンツを多数提供した。図形シミュレーションやアニメーション、動画コンテンツなどで「楽しくわかる」を実現した。My教科書エディタを使えば、教科書の図版を使った教材を手軽に作ることができる。

【 新しい理科】 単元始めに導入用動画クリップ収録

  「なぜ?」「どうして?」の疑問を引き出す仕掛けとして、単元始めに動画クリップを収録した。
すべての単元には、実現が難しい実験や観察などの動画を多数収録。写真画像は最大4倍まで拡大できる。
指導案に沿って教科書の写真やグラフなども提示できる授業支援機能は初めて使う先生をサポートする。

【新しい社会】フラッシュカードで知識を定着

  大画面の提示に適するよう、デジタル教科書のために新たに撮影した高解像度の動画を多数収録。グラフはアニメーション化されており、任意の箇所だけ表示したり、グラフの途中経過までを表示してその先の変化を予測させたりすることができる。47都道府県の名称と位置や地図記号、主な国名と位置、大陸や海洋などをフラッシュカードで覚えることができる。

【新しい家庭

  実技や実習活動をサポートする豊富な映像を収録。関連動画がひと目でわかるメニュー画面も収録、ワンクリックで「調理実習」の動画の「材料の切り方」など、説明したい箇所を呼び出すことができる。
説明用のイラストや資料にも工夫。離れて掲載されている、家の夏と冬のくらしの工夫を、移動しながら比較できる。

 

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「教科書を見せる」にこだわり どこまで大きくしても美しい 【大日本図書】

大日本図書 デジタル教科書画像
基本機能はシンプルに、画面下部に表示。
どこまで拡大しても美しい写真が満載。
大日本図書 デジタル教科書画像
拡大率最大100倍まで可能
大日本図書 デジタル教科書画像
大日本図書 デジタル教科書画像
資料編には、より詳しい写真や動画が入っている。
(上)空を飛ぶ動物とヒトの腕の骨について比較
できる (下)つなぐ端子の違いと針のふれの違い
について比較できる。

 大日本図書では、新学習指導要領に対応したデジタル教科書「たのしい理科」3〜6年、「たのしい算数」1〜6年を発売する。すべての先生にすぐに使ってもらえるよう、ツールは最大限シンプルにした。3色鉛筆、4色マーカー、消しゴム、選択、画面移動、拡大など、すべてのツールは1回クリックしただけで使うことができるので、授業をスムーズに進めることができる。ツールは、理科及び算数ともに共通。現在体験版配布中。

【たのしい理科】 最大100倍まで拡大できる

  美しくわかりやすい写真は理科の重要ポイントだ。「たのしい理科」のデジタル教科書は、すべての写真をどこまで拡大しても美しくくっきり見える点にこだわった、解像度の高いデータが特徴だ。最大100倍まで拡大できるという解像度は、教科書の写真では見えない箇所も、デジタル教科書の写真を拡大すれば見えるので、「発見」の楽しさを味わうことができる。
 教科書を効果的に見せることにもこだわり、提示したときに見やすくかつ教科書らしく見えるよう、AB版の教科書と天地の割合も同じになっている。
 デジタル教科書の「資料データ編」は、教科書からさらに学習を広げることができる。教科書の単元ごとに、指導の流れに沿ってデータを提示できる提示用教材で、画像やハイビジョンクリップなどが同梱されている。学級担任はもちろん、理科専任教員のニーズにも応えられるよう配慮した。

【たのしい算数】 先生に役立つ仕掛けを満載

  「たのしい算数」には単元ごとに子どもの活動にあわせた仕組みが盛り込まれており、「わかる」授業をサポートする。
 図形領域のイラストや図版はアニメーション化されており、回転したり折り曲げたり移動させたりなどの仕掛けで「図形」を視覚的に理解することができる。
 分度器は大きく表示し、教科書の例題を実際に測ることができる。
 このほか、おはじきは動いて数を数えることができる、コンパスを使って円を書くことができる、図形を回転させたり切り取って動かし、面積の測定方法を視覚的に理解することができる、問題を拡大して書き込むことができるなど、必要な教材がデジタル教科書上で表現できる。

大日本図書 デジタル教科書画像 大日本図書 デジタル教科書画像
算数の教科書ビュー。ツールは理科と共通。
教科書上の図形を動かして分類したり、
拡大して回転させることができる。(右上)
□表示されている箇所にはコンテンツがある。
右下は「三角形の書き方」を説明したアニメーション

大日本図書 デジタル教科書画像

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シンプルな操作性と低価格 指導書には簡易版を同梱 【三省堂】

三省堂 デジタル教科書
本文や挿絵の拡大、線の書き込み、拡大ができる。
三省堂 デジタル教科書
漢字の読みを学ぶことができる箇所は目次に表示
三省堂 デジタル教科書
「学びを広げる」で、それまでに学んだ漢字全てを
確認できる。
三省堂 デジタル教科書
「漢字読みフラッシュ」では、漢字の読みを予め
学ぶことができる。

「国語の教科書」「言葉の教科書」2分冊で展開

 三省堂では、教科書準拠指導用デジタル教材「小学生のデジタル国語」1〜6年を発売する。
小学校では国語がほぼ毎日ある。そこで、普通教室で日常的に使ってもらえるよう、教科書の紙面を大きく見せることに主眼を置き、従来の板書とデジタル教科書が教室に共存することを念頭に開発した。コンピュータの活用が苦手な先生でも操作に迷いを持たず使えることに重点を置き、操作もシンプルだ。
三省堂では、新学習指導要領より2年生以上の教科書を「小学生の国語」「小学生の国語 学びを広げる」の2分冊とし、年間を通じて2冊を使う(小学校1年生のみ従来の上下巻構成)。「小学生の国語」は従来の上下巻を1冊にまとめ、教室で学ぶ一斉授業に使われる〈国語の教科書〉という位置づけだ。一方の「学びを広げる」は、児童が自ら使う〈言葉の教科書〉という位置づけだ。授業で学んだことや語彙学習のための教材、漢字を音訓から引くことのできる漢字活用辞典、読書資料など、様々な活用が考えられる。この2分冊をまとめてデジタル教科書にしたものが「小学生のデジタル国語」だ。
 「小学生のデジタル国語」は、基本機能とそのほかのオプション機能「参考箱」に分かれており、基本機能は「教科書の見開きページの表示」、「本文拡大」、「挿絵拡大」の3つ。本文拡大は、主な意味のまとまりごとに拡大するようにした。
 シンプルさを確保するため、投影画面の下部に出てくるツールは「マウス」「ペン」「朗読」の3つのみで、「マウス」ツールでは、選択、拡大、クリックなどができる。「ペン」ツールのデフォルトは赤のマーカーだが、線の太さ(3種類)、形状(棒線や二重線など5種類)、透明度、色(5種類)などを変更することができる。例えば「太い」「不透明」な線を選択すれば、本文などを隠す短冊機能として使うことができ、「透明」な線を選択すれば、マーカーとして書き込むことができる。フリーハンドや直線の書き込みもできる。書き込んだ線は次のページをめくっても保存されている。
 「朗読」ツールでは、すべての読むこと教材の朗読を聞くことができる。これまで提供していた朗読CDの機能をデジタル教科書に追加した。さらに低学年向けには、挿絵を使った読み聞かせモードを追加。挿絵だけを見せ、収録された朗読や教師の朗読を聞かせることができる。

「漢字フラッシュ」で予め漢字の読みを学ぶ

 漢字学習は従来、物語や説明文の学習をしながら学ぶものであったが、三省堂では「各領域を学習する前にそこで使われる漢字を読めるようにしておく」方式を提案する。デジタル教科書には、漢字学習教材「漢字読みフラッシュ」が教科書同様10回に分けて入っており、ルビなしモードとルビありモードが設定されている。最初はルビありで、定着が進んだらルビなしで、などの使い分けもできる。フラッシュ型教材で漢字の読みを繰り返し学習することで、定着を自然な形で図り、各領域の教材の学習にスムーズに入ることができる。
また、漢字の筆順や部首をアニメーションで見ることができる「漢字筆順アニメーション」も追加。書き方や筆順、部首などを一文字ごとに視覚的に学ぶことができる。

「参考箱」で学びを広げる 映像やゲームも

 デジタル教科書には、「参考箱」の中に学びを広げるためのコンテンツを追加している。「小学生の国語 学びを広げる」の関連ページへのリンクはもちろん、紙の教科書には収録しきれなかった様々なコンテンツを盛り込んでいる。語句語彙や文法などを学習するいわゆる「言語事項」の教材では、学習のポイントに気づくことのできる導入ゲームを用意した。カードをドラッグアンドドロップで動かすなど紙の教科書では実現したくてもできなかった要素を盛り込んでいる。
新学習指導要領から重点的に扱われる古典関係の教材では、落語や歌舞伎、狂言などの映像を収録し、古典の世界に親しむ資料を提供する。このほか、説明文教材でも補足資料として映像を追加する予定だ。

フルセット版は低価格で基本機能は無償で提供

 同社では、教師用指導書に、デジタル教科書の基本機能を同梱する。朗読やマーカーなどの機能はないが、教科書の提示、本文の拡大提示、挿絵の拡大提示をすることができる。まずは「拡大して提示して使う」ことに慣れることから始め、良さを理解してからフルセット版を導入することができる。
 フルセット版ではよく使う機能を厳選し、低価格を実現。現在体験版を配布中で、教育現場からの意見をさらに反映、バージョンアップを重ね、来年春までに完成する予定だ。税込価格=各学年2万9400円

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全ての教科で「言語力」育む 見やすい「色」「大きさ」を提案 【教育出版】

教育出版 デジタル教科書
画面下部のツールは通常かくれており、
指を近づけると現れる。
教育出版 デジタル教科書
アニメーションは色弱児にもわかりやすい色を
採用した。
教育出版 デジタル教科書
教科書で工場見学 できるコンテンツも収録(社会)
教育出版 デジタル教科書
教科書の挿絵を動かして説明することができる。
(算数)
教育出版 デジタル教科書

いろいろな雲の写真を見出しとして配置した(理科)

カラーユニバーサルデザインに配慮

 教育出版では、平成23年度用小学校教科書に準拠した「教授用ソフトシリーズ」を発売する。「小学国語デジタル教科書」1〜6年、「小学社会デジタル掛図」5、6年、「小学算数デジタル掛図」1〜6年、「小学理科デジタル掛図」3〜6年。
 同社ではすべての教科において言語力育成を重視する方針から、国語科に携わる教員が教科書編集委員として全教科に携わっており、デジタル版もその配慮を活かした。
 電子黒板がない場合も、PCとプロジェクターで書き込み等各種機能を使えるように設計、使いやすさにこだわったツールを添付した。もちろん電子黒板のツールも使える。
 デジタルテレビを使う場合は画面の大きさに制限があることから、画面をなるべく広く使えるようにツールの配置なども工夫した。教科書に集中しやすいようツールバーは通常は隠れており、使いたいときにぱっと下部に表示されるように設計した。また、デジタル版の写真は教科書よりも明るい色調とし、ある程度古いプロジェクターでも見やすいように配慮。カラーユニバーサルデザインを意識し、黄色がかった赤を使ったり、色数も抑えたりするなど、色弱者にも判別しやすくした点も大きな特徴だ。文字サイズも、見やすさを損なわない範囲で最大限大きくした。
 現在体験版を配布中で、これをもとに学校現場の声をさらにリサーチ、来年4月までに完成させる方針で、同社では「著作権の観点からも安心して使っていただけるものになっている。教育の質の向上という目的を達成するためのツールとして活用していただきたい」と話す。税込価格は各6万3000円を予定。

【小学国語】
 教科書内容に情報量が多いのが国語の特徴だが、デジタル教科書では、挿絵や本文をクリックすると拡大するなど、今見てほしい箇所を強調しながら授業を進めていくことができる。紙の教科書同様ページをめくりながら表示することもできるが、スクロールして次のページに移動することもできるので、ページにまたがった文章も提示しやすい。
 朗読モードの際は、教室後方の子どもにも見やすいよう、朗読箇所にあわせ、一文ずつ表示されるように作成。朗読箇所はカラオケ表示のように色が変わる。
 新出漢字をクリックすると、筆順アニメーションが起動される。

【小学算数】
 教科書の見開きページが表示され、ワンクリックで設問ごとに拡大したり、教科書の授業範囲を指定して大きく映すことができるので、今取り組んでいる問題に集中しやすい。
 現行の「掛図」で評判の良かった機能を踏襲、簡易シミュレーション機能が必要に応じて追加されている。
たとえば平行四辺形や三角形の面積の求め方も視覚的に理解しやすくなる。
 方眼モードでは、三角形、四角形、平行四辺形などを作成、色も変えることができるので補助指導もスムーズだ。

【小学社会】
 教科書の絵や写真、図版を動的に見ることができ、必要に応じて映像資料や補助資料が追加されている。
 「自動車工場」の単元では、現場の要望を反映し、「車体工場(第二組み立て館)」ではエンジンやシートを取り付けている様子などの動画を掲載、教室内で工場見学ができる。
 教科書の図版を拡大して表示する際、指導上押えておきたい点はあらかじめその場所を指し示し、クリックして拡大できるようになっている。

【小学理科】
 教科書掲載の写真はもちろん、映像効果が期待できるものを中心に、プラスアルファの資料がほぼすべての写真に追加されている。
 大がかりな実験装置が必要で、取り組むのに時間や手間が必要な実験や観察に関しては映像コンテンツとして収録し、学習効果を上げる工夫を心がけた。
 「いろいろな雲」の単元では、様々な雲の様子をすぐに表示できるよう、写真による見出しを右側に掲載して指導しやすくするなど、単に写真を大きく見せるだけではない工夫も凝らしている。

 

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【2010年6月5日号】


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