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島根県益田市立鎌手中学校(足立賢治校長)では、デジタル教科書や実物投影機、プロジェクターなどのICT環境を普段から授業に取り入れ、「わかる・できる授業づくり」に取り組んでいる。英語科ではNEW HORIZONに準拠したデジタル教科書を活用しており、「Picture Cardによるリスニング、Flash Cardによる単語練習、True or FalseとQ&Aによる内容理解」の3段階で英語の理解を深めている。2年生の授業を取材した。授業者は英語科の大島正子教諭。
本文を一部隠すマスキング機能を使いながら暗唱練習 |
島根県・益田市立鎌手中学校
同校では、空き教室を「特別教室」として、プロジェクターとスクリーン、実物投影機、ノートPCを常設しており、主に英語科や数学科で活用している。
授業の最初は、Stevie Wonderの「I just called to Say I Love You」からスタートした。生徒が歌っている間、歌詞は実物投影機でホワイトボードに映し出される。投影された歌詞は、初めてこの歌を取り上げるときに学習に使ったワークシートで、重要なフレーズは赤字になっているなど学習の軌跡があり、歌うたびに振り返りにもなる。
今日の授業は、星新一氏の小説「おーい、でてこーい」を英訳した読み物教材「Can Anyone Hear Me?」の本文だ。
生徒たちは、新出単語の学習として、デジタル教科書の「Flash Card」で次々に大きく画面に現れる単語を発音し、意味を答えていく。教室前方にある画面を見て発音するため喉も開きやすく、発音も明確だ。その後、各自で発音練習を行ってから、全体でフラッシュカードの日本語訳を見て発音するなど、繰り返し練習を行った。本文翻訳に入るまえに単語の意味を完璧に覚えることが目標だ。
単語確認の後は、デジタル教科書の「Picture Card」を画面に投影し、本文を聞く。「Picture Card」は、本文の挿絵だけを大きく投影したものだ。絵を見ながら本文を聞くことで、英語のまま内容をイメージしていくことができる。「本文訳」にスムーズに繋げていく活動だ。
さらに「True or False」で、「穴から音が聞こえてきた」、「人々が穴を見にやってきた」などのテキストが○か×かを生徒たちに問いかけ、課題意識を持ちながら本文を読みとっていけるようにする。単語練習、内容へのイメージ作り、課題意識と十分に準備を行ったら、いよいよ本文の読み取りだ。
大島教諭が本文を聞きながらポイントを解説、板書していく。「あとで解説したいことや、じっくり理解させたいポイントは板書に残す」のが授業方針だ。
訳のあとは、デジタル教科書で本文全体を繰り返し発音。音声が出ている箇所はカラオケのように色が変わるので、生徒たちも聞き取りやすい。
内容理解後、再度「True or False」に戻り、質問内容に対して「True」あるいは「False」かについて確認した。「Q&A」では「男の子は何を穴に投げたのか」、「穴は何になったのか」について考えていく。
デジタル教科書で本文を読む 画面を見るため顔が上がる |
授業の最後は、定着を図る時間だ。最初は大島教諭の発音で一文一文ゆっくりと交互に、次はデジタル教科書の音声と同じ速さで同時に、と様々な方法で本文の「読みの練習」を何度も行う。その後は各自の発音練習で、大島教諭はタイマーを3分に設定し、生徒らはその間繰り返し何度も読んでいく。3分後、「5回以上読めた人?」と大島教諭が尋ねると、何人か手が挙がった。ほとんど全員が、3分間でリーディング教材を3回以上読めたようだ。
宿題としては、本時に適合した復習プリントを配布。これは、平成20年度より島根県に導入されている「問題データベース(東京書籍)」から印刷したものだ。
大島教諭は、読み物教材での最終的な目標を本文暗唱としており、宿題として読みの練習10回以上を課しているが、「授業時間内で読む回数が増えるほど、定着をはかることができ、家庭での英語学習も取り組みやすくなる。デジタル教科書を使うと、速さを変えたり、本文の単語を一部隠すなど様々な方法で読みの練習を行うことができ、CDなどの教材を準備する手間がなくなる分進行もスムーズになるなど、練習の質も回数も向上する」と話す。生徒たちからは、「デジタル教科書を使う授業は楽しい。自宅学習でも使ってみたい」という声が上がっているという。
大島教諭は、デジタル教科書を使い始めるまでは、それほどPCを活用した授業は展開していなかったが、「今ではないと困るほど。プロジェクターなどが常設されていれば、デジタル教科書は使いやすく、やってみるととても便利で効果的だった」と感想を述べた。
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【2010年5月8日号】