最新IT教育―実践、成果を報告―ICT|フィンランド教育 |
【英国】小学校86%、中学73% 電子黒板毎日使用
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ロンドンのクイーンエリザベス2世会議場で開催された「学習とテクノロジー世界フォーラム」(以下、世界フォーラム)に参加しました。参加者は約750名。1月11日の開会行事では、英国のブラウン首相が挨拶され、教育におけるICTの重要性について時間をかけて力説されました。
その要旨は、このフォーラムには世界100か国以上からの参加が集ったこと、75人のミニスター(大臣、副大臣等)が駆けつけた世界最大の学習とテクノロジーに関する行事であること、世界の教育改善への関わりについてお互いに学びあう非常に貴重な機会であること、ICTを活用した教育は私たち全ての世代の基本的スキルを確立させ、強い願望と繁栄を高めることに大きな力をもっていること、英国の教員の専門的な経験による効果を感じている大勢の学習者がいることを誇りに思うことなどです。
また、BECTA(学習のための効果的なテクノロジー活用推進を行う英国政府機関)の調査結果を参照して、90%の保護者はICT活用によって子どもの能力が向上すると回答していること、電子黒板が一般的になっていることなど、具体的なデータを示しながら、教育において如何にICT活用が重要であるかについても述べられていました。力強い口調が印象的でした。
世界フォーラムでは、英国政府から「21世紀型スキル」の効果測定プロジェクト(ATC21S=Assess ment & Tea
ching of 21st Century Skills)のキックオフがアナウンスされ、壇上にはシスコシステムズ、インテル、マイクロソフト各社の社長とOECDの国際学力到達度テストプロジェクトPISA(以下、PISA)担当のアンドレア・シュライヒャー氏がいらっしゃいました。初日の全体会では、プロジェクトリーダーのバリー・マクゴウ教授(メルボルン大学)が1年間の成果を紹介した際、成果をまとめた白書をWebサイトに今朝公開したと話されたので、さっそくサイトを確認したところ302ページにもおよぶドキュメントがアップされていました。オーストラリア、フィンランド、シンガポールの取り組みについても説明があり、第2日の分科会ではATC21Sが議論され、各国のWGの成果概要が報告されました。
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これらのセッションでは、OECDが実施しているPISAの2012年調査において、ATC21Sのスキル評価を実施する計画であるとの説明がありました。このプロジェクトは前述した3大ICT関連企業の支援を受けて実施していることから、企業の思惑や長期的戦略を心配する面がありますが、2012年のPISA調査ではコンピュータを使った問題解決能力の測定が始まることは確かのようです。私たちはこの点に注目しておく必要があります。
ICTと教育に関する世界最大の展示会BETTは1985年から始まっており、私は2002年から毎年のように参加してきました。当初日本からの参加者は私を含めて2、3名でしたが、最近では、毎年30名以上の日本人がBETTに行かれています。毎年規模が大きくなっていますが、今年は昨年に比べてひときわ展示面積が広くなり、大きな会場に人があふれている感じでした。
開会式では、毎年英国の教育大臣が基調講演をされます。以前は、教育行政手腕を高く評価されたモリス教育技能大臣が非常にインパクトのある政策と成果を述べていました。今年はバーノン・コーカー学校学習者大臣が講演され、3つの事例をビデオで見せながら講演されました。また、ICTの活用など興味深いセミナーが行われとても勉強になりました。
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【2010年2月6日号】