最新IT教育―実践、成果を報告―ICT|フィンランド教育 |
拡大して注目させ
理解に結びつける
セミナーでは、ICTを活用するスタイルを大きく3つに分け、「習得型」「活用型」「探求型」として事例が発表された。「教科書や小さいものを大きく映しだす」ことで学びを「習得」するスタイルを提案したのは、佐藤幸江教諭(神奈川県横浜市立高田小学校)。
佐藤教諭は「まずは教室に電子黒板があることに慣れること。TVやコンテンツ、写真やビデオなどを映すなど気軽に何にでも使ううちに、授業アイデアがわいてくる。活用アイデアには、その先生の授業観が表れる」と話す。
佐藤教諭は、小学校国語1年の説明文「いろいろなくちばし」の事例を紹介。本教材は小学生が初めて出会う説明文であり、挿絵と叙述を往復して表現と意味を捉える必要がある。「国語デジタル教科書」(光村図書)を使い、挿絵を電子黒板で拡大して注目させ、それに該当する本文を電子黒板で児童らに提示、確実に理解に結びつける事例を紹介した。
英語の世界に浸る
力強いサポートに
電子黒板を「活用」する事例を紹介したのは、木村徳泰教諭(神奈川県相模原市立東林小学校)。「英語ノート」の授業では電子黒板をフル活用しており、子どもたちが楽しそうに歌い、アクティビティに取り組んでいる様子を紹介した。電子黒板と「英語ノート」デジタル版の活用アイデアによっては、英語を教えた経験のない教員でも英語だけの世界を展開することも可能だ。
思考力・表現力
育む活動とは
子どもたちの表現力・思考力を育てる電子黒板活用「探求型」の事例を紹介したのは、佐和伸明教諭(千葉県松戸市立馬橋小学校)。「電子黒板だけで何かが急激に変わる、と考えるのではなく、今までしたいと思っていたことがやりやすくなる、と考えて」と述べた。
具体例として、子どもたちがニュースを伝える活動「私はニュースキャスター」を紹介。ニュースネタを考え、調べ、スライドを作る活動の中で子どもたちが電子黒板の前に集まり、スムーズな共同作業につながったと話す。「電子黒板があれば、子どもたちはそこに集まり、話し合いが進む。距離感が近くなり、やりとりがスムーズになる。プレゼンする機会も増え、その結果、子どもたちの思考力や表現力が育まれていく」
【2010年1月1日号】