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先導的教育情報化推進プログラム 成果を発表

校務の情報化

学校経営に資する校務支援システム ――熊本県教育委員会

 熊本県教育員会は、教員が子どもと向き合う時間を確保し、学校経営の効率化・高度化を目標に、校務の見直しと校務支援システムを開発・運用。教員1人あたりの校務時間が30〜60分短縮した。

 具体的な措置として、教員1人1台の校務用PCを配備。グループウェアを導入し、生徒情報の共有、連絡機能による朝会議の省略化、学校スケジュール管理の共有化、県教委と学校間の通知・文書管理・アンケート集計機能による業務の省略化、効率化、迅速化に成功。さらに県教委(県庁NOC)にサーバを設置し、各学校にある個人情報や各種書類を集中管理する文書セキュアシステムを導入することで、個人情報保護とセキュリティを向上、学校の文書管理にかかわる負担を軽減した。教務支援システム導入は、成績一覧表、通知票、指導要録などの多数の表簿、書類などの電子化と様式の簡素化・統一化により、成績処理の時間を減少させ、仕事の持ち帰りも減少した。

 熊本県教育委員会の取り組みは全国の市町村行政から問い合わせがあり、現在、20の教育委員会に校務支援システムを公開、無償提供している。今後も、校務情報化を進める自治体などにプロセスやノウハウを提供、普及を促進していく。

特別支援教育向け 校務システム「e−iep」 ――日本支援教育実践学会

 日本支援教育実践学会は、校務円滑支援システムを導入し、児童生徒のみならず保護者、教員、医療機関、福祉機関などが連携した指導を行えるよう指導計画作りシステムを開発した。個別指導計画には学級担任、学年主任、養護教諭、特別支援コーディネーター、スクールカウンセラーらがチームで対応し、個別指導計画支援ソフトe‐iepを使用して、小・中・高とデータで保存していく。

 同ソフトでの手順は時系列に沿う。チェックリストで実態を把握し、保護者や教員の希望を登録。希望から長期目標と短期目標を作り、個別の指導計画(IEP)を作成。コーディネーターによる合意、指導経過の情報収集と分析、通知票附表への自動転記と保護者への報告、生徒情報の引継ぎと再計画という循環で、指導は円滑に継承されていく。この循環システムにより、1人の子どもの成果を記録し、医療や福祉関係者の支援体制や関わり方を蓄積、将来の指導に役立てることが可能になった。義務教育の9年間、セキュリティを確保しながら、時間の制約なしに、必要なときに、必要な助言や支援を受け、与えることができる。今後の展開として、システムの継続的な利用を支持し普及を図るために「全国IEP促進協議会(仮称)」を組織し、NPO法人を申請する。

保護者や地域と連携が生まれる ――NTT西日本・東海 岐阜市教育委員会

 多忙な校務のため児童生徒との触れ合う時間が減少し持ち帰り仕事の増大や校務用イントラネットの未整備などの課題を抱える教員や学校は多く、校務支援システムの導入・活用や各種校務の時間や負担軽減は緊急の問題となっている。そこでNTT西日本‐東海は岐阜市教育委員会と共同で岐阜市教育情報化推進プロジェクトを立ち上げ、岐阜市内の小中6校を研究指定校として、先進的な校務の情報化に取り組んだ。

 具体的には、校内のみで扱う情報と校外でも扱える情報をサーバで区分けし、セキュリティの高い校務ネットワークを構築。校務支援システムの導入で、児童生徒の出席簿処理、通知表作成の処理時間や負担感が軽減した。Web型児童生徒DBシステムで、1人の子どもを複数の教職員が観察できる。さらにCMSを開発し学校HP制作に活用。専門知識が不用で、インターネット端末からいつでも誰もがHPを更新できるため、日常的な情報発信が可能となり、学校、保護者、地域との情報連携と相互理解が増した。教員が子どもと触れ合う時間が増え、子どもの心の安定にもつながり、欠席児童生徒が減少するなど、いい循環が生まれている。
 岐阜市教育委員会はCMSを現在市内16校の小中に拡大しているが、8月末までに市内全公立小中校を網羅する計画だ。

【2010年4月3日号】


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