最新IT教育―実践、成果を報告― | ICT|フィンランド教育 |
教育情報化推進協議会は、教員のICT活用指導力の育成を目的に、2007年「教員のICT活用指導力規準表」を策定。「教員のICT活用指導力のチェックリスト」「教育の情報化に関するチェックリスト」などをWeb上で公開し、自分に必要なスキルが何か、どんな研修を受けるべきなのかを把握できる体制を整えた。
さらに文部科学省基準と整合を取り「ICT活用指導力向上研修パッケージ」として以下のものを開発した。
(1)研修モデルカリキュラム、(2)研修テキスト、(3)研修指導者用マニュアル、(4)ワークシート(指導者用、受講者用)、(5)自己チェックシート、(6)研修パッケージ普及用パンフレット、(7)研修Webシステム(閲覧サイト及び研修支援システム)。
研修webシステムでは、受講者用と研究指導者(教育委員会など講師)の研修モデルカリキュラム、研修テキスト、受講者用ワークシート、確認テスト、研修教材(音声、ビデオ、研修参考資料)等が公開されている。現在のICT活用指導力の自己チェック、研修前後のICT活用指導力の自己チェックができる。
これらを使用し、校内研修国や都道府県、市町村等や各種団体等が主催するICT活用研修への参加や自前での校内研修実施、自学学習により、活用指導力向上に努めることが可能になる。研修テキストへのニーズが増大しており、現在有償での提供を検討中。
今後は、研修Webサイトの継続運営、研修実施機関からの成果の共有と広報活動などを中心に、普及に努める意向だ。
教育の情報化を進める上で、一人ひとりの教員のICT活用能力のみならず、管理職のリーダーシップのもとに学校が一丸となって取り組む戦略的な学校経営が必要とされている。そこで「管理職のための戦略的なICT研修プログラム」を開発。20〜30人による3時間程度のワークショップ型研修で、教育委員会や校長会などの場で実施する。
「学校の情報化」を進めるにあたり、学校の状況を把握、管理職がとるべきアクションを検討するため、(1)戦略的な学校経営、(2)学力向上のためのICT活用、(3)情報活用能力の育成と情報モラル教育への対応、(4)校務の情報化と情報セキュリティへの対応、(5)保護者・地域・学校外への広報・説明責任、以上5テーマに関してチェックリストがあり、管理職がとるべき行動を検討する。その後、グループ内で他校の取り組みなどを参照しつつ、課題や今後の取り組みをグループごとに解決法を話し合い、自校のビジョンと具体的な取り組みを形成していく。
21年度はすでに全国10か所の教育委員会や校長会で同研修が実施され、約300名の管理職が参加した。情報専門教員に任せがちだったベテラン管理職の意識変革が、学校全体の取り組みに大きく影響したという声も多く、今後も全国的に同カリキュラムを広く実施していく意向だ。アクションチェックリストや研修用映像教材、研修活用事例紹介などを掲載した研修支援Webサイトも無料公開されており、今後も継続運営していく。
【2010年4月3日号】