教育家庭新聞・教育マルチメディア新聞
 TOP教育マルチメディア記事         
バックナンバー
最新IT教育―実践、成果を報告―ICTフィンランド教育
教育マルチメディア
高等学校「新学習指導要領」を告示
「言語力」を基盤に各教科で育成を

  ─知識・技能の充実に向けて 観察・実験・レポート作成─

 文部科学省では、7月22日、「高等学校 新学習指導要領」解説を告示した。平成20年1月に、答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」の中で、高等学校の教育課程の枠組みについては、高校生の興味・関心や進路等の多様性を踏まえ、必要最低限の知識・技能と教養を確保するという「共通性」と、学校裁量や生徒の選択の幅拡大という「多様性」のバランスに配慮して改善を図る必要があることが示された。

 この答申を踏まえ、高等学校学習指導要領は、平成25年4月1日の入学生から年次進行により段階的に適用する。それに先立ち、平成22年4月1日から総則の一部、総合的な学習の時間及び特別活動について先行して実施するとともに、中学校において移行措置として数学及び理科の内容を前倒しして実施することとしたことに対応し、高等学校の数学、理科及び理数の各教科・科目については平成24年4月1日の入学生から年次進行により先行して実施する。

思考力・判断力・表現力の育成

 新学習指導要領では、各教科において基礎的・基本的な知識・技能の習得を重視し、観察・実験やレポートの作成、論述など知識・技能の活用を図る学習活動を充実すること。さらに、総合的な学習の時間を中心に行われる教科等の枠を越えた横断的・総合的な課題について、各教科等で習得した知識・技能を相互に関連付けながら解決する、探究活動の質的な充実を図ることなどを通して、思考力・判断力・表現力等を育成することとしている。

 これらの学習を通じて、その基盤となるのは言語に関する能力であり、国語科のみならず、各教科等においてその育成を重視している。学習意欲の向上や、主体的な学習態度の養成、家庭との連携を図りながら、学習習慣確立の重視も盛り込まれた。

科目構成の見直し、学校裁量を拡大

 今回の改訂で新設された教科はないが、専門学科において開設される各教科13教科すべてにおいて科目構成を見直している。国語、数学及び外国語の各教科については、すべての生徒が履修する共通必履修科目「国語総合」、「数学T」及び「コミュニケーション英語T」を設けた。ただし、生徒や学校の多様な実態に合わせ、これら科目の単位数については、2単位まで減じることが可能だ。

 理科については、物理、化学、生物、地学の4領域の中から3領域以上を学ぶという理念は維持しつつ、学校裁量を拡大、4領域それぞれの基礎を付した科目から3科目を履修する場合には、複数領域にまたがる総合的な科目の履修は不要とする。

 全日制の課程における週当たりの標準授業時数は、従前と同様、30単位時間だが、必要がある場合にはこれを増加することができることも明示された。

情報教育とキャリア教育

 「情報教育」については、高等学校における各教科・科目等の指導に当たって、情報モラルを身に付け、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ実践的、主体的に活用できるようにするための学習活動を充実する。

 キャリア教育に関しては、「地域や産業界等との連携を図り、産業現場等における長期間の実習を取り入れるなどの就業体験の機会を積極的に設けるとともに、地域や産業界等の人々の協力を積極的に得るよう配慮するものとする」ことを示し、キャリア教育や就業体験の一層の推進を促している。

【2009年08月08日号】


記事のご感想をお寄せください

新聞購読お申し込みはこちら