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情報モラル宣言NO7
正しい理解で”過剰反応”防ぐ
ACCS 久保田裕

 

著作権と個人情報保護法

 前回は、情報モラルを支えるルールとして、プライバシーや肖像権、名誉毀損罪や侮辱罪と不正アクセス禁止法などの概略を書いた。今回は、学校や家庭において、より本質的な問題をはらむ、著作権法と個人情報保護法について説明する。
学校での著作物の利用

 学校は著作権と特に密接に関わっている。学校では、著作物を利用する側にもなるし、創作する側にもなる。利用する上で、よく問題になるのが無許諾の違法コピーだ。

  学校で使われる教科書やワークブック、ドリルの類、音楽や絵、教育ソフトなどは全てが著作物と言える。これらをコピーしようとする場合は、原則として著作権者に許諾を得る必要がある。

  ただし例外があって、営利を目的としない教育機関において授業で使う場合に限り、授業を担任する先生や生徒が行う複製は許諾を得ず行うことができるが、著作権者の利益を不当に害しないという条件が付く。
  つまり、ドリルを1冊買って教室の人数分コピーするのは、この条件には当てはまらない。音楽クラブが楽譜をコピーするのも授業目的ではないため例外にはならない。

  当然、学習目的であっても一般家庭で保護者がコピーすることも例外にならない。ただし、家庭内といった限られた範囲で私的使用を目的とする場合には許諾は不要だ。

  著作物の複製や公衆送信、上演、演奏などの利用は、あくまで許諾をとることが原則で、例外が認められる場合に該当するかのチェックは注意をしてほしい。


個人情報保護法への誤解

 一方、個人情報保護に関して、学校現場では対応に苦慮されていると聞く。中には、連絡網さえ廃止する学校もあるのだとか。これらは過剰反応だと思うがそもそも正しい法の理解に基づいているか考える必要がある。

  個人情報保護に関する法令はあるのだが、私立学校には個人情報保護法が適用され、公立学校は個人情報保護条例が適用される。法令の内容は微妙に違うが、共通しているのは、正当な目的を持って個人情報を入手する方法、第三者への提供の制限である。
  例えば、連絡網に利用することを条件に個人情報を集め利用することは何ら問題ないはずだ。


著作者人格権

 個人情報保護法などは、個人の尊厳としての人格そのものである「個人情報」を扱っているという点で重要だ。一方、著作権にも「著作者人格権」という創作物に表現された著作者の人格を保護する権利が含まれており、少し乱暴な言い方であるが作品を創った人の気持ちを守るという意味で個人情報の保護と同じと言ってよい。

  個人情報保護については過剰なほどの対応をするのなら、同じくらい著作権にも配慮してほしいと思う。
  先に書いたように著作権のルールを正しく理解していれば必要以上に萎縮する必要はない。内容を知らなければ、右往左往するだけだ。個人情報も著作権も、そういう意味では全く同じである。


【2007年11月3日号】


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