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情報モラル宣言NO6
ネット利用上知っておくべき「ルール」とは
ACCS 久保田裕

 

情報モラルを支えるルール

 前回、ルールとモラルの違いを書いた。著作権はルールであり罰則が設けられているが、著作権を守ろうという気持ちはモラルが支えている。今回は、情報モラルを教える上で少なくとも知っておいて欲しい知識として、著作権法以外のルールを概観したい。

プライバシー・肖像権

  まず、プライバシーへの理解は不可欠である。プライバシーの権利は、明文化された法律はないが、憲法の規定や、これまでの裁判例などから確立されたルールである。他人の私生活を本人の承諾なくみだりに公表しないという意識は徹底しておくべきだ。

  ネット時代に留意すべきプライバシー権の一つに肖像権がある。特に、デジカメで撮った写真はブログなどで簡単に公表できる。無断でこうした行為を行えば肖像権やプライバシーの侵害になる可能性があることを十分理解しておいて欲しい。
  さらに、ブログなどネット上に有名人の写真を勝手に掲載するとパブリシティ権の侵害になる。

掲示板書き込みにも「法」

  ネットの掲示板などへの書き込みはモラルとして捉えられがちだが、ここにもルールが存在する。誹謗中傷したり社会的評価を下げるような書き込みを行うと名誉毀損罪(3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金)や侮辱罪(拘留または科料)に問われる可能性がある。民事上の損害賠償を請求されるかも知れない。同様に、お店や企業についてネット上で中傷やデマを流布し業務を妨害すると、威力・偽計業務妨害や信用毀損罪(いずれも3年以下の懲役または50万円以下の罰金)に問われる可能性がある。

  掲示板などへの書き込みは匿名でされることがほとんどで、誰が書き込んだか分からない場合が多い。これを確認するため、プロバイダなどに情報開示請求を行うことができる。これを規定しているのがプロバイダ責任制限法である。ネットショッピングに関しては、特定商取引法、消費者契約法などが関連する。

不正アクセス禁止法

  ネットを利用する上で不正アクセス禁止法(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)もある。不正アクセスとは、許可なく他人のIDやパスワードを使ってコンピュータやネットにアクセスする行為を指す。あるいは、コンピュータのセキュリティホールを衝くことで情報を入手する行為も不正アクセスに該当する。

  ACCSが運用していた「著作権・プライバシー相談室」のサイトが2004年、このセキュリティホールを衝かれ、個人情報が抜き出された。抜き出した人物は後に不正アクセス禁止法違反で逮捕され罰を受けている。

  なお、他人のIDやパスワードを第三者に教えることも違法である。
  これらの法については、実はあまり知られていないかも知れない。しかし、ネット利用において知っておくべきルールである。民主主義制度をとり、安全で安心な情報社会構築に向けて、先生方にはぜひ知っておいて欲しいと思う。


【2007年10月6日号】


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