会長賞に埼玉大学教育学部付属中
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社団法人日本教育工学振興会主催の「第2回コンピュータ教育実践アイデア賞」の表彰式・事例発表が9月11日、WORLD PC EXPO99の会場で行われた。
表彰式では、まず宮島龍興会長が「どんな良いソフトでも、ソフトはあくまでも道具であり、使う人の良い腕がなければならない。コンピュータをどううまく使いこなしていくか、子どもたちに応じた教育をいかに作り上げていくかが大切になってくる。教育は学校の中だけの問題ではなく一生の問題として、捉えていかなければならない。今後世界にこの・実践アイディア賞あり・と広めていきたい」と挨拶。続いて、文部省メディア教育開発センター所長の坂元昂氏が「学校のインターネット接続や、総合的な学習の時間が各校で取り組まれようとしている。そうした中メディアの特性を活かした活用事例が増えてきている。今回の応募ではシミュレーションでの体験を現実に繋げていくところなどに優れた作品が見られた。この1年間で情報教育に対する行政の取組みも急激に進んだが、そのような時代を反映して、実践の方も盛り上がったものとなった」と分析した。
日本教育工学会長賞はジグソー学習を展開して、コンピュータや書籍資料を使って、東北の4大祭りを調べた事例。ジグソー学習とはアメリカが発端の学習法で、グループ内で調べることを分担し、それぞれが調べた結果を報告・話し合ってまとめていくもの。この学習法により、自分の調べた成果が、誰かの役に立ったという気持ちを子どもたちにつかませることができる。
文部省中学校課の亀田意統情報教育室長は、「今回の実践例を見て、子どもたちが楽しみながら授業を受けている姿が想像できる。コンピュータを用いた調べ学習で学ぶ力を身に付けていってほしい。今後コンピュータやインターネットは大きな役割を担っていくことになるだろう」と語った。
●日本教育工学振興会会長賞
埼玉大学教育学部附属中学校=「東北四大祭りの特色調べ」(社会)
東北地方の四大祭りをコンピュータや図書資料を使って調べ、伝統的な祭りや行事がどう地域の人々によって受け継がれているのを理解させるのを目標とした。
さまざまなメディアを使って調べる活動を位置付けた。まず、ビデオを視聴させ、生徒の学習意欲を高めた。また、共同で調べ学習を進める工夫としてジグソー学習を取り入れた。
まず、4人グループを作り四大祭りについて調べる担当者を決める。次に、同じ祭りを調べる生徒同士でグループを作り、協力して調査を進め、一人一人調べる分担個所を決定。そして、各グループに戻り調べたことを互いに報告し合った。
調べる方法としては、ソフト、インターネット、図書資料、絵葉書やパンフレットなどの収集資料、ビデオなどを使った。
四大祭りについて調べて共通点を話しあい、互いの成果から学び合う意欲を触発させた。
使用ソフト=「中学校日本の地理シリーズ・東北日本・」
(指導者・青柳慎一教諭)
●実践事例アイデア集編集委員長賞
千葉県立幕張総合高校=「空想の生物を現実世界に」(美術)
フォトレタッチソフトを利用して、簡単な特殊撮影の制作を通してイマジネーションを喚起するのが目標。
実在する風景の中に自分の想像によって制作した生物を、あたかも存在するように画面上で合成することで、制作とイメージの関係を深めて考えさせる。
紙粘土で架空の生物をつくり、その生物と生徒に日常馴染みの深い風景をコンピュータで組み合わせ、1つの作品にまとめる。生物にできるだけ現実感を持たせるため、アイデアスケッチを繰り返し、「怪獣」のようにならないように、デテェールをていねいにスケッチし、イメージを膨らまさせた。
そして、できあがった生物像を撮影して、コンピュータの中に取りこみ、合成作業を行った。
生徒は、合成個所が自然に見えるように、遠近感に配慮したり、生物と建物などの境界線をぼかしたり、生物の影を書き込んだりした。
この取り組みは、生徒にも馴染みやすく意欲的だった。
使用ソフト=「Photoshop」、「ExtraPaint」
(指導者=轡孝之教諭)
●編集委員会特別賞
千葉市立さつきが丘東小学校=「無人島を探検、そして作文」(国語)
絵を見ながらイメージを膨らませ、作文を書く練習−−ソフトに内蔵されている「カメラ」を使い「撮影」した写真をもとに想像を膨らませ、ようすを少しでも詳しく書こうとする短作文の学習をする。
ソフトには、創作文を書くのに適した「ぼうけんの部屋」がある。冒険を楽しくシミュレーションでき、思ったことややったことを付け加えて行くことができる。また、取材、選材、構成、執筆という一連の作業を簡単にできるようになっている。
子どもたちは、冒険をしながらエピソード場面を内蔵の「カメラ」でパチリととる。たくさんの興味ある場面から4つの場面を選ばなければならない(選材)。場面の選択をする時点で、うっすらと話の構想が立ってくる…。
使用ソフト=「作文スタジオ」
(指導者=横山験也教諭、神原眞由美教諭)
●日経BP社長賞
名古屋市立万場小学校=「買い物ごっごをしよう」(特殊教育)
知的障害を持つ子どもたちに、金銭の取り扱いや計算の力が身につくようにする。また、相手の言葉に適切に反応できるようにする、のがねらい。
ソフト「できるよ!」は、「でんしゃでおでかけ」「バスでおでかけ」「おみせでかいもの」「しんごうをわたる」「でんわをかける」の5つのテーマで、実体験に近いシミュレーションができる。
シミュレーションは買い物に対する意欲を高め、失敗してもやり直せるので活動に対する自信を育てられる。ハプニングの設定も行え、問題解決力を育てることもできる。
子どもたちは、自分で買い物ができることがうれしく、「できる」という実感をもったようだ。
使用ソフト=「できるよ!」
(指導者=五藤伸二教諭)
(教育家庭新聞99年10月2日号)
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