地域の人材ボランティア活用
小学校英会話の手引書作成
【TOPページに戻る】
文部省の平成12年度予算概算要求で、新学習指導要領の実施に関連する事業が新規に設置・要求されている。「総合的な学習の時間」に対応し、地域の人材を活用するボランティア等活用推進事業を設置。59県・政令市に委嘱。また、国際理解教育の一環としての小学校英会話学習を推進するため、教員及びT・Tを行うALTのための手引き書を作成。公民館などを活用した、地域での子ども外国語学習も推進する。さらに、文部省との連携を強化するため、国立教育研究所を再編する。( )内は要求額
〈新教育課程の実施に関連して〉
新学習指導要領で設けられた「総合的な学習の時間」を効果的に実施するために、「学校におけるボランティア等活用推進事業」(2億1000万円)を新規に設置し、地域の人材を学校ボランティア等として効果的に活用する方法等について実践的に研究する。省内に調査研究協力者会議を設けるとともに、59県・政令市に研究を委嘱する。
高校の新学習指導要領で、普通教科「情報」、専門教科「情報」「福祉」が新設され、15年度から実施されるのに伴い、現職教員に「情報」「福祉」の免許を取得させるため、「現職教員等講習会(情報・福祉)」事業(7200万円)を新たに実施する。「情報」に関する講習会は、各県47会場で、15日間にわたり開催(5日間は衛星通信を利用)。12、13、14年度の3年計画で、各年度3000人計9000人を養成する。
「総合的な学習の時間」の中での英会話学習をサポートするため「小学校英会話授業の手引きなどの作成」事業(1500万円)を新規に。1指導する教員のための手引書2ティーム・ティーチングを行うALT(外国語指導助手)のための英会話指導事例集、を作成する。
また、小学校での英会話授業に関連し、ALTの招致事業を拡充し、小学校のために必要数を確保する(1億3800万円)。
さらに、地域で子どもたちの外国語コミュニケーション能力を育てるため、「地域ですすめる子ども外国語学習の推進」(1億8900万円)を新規に。公民館、外国語学校、インターナショナルスクール、カルチャーセンター、外国語塾などの学習機関を活用し、学習プログラムを企画・作成する。全国100地域でモデル事業を実施。また、20地域で、外国人とキャンプなどをする異文化交流体験をする。
従来の研究開発学校の在り方を見直し、新たな形の研究開発学校を指定するため、「教育研究開発学校」(2億200万円)を拡充。研究開発学校は、教育課程の基準の改善に資する実践研究を行っているが、従来の国が指定した研究テーマではなく、市町村教育委員会などが設定した課題について研究開発を行う、ボトムアップ的な研究開発学校を指定する。
〈情報化の推進〉
平成7年度から行われてきた、ISDN回線でテレビ会議システムを利用し離島や山間地の学校と都市部の学校を結ぶ「へき地学校高度情報通信設備活用方法研究開発事業」、平成11年度からスタートした「光ファイバー網による学校ネットワーク活用事業」、新規にスタートするISDN回線による「複式学級を持つ学校間等における事業」という3つの事業が統合され、「学校の情報化推進のためのネットワーク活用方法研究開発事業」(14億2900万円)に。102か所に委嘱。
今年度からスタートした継続事業「教育情報通信ネットワークの整備等」(10億8900万円)は、国立教育会館と都道府県・指定都市の教育センター等を衛星通信で結ぶ教育情報衛星通信ネットワーク(通称、エル・ネット)の整備を進めている。平成12年度は、12ヵ所の地方公共団体の教育センターなどに衛星通信の送受信装置や地上系の情報通信ネットワークを整備するため、整備にかかる経費(1か所単価1億120万円)の2分の1を補助する。これを活用し、教員研修を充実させていく。
「私立高等学校等マルチメディア教育環境整備モデル事業」(継続、7億5000万円)は、インターネットなどの情報通信ネットワークの活用やマルチメディアを組み合わせた視聴覚機器、語学学習機器などを活用した教育環境を整備するため、私立学校60校にマルチメディア機器の購入費の2分の1を補助する。1校あたりの単価2500万円。
「マルチメディアを活用した地域幼児教育センター機能の開発に関する調査研究」(2700万円)を新規に。幼稚園の幼児教育センター的な機能を活用し、マルチメディアを活用した子育て支援パソコンネットワークシステムを構築する。全国に10のモデル地域を指定し、事業を委嘱する。
〈国立教育研究所の再編〉
文部省が文部科学省に再編されるのにともない、本省との連携を強化し政策の企画立案に資する政策研究所としての機能を一層高めるため、国立教育研究所を再編し、名称も「国立教育政策研究所」に改める。組織・機構では、現行の研究室制を廃止し、研究部ごとの大括りの研究組織に変更。また、本省への助言・支援機能を充実させるため、文部省の教科調査官、担当行政官の一部を国立教育研究所に移管し、国立教育研究所の一部組織と合せ、「教育課程研究センター」を設置する。
(教育家庭新聞99年10月2日号)
|