日本に比べ高いキーボードリテラシー
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東京大学社会情報研究所の橋元良明教授は、1998年6月〜7月に、ソウル大学校師範大学(教育学部)の朴性沫教授と日韓小学生の情報行動・パソコン利用等に関する比較調査を実施し、報告書をまとめている。
日本の小学生に比べ、韓国の小学生の方がインターネットのWWW・電子メールの経験率が高く、またパソコンの利用時間・キーボードリテラシーとも韓国の小学生の方がかなり高い、という結果が出た。韓国の方がコンピュータを活用した教育に熱心で、早期から取り組んでいることが浮き彫りとなった。
調査は、東京都とソウル市の全小学校から学校単位で無作為抽出し、小学校5年生を対象に行った。有効回答は日本400票、韓国422票(東京13校、ソウル8校)。
それによると、パソコン・ワープロの保有率は、日本が58・3%に対し、韓国61・6%。保有率の数字はあまり変わらないが、自分が「家にあって自由に使える」比率では、日本27%、韓国48%とかなり開きがある。保有率も、韓国ではワープロがほとんど普及していず、純粋にパソコン所有の数字に近いことを考えると、かなりの開きがある。
テレビでよく見るジャンルは、日本の小学生は韓国に比べ「アニメ」を良く見ているのに対し、韓国の小学生は「ドラマ・映画」「スポーツ」を好む傾向にある。また、本・新聞を読む頻度は韓国の小学生の方が高く、日本の小学生は漫画をよく読んでいる。
情報機器の操作能力では、ビデオの予約録画については日本の小学生のほうが「できる」子どもが多いが、パソコンのソフトを「ハードディスクにインストールする」ことが「できる」子どもは、韓国が24・4%と、日本の9・5%に比べかなり高くなっている。
小学校への情報教育の導入は、韓国の方が先行して進められてきた。この結果、日本では、「学校に自分が使えるパソコンはない」という答えが13%あるのに対し、韓国は3%未満しかなく、かなり使える環境にあることが分かる。
ちなみに、コンピュータ1台当たりの児童数は、韓国が23・1人/台に対し、日本は32・7人/台と韓国の方が少ない。(韓国は1997年韓国教育開発院の資料から。日本は清水康敬教授の調査から)
家庭でのパソコン利用も、かなり頻度が高く、「毎日」利用する小学生の割合は韓国の16・4%に比べ、日本は3・3%と低い。これを反映し、学校・家庭を合わせた利用時間で、週1時間以上パソコンを利用する小学生は、韓国が45・9%に対し、日本は20・6%しかない。
また、パソコンを使ってよく何をしているかでは、日本では「ワープロ」「グラフィック」の割合が高く、韓国では「プログラミング」が高くなっている。
こうした結果を反映し、「キーボードを見ないで速く打てる」とタッチタイピングのできる小学生は、韓国は15・2%で、日本の1・5%を大きく引き離している。「見ながら速く打てる」を加えた割合では、韓国は4割以上に達するのに対し、日本は1割にも達しない。
インターネットのWWWの利用経験も、韓国の小学生は20%を超えるが、日本は約4分の1の5%弱しかない。電子メールを経験している者も、韓国の22%に対し、日本は8%に過ぎない。
親・先生とのコミュニケーションでは、両親と話す頻度は日韓ともほぼ同じ。学校の先生とは日本の小学生の方がよく話しているが、「先生に信頼されている」と思う比率は、韓国の36・5%に対し、日本は21%と大きく下回る。
この調査では日本の方が悪い結果ばかり出ているようだが、友人の数も韓国の小学生の方が多く、コミュニケーション、情報機器の操作力・頻度とも、日本の方が下回っている印象が強い。
中学2年生を対象に同様の調査を行っている。
小学生同様、本、新聞をよく読むのは韓国の中学生で、日本の中学生は雑誌、マンガをよく読んでいる。
情報機器の操作能力では、ビデオの操作力は日本の方が高いが、パソコンのソフトのインストールが「できる」は、韓国の37・1%に比べ、日本は12・4%しかない。
学校でのパソコンの利用頻度は韓国の方が高く、「毎日」「週2〜3回」使う生徒は、韓国は14%になるのに対し、日本はわずか3%しかない。家庭でのパソコン利用も、韓国の方が高頻度。学校・家庭を合わせ、週1時間以上パソコンを利用する生徒は、日本の18・4%に対し、韓国は60・1%に上っている。
「キーボードを見ないで速く打てる」も、日本はわずか1・2%に対し、韓国は19・4%に達している。
WWW、電子メールの利用経験率も、韓国の方が3倍近く多い。
また、小中学生とも、友人との過ごし方では、韓国では「パソコン」が多く、日本では「テレビゲーム」が多い。
なお、コンピュータ1台当たりの中学校生徒数は、韓国の23・1人/台対し、日本14・3人/台と、日本の方が少なくなっている。
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