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1日目のワークショップ、2日目の実践事例発表と8月3、4日、語学ラボラトリー学会(LLA)第39回全国研究大会が2日間にわたり、早稲田大学で開催された。 総会では、今大会を最後にLLAという名称を変更し、2000年度から新たな組織体制で「外国語教育メディア学会」(JapanAssociationforLanguageEducationandTechnology=略称LET)に生まれ変わることが決定された。名称の変更は、コンピュータが外国語教育にも積極的に使われるようになったという理由がある。 大会では、左記のようなさまざまなアプローチから、小・中・高・大のコンピュータやLLを活用した実践が発表された。
埼玉県東松山市立北中学校の松本光正先生は、平成9年度から2年生の選択英語の授業で、オーストラリアやアメリカ、イギリスなどの学校との交流や校内でネットワークを活用して、AETと生徒、生徒同士の英語によるメール交流などを実践している。 海外と交流して「たまごっち」についてのやり取りをしたり互いの文化を紹介しあうことで、全般的に楽しんで英文を読み書く動機につながる。特に画像をやり取りすると、興味関心を生徒が増すことが分かった。 ただ、同年齢の生徒との交流は、英語力が日本の方が低いため、すぐ飽きられてしまうということがあった。その点、イギリスの10歳から12歳の生徒との交流は、ちょうどうまくコミュニケーションが取れた。 イギリスの学校からはたくさんの画像を送ってくれ、音声ファイルも圧縮形式で送りあった。 しかし、音声ファイルは、圧縮して送られるため音声が悪いこともあるが、独特の口語表現があり理解しにくいことが多い。 一方、埼玉大学附属中学校とも、音声ファイルのやり取りをし、楽しく交流ができている。 学校の環境は、決して恵まれてはいない。インターネットにもまだ接続していない状況で、平成9年度は松本先生個人所有のノートパソコンを使って、受信したメールを見せたり、送ったりしていた。そうした中、10年度に新しいコンピュータが導入され、掲示板、電子メール、データベースの3つの機能を持つ「スタディノート」というグループウェアソフトと校内LANも整備された。 そこで、校内でもメール交流をはじめ、生徒同士の日常的な英語によるメッセージ交流やAETとの交流が行われている。同校に常駐しているAETに空き時間に返事を書いてもらっているわけだが、教室内ではAETと会話できない生徒でも、メールでは様々なことを書いてくる。 スタディノートは、簡単に絵や写真が貼りつけられるもので、スタディノートの掲示板機能を利用して、異文化理解教育のためのデータベースづくりなども行っている。 〈交流校探し〉 松本先生は、InterculturalE−MailClassroomConnections(http://www.stolaf.edu/network/iecc)や、ePALS ClassroomExchange(http://www.epals.com/home.html)などを利用して相手校を探した。こちらから申し込んでも需要が高くなかなか探せない。ポイントは、自分で登録することだと言う。
「どんなときに、英語について学習意欲を感じたか」「どんなときに嬉しかったか」。そんな質問に生徒の答えは、外国人と話して通じたときという答えが多かった。 そこで、インターネットの双方向性を生かし「異文化理解プロジェクト」「地球環境プロジェクト」をはじめた。 発表者は、佐賀県久保田町立思斉中学校の陣内陽子先生で、実践内容は佐賀大学教育学部附属中学校での取り組み。 学校の英語版のホームページ上に、Web Discussionのコーナー(掲示板)を作成し、オンライン上での意見交流を試みた。また、異文化理解プロジェクトの別のアプローチとして、生徒の希望するトピックごとにグループを編成、日本文化を紹介するホームページも作成した。 地球環境プロジェクトでは、環境について調べたデータベースをホームページ上に立ち上げるとともに、中学生用に難解な英単語などを掲載したヘルプフレームを作成した。 環境学習は、理科や社会科で地球環境の基礎学習を行うなど、クロスカリキュラムのもとで進めた。 自分の意見を発信できる、それに対して答えが返ってくるというインターネットを活用した授業は、普段の授業より生徒の意欲がわく。生徒の90%以上がもっと取り組みたい、と答えたという。 前年には、オーストラリアの中学校とCU−SeeMeでディスカッションも行った。テレビ会議は直接的に生徒の意欲が高まる。それに比べWeb Discussionは、相手の姿や返答が見えにくい。実践の結果、電子メール提携校を作って継続的に交流をしたり、共通のトピックについて共同でホームページを作って行く方が良い、と感じたと言う。(写真は、陣内先生の発表風景)
関西学院中学部の佐々木顕彦先生は、生徒が少しでも楽しく自ら語彙学習に励めるように、CAIコースウェア「Vocabulary Lesson」を開発し、英語の語彙学習を進めている。 学習の基本的流れは予習、授業、自習の3過程を想定している。生徒は毎週1レッスン分(50単語)を予習して授業に臨み、授業では、JOY−NET(内田洋行の教授支援システム)を使って単語の確認や例文による文法事項の補足説明。その後「Vocabulary Lesson」を15〜20分、最後に10問の小テストを行っている。 また、生徒は昼休み(40分)と放課後(60分)、英語科助手の管理のもと、「Vocabulary Lesson」で授業の予習・復習ができるようにしている。 ソフトで語彙学習をするためには、タッチタイピングを習得しておく必要がある。そこで、2年生の1学期、週に1回英語・の授業で自作のタイピング練習ソフト「Typing Lesson」で練習させ習得させた。 以前は苦痛でしかなかった語彙学習だが、学習促進のツールとしてコンピュータを導入したことで、予習をしてくる生徒が大幅に増え、テストの成績も向上しているという。 (教育家庭新聞99年9月4日号)