パソコン講師の派遣
10月上旬から実施
【TOPページに戻る】
緊急雇用対策を柱とする99年度第1次補正予算が7月21日、国会で可決した。補正予算は事業規模5429億円で、このうち2000億円で「緊急地域雇用特別交付金」を創設して、都道府県に交付。都道府県は雇用対策の一環として、パソコンを扱う能力の高い者を小中高校に臨時講師として派遣するなどの事業を行うことになる。
緊急雇用対策は「新規・成長分野雇用創出推進事業」(900億円)、「緊急雇用・就業機会創出特別対策事業」(2002億9100万円)、「高齢者就業支援対策」(40億円)など。
「緊急雇用・就業機会創出特別対策事業」に含まれる「緊急地域雇用特別交付金」は、はじめての制度で、都道府県が交付金を受けるには条例を制定する必要があり、今後都道府県は9月議会で条例を制定し可決、その後「緊急地域雇用特別基金」(仮称)といった基金を作り、10月上旬頃から事業を実施することになる。特別基金2000億円の各都道府県への配分額は、人口比、有効求人者の割合などによって決められることになる。
このうち、パソコン講師の採用など教育関係にどれだけ使われるのかは都道府県の考えやニーズによることになるが、事業の実施方法については原則、都道府県から民間企業やNPOに委託されることになる。これは過去、国や自治体が直接雇用した失業対策事業で労働者が滞留し弊害が出たため。ただし、小中高校などのパソコン講師、外国語講師、生活指導員については、現行の派遣法との関係から地方自治体が直接非常勤講師を雇うことが認められている。
対象事業の性格を整理すると、1社会的に緊急性が高いこと2失業対策として、雇用創出効果が高いこと3あくまで新規の事業であること46か月の期間雇用であること、などが補正予算成立後明らかになっている。
情報教育の活性化の問題点の1つは、コンピュータを活用できる先生が少ないこと。その意味で今回の事業は人材補強として期待されるが、「6か月の期間雇用」では、効果は薄くなるが、今後どう推移していくだろうか。
なお、6月11日付けの「緊急雇用対策及び産業競争力強化対策」では、対象事業の具体例として、パソコンを扱う者を学校の臨時講師として採用する、外国語の能力の高い者を学校の臨時講師として採用する、中高年離職者へのホームヘルパー養成研修など、9事例を例示していたが、これはあくまで例示であり、事業の要件を満たすものであれば、他の事業でも実施できる。労働省では、都市美化事業、情報教育アドバイザーなど、都道府県のニーズをもとにまとめた約160事例を都道府県に参考として、例示する考えだ。
(教育家庭新聞99年8月7日号)
|