学校ネットワーク化の促進を

2001年までに全校接続 安価なサービスも登場

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 21世紀に生きる子どもたちにとって必要なネットワークの知識と、ネットワークを使った情報活用能力。学校のインターネット接続、ネットワーク化も促進されつつあるが、現状を考えると今以上に整備を加速しなければならない。ここで2・3面にわたり、ネットワーク化を促進する施策、学校向けの安価なインターネット接続サービス、教育用ホームページ、ネットワークを活用した学校の実践例などを特集した。


学校の接続に施策

 文部省は昨年12月、インターネットの教育利用を促進するため接続計画を2年前倒しし、2001年度までにすべての公立学校をインターネットに接続する整備計画を策定、各県に通知した。
 100校プロジェクトが実質的にスタートした平成7年に比べると、学校をとりまく状況は大きく様変わりしている。接続プロバイダーの数も圧倒的に増え、まだ米国に比べると接続料金がかなり高いとはいえ、文部省・郵政省の懇談会提言などを受け、安価な学校向けサービスも開始している。
 また、100校プロジェクトの経験を踏まえ、学校のサーバー管理者の負担を軽減する目的で開発された、常時接続の専用線とオールインサーバーなどをパックにした「OCNスクールパック」(NTT)も昨年4月に発売。その後、「Fort Knox・GAKKO」(古河電工)などのオールインサーバーも続々発売され、市町村で導入されている。
 教育向けのホームページも、大阪教育大学提供の「インターネットと教育」などわずかしなかったが、子ども向けサーチエンジンの「こねっとgoo」、学校の公開ホームページ内の情報を検索できる「学校みーつけた」など、年を追って充実してきている。9月以降になると、文部・郵政省共同の先進的ネットワークモデル地域事業が立ち上がり、先進校が作り上げた動画のビデオコンテンツの蓄積実験も開始されるようになる。

 実際に授業の中で、インターネットを常時活用する、といった学校はまだ、少ないようだが、教師が教材づくりや授業構成のヒントとして活用している学校は増加している。
 ネットワークの整備も今後、コンピュータ教室内LANから、各教室や特別教室、職員室などをつないだ校内LANへと発展していく。また、そうした環境を実現しないと、総合的な学習の実践や各教科の指導について、新学習指導要領で謳われている「コンピュータやネットワークなどの情報手段を積極的に活用する」ことも実現できない。
 本特集では、いくつかのパターンに分け、3面でOCNスクールパック、100Mbps校内LAN、Proxy97、ネットワーキングアカデミーの実践校の活用内容を紹介した。


学校向け接続サービス

 インターネット接続サービスプロバイダの接続料金は、以前に比べるとかなり低下してきている。
 加えて、郵政大臣の要請を受け、学校向けの安価な接続サービスが登場している。
 端末型ダイアルアップ接続で学校向けの割引料金を設定しているのは、Infoweb、BIGLOBE、IIJ、三洋電機ソフトウェアなど。プロバイダによって異なるが、月額2000円から2500円程度で、無制限または午後8時までを利用可能時間とし、無制限または月約100時間利用できるといった内容になっている。
 また、教育組織用のED・JPドメインを対象とした学校向けのホスティングサービスも出ている。ホスティングサービスは会社や学校にインターネット接続用のサーバーを構築しなくてもプロバイダがサーバーの運用を代行し、独自ドメインのホームページやメールアドレスが持てるサービス。株式会社アドミラルシステムの「エデュケーションパック」では、月額5000円で100MBのホームページ容量とメールアドレス50IDがもらえる。これに、例えば月2000円以内の定額制でインターネットに接続できるサービス(ODN、NEWEB、TTCNなど)を組み合わせればかなり安価に利用できる。
 最も、使った分だけ電話代は別途かかる。


教育用ホームページ

 教育用のホームページも最近ではかなり立ちあがっている。そのうちの1つ、東京書籍が運営する「TEN(Tokyo Syoseki Educational Net work)」は、先生のためのホームページ。有料の会員専用ページにある「教科書リンク集」は、校種別に教科書の内容に対応し、より詳細なデータなどが調べられるページにリンクしていて好評だ。
 「資料室」では、校種別・教科別に指導資料や統計資料、評価問題などを有料でダウンロード。また、「教科の広場」では編集部と話し合える教科別のメーリングリストなども開設している。
 無料の公開ページでは、全国の学校の研究発表日程、文部省などの行政情報などの検索や、作家や識者のエッセイなどを楽しむことができる。
 会員専用ページにアクセスするための入会金は、3000円(年会費はなし)。個人会員と、掲示板への書きこみなど1部の機能が制限される学校会員があり、学校会員は、校内で1IDを共有することができる。

ネットで情報交流 東京の板橋区エコポリスセンター

 東京・板橋区では自治体レベルで環境問題に積極的に取り組んでいるが、板橋区立エコポリスセンターは、その活動の拠点として、区民に施設を開放し、活動を続けている。
 子どものうちから、環境にやさしいライフスタイルを、身につけてもらうことを目的とし、小学校からインターネットを通じて、環境問題に取り組んでいる。平成9年度からは、モデル校の7校と、教育科学館が協力してホームページ上で、環境問題に対するアプローチを紹介。昨年には「板橋環境教育ネットワーク」として、区内の全小学校58校と教育科学館が、エコポリスセンターネットワークにインターネットで接続され、情報交流の場が広がった。

 ネットワーク構築にあたっては、インターネット上の有害情報カットなどを考慮して、フィルタリングソフトの「WebSENSE」(アルプスシステムインテグレーション社)をサーバーに取り入れ、その日本語11万件を含む65万URLの登録が、毎日更新されているという利点を生かして、インターネット上の教育上好ましくない情報へのアクセスを規制している。
 導入の理由は、環境教育ネットワークを立ち上げる前から、フィルタリングの問題に取り組んでいた学校から、子どもたちが安心して使えるネットワークをという声があがったからだという。
 エコポリスセンターの「環境教育ネットワーク」は、調べ学習での活用に適したつくりになっており、モデル校の先進事例から、環境教育に役立つリンク集などが用意されている。また板橋のアメニティマップのコーナーでは、板橋区のボランティアの環境観察員の方々の協力により、調査した結果であるセミやテントウムシの分布図を見ることができる。

 「このホームページをクリックしていくことにより、環境教育に関するヒントを引き出していけるように作り上げていきたい。教育委員会や学校の要望も積極的に取りいれ、教育に生かせるものとし、そして、先生方が、互いに情報交換を行える場に作り上げていきたいと考えております」と同センターの担当者は語る。
 今後の展開は先生方にパソコンの研修会などを行い、ホームページの作り方などをアドバイスしていき、環境教育ネットワークを通じて、全部の学校のホームページが立ち上げられるように支援していくという。
http://www.ecopolis.city.itabashi.tokyo.jp


(教育家庭新聞99年7月3日号)