先進的教育用ネットワークモデル地域事業
高速回線を利用し教育研究
事業内容を通知文書から紹介
文部省と郵政省が共同して、教育センターなどを中心に約30地域1050校程度の学校を高速回線でモデル的に接続し先導的な研究開発を行う「先進的教育用ネットワークモデル地域事業」がスタートする。平成10年度の第3次補正予算で予算化されたもので、各地域・学校は3年間にわたり高速回線を使ってネットワークの利用やデータベースの構築について研究する。事業の実施について文部省から県を通じて各市町村に昨年12月1日、照会文書(募集要項)が送られた。(本紙が読者の手元に届くころには、指定地域が決定しているはずである)
以下、同文書から事業の内容を記した個所を抜粋する。
〈事業概要〉
1目的
教育センター等を中心として学校を高速回線で接続する地域教育用ネットワークをモデル的に形成し、このネットワークを活用して先導的な教育方法に関する研究開発を行う。
2連携
この事業は、郵政省との連携により実施する。郵政省の事業名は、「学校における複合アクセス網活用型インターネットに関する研究開発」であり、このネットワークを用いてインターネットにおける通信技術面に係る研究開発を行う。
指定された学校が研究計画に従ってインターネットを利用するに際して、郵政省の研究のために新たな特別協力を求められたり制約や条件を課せられることはない。
3事業実施の仕組み
この事業は、文部省と郵政省共管の「特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発の推進に関する法律」の枠組みにより実施するものである。
この法律は、公共分野の情報化の促進を図る観点から平成10年5月に制定されたものであり、教育の分野では、文部省と郵政省が共同して通信放送機構(郵政省認可法人、学校教育及び社会教育における学習活動の方法に関する技術の分野に関して郵政省・文部省共管)に対して、通信放送技術に関する研究開発と学校教育における学習活動の方法に関する研究開発を一体的に行わせることを条文に規定している。この法律の枠組みにより事業の実施は、通信・放送機構が行うこととなる。両省に措置された予算は、同機構に出資・委託され、研究に必要な設備の導入、ネットワーク回線の確保、その他研究の遂行に必要な費用に充てられることとなる。
〈研究期間〉
研究期間は、原則として平成10年度から平成13年度となる。平成10年度については、残り期間がわずかなので研究に必要な環境の整備が中心となる。実質的な研究開始は、平成11年度からを想定している。
〈対象地域・学校〉
地域数は、おおむね30地域を予定している。各地域においては、ネットワークの拠点となる教育センター等を1か所確保し、20〜50校程度が参加するネットワークを形成することとなる。地域の構成の仕方としては、地理的にある程度まとまりのある地域(中規模程度の一都市型、複数の市区町村の連携型等)が望ましい。
学校については、小学校、中学校、高等学校、特殊教育諸学校がある程度バランスよく加わっていることが望ましい。地域内の国立学校、市立学校についても参加希望がある場合は積極的に加えることが望ましい。
〈研究開発の内容〉
1研究主題
研究主題については、下記の例を参考としながら各地域が地域の特色や実情に応じて設定することとなる。
(例)
・地域教育ネットワークを用いた共同の「学習空間」を用いた様々な学習活動の研究
1地域教育ネットワークを利用した教材データベース等の共同利用とこれを用いた指導方法に係る研究
2地域教育ネットワークを活用した共同学習のあり方に係る研究
・地域教育ネットワークを活用した、教育における児童・生徒の交流活動に係る研究
1地域教育ネットワークを利用した、学校、児童・生徒等の相互交流活動に係る研究
2地域教育ネットワークを利用した児童・生徒の地域社会との交流に係る研究
・地域教育ネットワークを活用した、教員研修、教材等情報交換・提供等システムのあり方に係る研究
2上記研究のために開発するインターフェース・データベース(別紙参照)
本事業予算の中に、ネットワークの拠点となる教育センター等の整備の一環として、地域教育用ネットワークのインタフェース(※)及びデータベース開発に必要な経費を措置している。
〈回線の種類〉
1光ファイバー回線(1・5Mbps)
学校の近傍(2〜30115)の配線点まで光ファイバーが敷設されていることが条件。
2DSL
光ファイバー利用が困難な学校が対象。
3WLL
光ファイバー利用が困難な学校が対象。
4CATV:ケーブルテレビ回線。
光ファイバー利用が困難な学校が対象。
5衛星通信
光ファイバー、DSL、WLL、CATVの設置が困難な学校が対象。
(教育家庭新聞99年1月1日号)