会議室で学校の情報を提供
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インターネットを活用した学校・家庭間の新しいコミュニケーションの方法について研究している「学校・家庭インターネットコミュニケーション共同実験協議会」の実験(スクールネット)では、10校が保護者世帯数分のインターネット端末(ドリームキャスト)、インターネット接続他のための回線などの提供を受け、研究を進めている。スクールネットは閉じたネットワークの中で画像つきの会議室(掲示板)や電子メールの利用ができる。参加校に事業に参加した動機や活用内容などを聞いた。
新潟・川茂小学校
新潟県赤泊村立川茂小学校(児童数33人)は、6月末から運用を開始し、8月中に全22家庭の接続を完了した。スクールネットの利用頻度は、1週間に1度以上利用している割合が、子どもで88%、保護者で90%にものぼっている。毎日利用する割合も子どもで18%、保護者で29%と多い。
川茂小学校には、コンピュータ12台が導入され、校内LANで接続。すべてのコンピュータから専用線でインターネットに接続できる。教員もみな、ノートパソコンを持ち使っている。
事業に応募したのは、「インターネットを使って学校と保護者とのコミュニケーションを深めたい、会議室というインターネットの機能により、広く保護者の声を集め、それを学校運営に生かしていきたい、保護者だけでなく地域のすべての人に学校に協力してもらいたい」といったねらいがある。
会議室や電子メール、掲示板といった機能を利用して、学校や担任からの連絡や保護者からの連絡、担任と子どもとのメール交換、子ども同士のメール交換などもかなりされている。
「学校での子どもの様子を保護者に、学校便りだけでは知らせきれないことがあるので、それが良く分かるようです。子どもたち自身が学校での生活や学習の様子を会議室に書き込んでいます。
また、総合的な学習の時間などで子どもが保護者に質問のメッセージを出して、保護者が調べてくれてメッセージをくれるといったこともあります。手作り豆腐やこんにゃくのやさしい作り方、などについて教えてもらえることもあります」と庄山忠彦先生。
ドリームキャストの操作の仕方などについては保護者に学校で3回ぐらい研修をした。また、家では、学校でコンピュータを使っている子どもたちが先生になる。インターネットを使って学校と家庭がつながって4か月。さてこの間の成果は。
「1番は、ネットに慣れ親しんでいること。保護者もこれを機にコンピュータを買った人が何人もいます。IT革命に少しは近づけたのではないでしょうか。」(庄山先生)。閉じたネットワークの中で子どもたちにメールのやり取りをさせることで、ネットワークのマナーを教えることもできる。
兵庫・福崎小学校
兵庫県福崎町立福崎小学校(児童数479人)は、家庭の約65%が1回以上会議室にアクセスしている。
会議室には、学校だより、私たちの学校、保健室などがあり、行事のお知らせや病気予防のお知らせ、などを書き込んでいる。修学旅行では、出先からデジカメ画像をつけて、現地報告をしたこともある。また、総合的な学習や生活科で教えてもらいたいことを書き込む子どものための部屋や保護者の部屋もある。
インターネットによる学校と家庭のコミュニケーションについて、約350世帯の保護者にどう使い方を教えていくか。
「インターネットといっても、保護者にはまだ浸透していない。説明会をしても良く分からないということがありました。そこで、子どもたちの親に説明させることからスタートした。機器の接続を完了させるのが大変でした。」と松本正樹先生。一方、子どもたちは、かなり活用しているようで、子ども同士のメール交換なども活発に行われている。同校では、家庭のうち8割がスクールネットに参加。学校では、どんな情報が家庭に喜ばれるのか探っているところで、反応はけっこうあるという。
会津若松市立第3中学校
「小学校に比べ、中学校に入ると子どもの生活の様子が見えにくい。学校としては、精一杯していますが、それでも学校の様子は伝わりにくい。そこで学校が行っていることを保護者に広く伝えたいと思ったのです。
普段のお昼休みの様子やテスト前の様子、清掃の様子など、何気ない学校生活の様子が伝えられれば今回の目的は達成できると考えています」と福島県会津若松市立第三中学校(生徒数592人)の古川一博先生は、今回の事業に参加したねらいを語る。
学校からのお知らせや授業やその他の日々の様子を毎日、あるいは数日おきに写真付きで掲示板に掲載している。授業では、2年生でカエルの解剖をしたときのことを掲載したこともある。
この事業に応募する前、PTA理事会にまず計り、その後、市教委、PTA、学校で検討して参加の方針が出た。そして、全家庭にアンケートを取ったところ、6〜7割の賛成を得て応募し、参加校に選定された。
現在は、保護者世帯の約94%が参加。そのうち、8月段階で約4割が接続していた。現在、接続を促進するため、接続方法のマニュアルなどを配布している。
(教育家庭新聞2000年11月4日号)
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