メディア活用の視点は
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7月25・26日、第27回教育工学研修中央セミナーIMETSフォーラム2000が東京・品川区立総合区民会館で開催された。「進む教育改革、特色ある学校づくりとメディア活用の視点」を研究主題に掲げ、開会式後の講演では、本フォーラム企画委員長の水越敏行・関西大学教授が「新教育課程の完全実施につなぐ、移行期の授業実践をどう構想するか」と題し、会全体の問題提起を行った。1日目は総合的学習、2日目はインターネットをテーマにそれぞれAコース(小学校関係者)Bコース(中学校関係者)に分かれてのセッション。
2日目に行われたインターネットセッション、Bコースでは2つの実践報告が行われた。
愛知県岡崎市立城北中学校の森竜師教諭・山本龍一教諭は「教科横断的にマルチメディア・インターネットを使いこなす〜情報の収集・発信とコミュニケーション活動の問題点とその対策〜」として、インターネットを利用することで可能となった時間と空間の壁を超えた新たな学習展開について、英語科や総合的な学習を中心に発表。同校ではホームページ検索や制作、チャットなどを積極的に取り入れ、コミュニケーションや相互理解に力を入れてきた。その結果「教室の枠にとらわれないアクティブな学習を展開できた」という。しかし授業が進むにつれて「教師の意図しない情報の行き来に対する懸念」などの問題点もあがり、有効に活用していくためには「生徒に明確な目的を持たせてから利用させること」が大事だと森教諭は話した。
続いて高知県伊野町立伊野中学校の徳平亮教諭は「エンデバーの毛利さんと・ライブ交信・〜自然の大切さを考える実践力を育てる工夫〜」と題し、日本で初めて実施されたSTS−99EarthKAMへの参加について報告した。スペースシャトルに搭載されたデジタルカメラから地球の写真をとり、それらを活用して研究を行う教育プログラムに参加したわけだが、そこには地球環境を考える、コンピュータ活用能力の向上、夢を持つ子供を育てるといったねらいがあった。半年以上の取り組みの中で、地理や英語の能力の向上や、宇宙開発の理解など生徒にとって大変得る物の多い実践となった。
また、茨城大学人文学部コミュニケーション学科の山内祐平助教授は「中学校段階での・情報活用の実践力・をどうとらえ、育てるか」を講演。新しい情報を生み出す活動をどうデザインしていくかを中心に話した。
大会最後のシンポジウムでは原崎茂・麻布台学校教育研究所所長と水越敏行氏を司会に、コメンテーターに生田孝至・新潟大学教育人間科学部教授、加藤幸次・上智大学教授、赤堀侃司・東京工業大学教授を迎え「いま改めて・総合学習・が求める学力観とは何かを問う〜メディアはその実現にどこまで迫れるか〜」が話し合われた。
(教育家庭新聞2000年8月5日号)
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