からすと生ごみの相関性を調べる |
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日本で唯一「普通部」という中学校の付かない名称をもつ、慶応義塾普通部。100%近くの生徒が大学進学を目指す進学校である。 「中学生の今が最も適した学習技能を取得することに重点をおいて授業をつくり、生徒の好奇心を育む授業を積極的に展開しています」という同校では、コンピュータを「一文房具」と捉え、各教科で活用している。 GISも教科学習を進める上での1ツール。従来、紙媒体で利用していた地図を、日本地図センター発行のソフトFirstGISを用いながら4次元の時空間を探る。 同校の太田弘先生は、地理学習で生徒の発想や表現力を引き出す授業を展開。FirstGISの学校での利用開発にも携わった太田先生は昨年度、クラブ活動等で4次元GISの活用を進めた。実証実験に参加した生徒は、日吉のオルソフォルト画像と10mメッシュの土地利用図を重ね合わせたり、旧版地形図を用いて明治から現代までの土地利用の変化を検討したという。土地利用を確認したという。 太田先生の授業ではこれまで、複数のレイヤーから、土地利用や環境問題、市民生活の実態を検討してきた。情報処理教育研修助成財団が運営する「マイタウンマップコンクール」http・//www.mytownmap.or.jp/では昨年度、地域のバリアフリーを調査した作品が国土交通大臣賞を授与。実際に駅や道路にどのような工夫がなされているか、現地調査を繰り返した。 また「飲料自販機と放置自転車マップ」や「多摩ニュータウンにおける緑環境の現象」など、これまで探求してきたテーマは多岐に渡る。 「地理の授業だけでなく、理科や歴史などにもGISは活用できます」と、地理の授業で用いたデジタル地図とGISを広い意味での文房具との見方をもつ。 今年度は「からすの発生と生ごみ置き場との相関性」や「放置自転車とコンビ二の位置関係」を探る予定という。またPDAを用い、上高地での高原学校で、鳥や昆虫の分布を調べ、データとしてまとめるなどのGIS活用を検討している。 「広く授業においてGISの利用は普及していない。予算的に地図データの獲得が難しいのでは。今後、地域のポータルサイトなどで自由にダウンロードできるシステムの構築が必要」と太田先生。 また教員の理解を得るために、今後も実践報告に努めていきたいと話していた。 . |