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INTERVIEW 
学校情報セキュリティ

学校・教育委員会の情報セキュリティ対策を
学校情報セキュリティ対策支援ソフトを監修

鳴門教育大学大学院 准教授
 藤村 裕一氏

藤村 裕一氏 の写真

 学校情報セキュリティの保守には、物心両面からのサポートが必要だ。特に学校においては、実効性を高めるためにも、その「特殊事情」に適合したセキュリティポリシーが策定される必要がある。そこでJMCエデュケーションズは、学校の特性を踏まえつつ、学校現場にセキュリティポリシーの必要性を浸透させることを目的に、学校情報セキュリティ対策支援ソフト「らくらくセキュリティポリシー」を作成した。同ソフトを監修した藤村氏に、セキュリティポリシーについて聞いた。

 各種報道等でたびたび話題になるように、個人情報の漏えい、ウイルス感染によるシステムの停止など、学校における情報セキュリティは、危機的な状況にある。

■セキュリティポリシーを策定・配布だけでは限界

 このような状況を解消するために、学校へ民間企業や自治体首長部局同様の厳格な情報セキュリティポリシーを策定・配布することは簡単だ。しかし、策定・配布するだけでは意識変革も起こらず、情報セキュリティ対策の必要性も感じないため、情報セキュリティポリシーの存在すら意識されず、何の改善も現場にもたらさない。

 また、学校における個人情報は、普段厳格にしまっておけばよいという「秘匿情報」として個人情報を扱う多くの民間企業や自治体主張部局と異なり、日常的に個人情報を生産し教育のために活用する「保護情報」としての扱いが必要であることや、残業制度がないことなど、数多くの特性の違いがある。そのため、厳格すぎるセキュリティポリシーを守ることは日常の教育活動が困難となり、逆に皆が無視するという大変危険な状況もつくりかねない。

 そこで、このような状況を打破するため、「学校情報セキュリティ対策支援ソフト らくらくスクールポリシー」を開発。全国調査や教職員・教育委員会からのヒアリングなどによって学校の特性・実態を踏まえつつ、高度に専門的な知見をわかりやすくかみ砕いて盛り込んだ。

■継続的なセキュリティ対策へソフト開発

 本ソフトは、問題意識の共有→緊急対策・具体的な対応技能の向上→情報セキュリティポリシー策定への参与・意識改革→専門的知見による妥当性の吟味→情報セキュリティポリシーの運用と見直し→継続的な情報セキュリティ研修と、長期にわたり学校情報セキュリティ対策向上のために使い続け、「実効性」を確保できるよう、随所に工夫が盛り込まれている。 学校情報セキュリティポリシーを作成するだけの「策定支援ソフト」ではなく、継続的な情報セキュリティ対策を支援する「対策支援ソフト」だ。

 たとえば、問題意識の共有のために、情報セキュリティ対策を取らないとどのような問題が発生するのかという事例をアニメーションで見ながら研修したり、学校情報セキュリティポリシー策定後、実際の対策状況がどうなっているのかをアンケートやセルフチェックシートでふり返り、状況改善に生かしたりできるなどの工夫だ。

 また、情報資産の洗い出しや、リスク分析・リスク対応策の決定などに全職員が関与し、「自分たちが策定・見直しに携わったものだから、しっかり守っていこう」という参与意識を持つこともできるようになっている。

 作業量の多さや専門的な知識が心配になる教職員が多いかと思うが、本ソフトでは、負担の大きい情報資産の洗い出しを支援するため、全国調査に基づく一般的な情報資産をあらかじめ入力し、専門的知見に基づき、機密度を2段階または3段階の階層分けも標準で設定され、各教育委員会・学校で加筆修正すれば良いようになっている。

 最大の特徴は、策定された情報セキュリティポリシーが、専門的知見に基づいて妥当性を判定し、適切な情報セキュリティポリシーが策定されるまでガイドする点である。

 本ソフトを教育現場で広くご利用いただき、学校情報セキュリティが向上することで、安心して教育の情報化や教育活動の改善が図られることを切に願っている。


【2008年11月1日号】

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