有線電話でインターネット

月3000円弱の安価で使い放題 

長野県伊那市

お昼どきになると、電話から聞こえてくる一斉放送−町内のお知らせや歌謡音楽等など、昭和30年代に農山村地域に広く普及していた有線放送電話網を覚えている人も多いのではないだろうか。長野県伊那市は、この有線放送電話を利用して、ビデオ映像のオンデマンド配信やインターネット接続の実験を行っている。ちなみに、この実験に使われているのは、xDSL(x Digital Subscriber Line)という技術で、既存の電話線で毎秒数メガビットのデジタル情報の送受信が可能な技術。昨年9月から、「伊那xDSL利用実験連絡会」により実験が開始された。同連絡会は、伊那市有線放送農業協同組合、日本有線放送電話協会、農村漁村文化協会などの団体が運営。システムの構築には、国際電信電話、ソネット株式会社などが参加している。

伊那市有線放送農業共同組合では、この有線放送網を利用して、平成9年4月からインターネット接続している。2つの地元プロバイダにアナログダイアルアップで接続。接続の方法は簡単で、有線放送電話機の横のジャックにパソコンのモデムのラインを差し込み、パソコン側の設定をちょっと変更するだけ。

インターネットの接続に有線電話を利用しているため、通信料金が非常に安い。有線電話料金は、月1800円の基本料金でかけ放題。地元プロバイダ料金も、月千円で使い放題となっている。学校教育への利用も、進められつつある。

(教育家庭新聞98年7月4日号から)